第170条 前条の罪を犯した者が、その証言をした事件について、その裁判が確定する前又は懲戒処分が行われる前に自白したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
刑法171条 虚偽鑑定等
第171条 法律により宣誓した鑑定人、通訳人又は翻訳人が虚偽の鑑定、通訳又は翻訳をしたときは、前二条の例による。
刑法172条 虚偽告訴等
第172条 人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
人事訴訟法18条 訴えの変更及び反訴
第18条 人事訴訟に関する手続においては、民事訴訟法第百四十三条第一項及び第四項、第百四十六条第一項並びに第三百条の規定にかかわらず、第一審又は控訴審の口頭弁論の終結に至るまで、原告は、請求又は請求の原因を変更することができ、被告は、反訴を提起することができる。
2 日本の裁判所が請求の変更による変更後の人事訴訟に係る請求について管轄権を有しない場合には、原告は、変更後の人事訴訟に係る請求が変更前の人事訴訟に係る請求と同一の身分関係についての形成又は存否の確認を目的とするときに限り、前項の規定により、請求を変更することができる。
3 日本の裁判所が反訴の目的である次の各号に掲げる請求について管轄権を有しない場合には、被告は、それぞれ当該各号に定める場合に限り、第一項の規定による反訴を提起することができる。
一 人事訴訟に係る請求 本訴の目的である人事訴訟に係る請求と同一の身分関係についての形成又は存否の確認を目的とする請求を目的とする場合
二 人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求 既に日本の裁判所に当該人事訴訟が係属する場合
刑法173条 自白による刑の減免
第173条 前条の罪を犯した者が、その申告をした事件について、その裁判が確定する前又は懲戒処分が行われる前に自白したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
人事訴訟法17条 関連請求の併合等
第17条 人事訴訟に係る請求と当該請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求とは、民事訴訟法第百三十六条の規定にかかわらず、一の訴えですることができる。この場合においては、当該人事訴訟に係る請求について管轄権を有する家庭裁判所は、当該損害の賠償に関する請求に係る訴訟について自ら審理及び裁判をすることができる。
2 人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求を目的とする訴えは、前項に規定する場合のほか、既に当該人事訴訟の係属する家庭裁判所にも提起することができる。この場合においては、同項後段の規定を準用する。
3 第八条第二項の規定は、前項の場合における同項の人事訴訟に係る事件及び同項の損害の賠償に関する請求に係る事件について準用する。
刑法174条 公然わいせつ
第174条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
刑法175条 わいせつ物頒布等
第175条 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。
判示事項
一 刑法第一七五条にいわゆる「猥褻文書」の意味
二 「猥褻文書」に当るかどうかは事実問題か法律問題か。
三 「猥褻文書」に当るかどうかの判断の基準。
四 社会通念とは何か。
五 刑法第一七五条にいわゆる「猥褻文書」に当る一事例。
六 芸術的作品と猥褻性。
七 猥褻性の存否と作者の主観的意図。
八 刑法第一七五条に規定する猥褻文書販売罪における犯意。
九 憲法第二一条に保障する表現の自由と公共の福祉。
一〇 旧出版法第二七条と刑法第一七五条との関係。
一一 憲法第二一条第二項による検閲の禁止と猥褻文書販売罪。
一二 憲法第七六条第三項にいう裁判官が良心に従うとの意味。
一三 刑訴法第四〇〇条但書に違反しない一事例。
裁判要旨
一 刑法第一七五条にいわゆる「猥褻文書」とは、その内容が徒らに性欲を興奮又は刺戟せしめ、且つ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する文書をいう。
二 文書が「猥褻文書」に当るかどうかの判断は、当該文書についてなされる事実認定の問題でなく、法解釈の問題である。
三 文書が、「猥褻文書」に当るかどうかは、一般社会において行われている良識、すなわち、社会通念に従つて判断すべきものである。
四 社会通念は、個々人の認識の集合又はその平均値でなく、これを超えた集団意識であり、個々人がこれに反する認識をもつことによつて否定されるものでない。
五 Aの翻訳にかかる、昭和二五年四月二日株式会社小山書店発行の「チヤタレイ夫人の恋人」上、下二巻(ロレンス選集1・2)は、刑法第一七五条にいわゆる猥褻文書に当る。
六 芸術的作品であつても猥褻性を有する場合がある。
七 猥褻性の存否は、当該作品自体によつて客観的に判断すべきものであつて、作者の主観的意図によつて影響されるものではない。
八 刑法第一七五条に規定する猥褻文書販売罪の犯意がありとするためには、当該記載の存在の認識とこれを頒布、販売することの認識があれば足り、かかる記載のある文書が同条所定の猥褻性を具備するかどうかの認識まで必要とするものではない。
九 憲法第二一条の保障する表現の自由といえども絶対無制限のものではなく、公共の福祉に反することは許されない。
一〇 旧出版法第二七条と刑法第一七五条とは特別法と普通法の関係にある。
一一 憲法第二一条第二項によつて事前の検閲が禁止されたことによつて、猥褻文書の頒布、販売を禁止し得なくなつたものではない。
一二 憲法第七六条第三項にいう裁判官が良心に従うとは、裁判官が有形、無形の外部の圧迫ないし誘惑に屈しないで自己の内心の良識と道徳感に従う意味である。
一三 本件第一審判決がその判示のごとき理由で被告人に無罪の言渡をしても控訴裁判所において「右判決は法令の解釈を誤りひいては事実を誤認したものとして」これを破棄し、自ら何ら事実の取調をすることなく、訴訟記録及び第一審裁判所で取り調べた証拠のみによつて、直ちに被告事件について、犯罪事実を認定し有罪の判決をしたからといつて、必ずしも刑訴第四〇〇条但書の許さないところではない。
刑法176条 不同意わいせつ
第176条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
3 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
刑法177条 不同意性交等
第177条 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛 門性交、口腔 性交又は膣 若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。