家事事件手続法3条の11 相続に関する審判事件の管轄権

第3条の11 裁判所は、相続に関する審判事件(別表第一の八十六の項から百十の項まで及び百三十三の項並びに別表第二の十一の項から十五の項までの事項についての審判事件をいう。)について、相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。
 
2 相続開始の前に推定相続人の廃除の審判事件(別表第一の八十六の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)、推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件(同表の八十七の項の事項についての審判事件をいう。第百八十八条第一項及び第百八十九条第一項において同じ。)、遺言の確認の審判事件(同表の百二の項の事項についての審判事件をいう。第二百九条第二項において同じ。)又は遺留分の放棄についての許可の審判事件(同表の百十の項の事項についての審判事件をいう。第二百十六条第一項第二号において同じ。)の申立てがあった場合における前項の規定の適用については、同項中「相続開始の時における被相続人」とあるのは「被相続人」と、「相続開始の前」とあるのは「申立て前」とする。
 
3 裁判所は、第一項に規定する場合のほか、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件(別表第一の八十八の項の事項についての審判事件をいう。第百八十九条第一項及び第二項において同じ。)、相続財産の保存又は管理に関する処分の審判事件(同表の九十の項の事項についての審判事件をいう。第二百一条第十項において同じ。)、限定承認を受理した場合における相続財産の管理人の選任の審判事件(同表の九十四の項の事項についての審判事件をいう。)、財産分離の請求後の相続財産の管理に関する処分の審判事件(同表の九十七の項の事項についての審判事件をいう。第二百二条第一項第二号及び第三項において同じ。)及び相続人の不存在の場合における相続財産の管理に関する処分の審判事件(同表の九十九の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)について、相続財産に属する財産が日本国内にあるときは、管轄権を有する。
 
4 当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に遺産の分割に関する審判事件(別表第二の十二の項から十四の項までの事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第百九十一条第一項において同じ。)及び特別の寄与に関する処分の審判事件(同表の十五の項の事項についての審判事件をいう。第三条の十四及び第二百十六条の二において同じ。)の申立てをすることができるかについて定めることができる。
 
5 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三条の七第二項から第四項までの規定は、前項の合意について準用する。


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家事事件手続法216条の5 特別の寄与に関する審判事件を本案とする保全処分

第216条の5 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、特別の寄与に関する処分についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は申立人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別の寄与に関する処分の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。


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家事事件手続法73条 審判

第73条 家庭裁判所は、家事審判事件が裁判をするのに熟したときは、審判をする。
 
2 家庭裁判所は、家事審判事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について審判をすることができる。手続の併合を命じた数個の家事審判事件中その一が裁判をするのに熟したときも、同様とする。


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家事事件手続法200条 遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分

第200条 家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。次項及び第三項において同じ。)は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、遺産の分割の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、財産の管理に関する事項を指示することができる。
 
2 家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は相手方の申立てにより、遺産の分割の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。
 
3 前項に規定するもののほか、家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。以下この項において同じ。)を当該申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができる。ただし、他の共同相続人の利益を害するときは、この限りでない。
 
4 第百二十五条第一項から第六項までの規定及び民法第二十七条から第二十九条まで(同法第二十七条第二項を除く。)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。


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もう一歩先へ 3項:

預貯金債権の仮分割の仮処分のための要件

  1. 権利行使の必要性
  2. 他の共同相続人の利益を害しないこと
  3. 遺産分割の調停又は審判の本案が家庭裁判所に係属していること
     
    cf.遺産分割調停@裁判所
    cf. 遺産分割調停の申立書@裁判所

預貯金債権の仮分割の仮処分は、仮の地位を定める仮処分という法的性質を有するので、原則として、共同相続人全員に対して、陳述を聴取する等の手続きをすることになります。

cf. 家事事件手続法107条 陳述の聴取
cf. 民法909条の2 遺産の分割前における預貯金債権の行使

家事事件手続法49条 申立ての方式等

第49条 家事審判の申立ては、申立書(以下「家事審判の申立書」という。)を家庭裁判所に提出してしなければならない。
 
2 家事審判の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
 一 当事者及び法定代理人
 二 申立ての趣旨及び理由
 
 3 申立人は、二以上の事項について審判を求める場合において、これらの事項についての家事審判の手続が同種であり、これらの事項が同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、一の申立てにより求めることができる。
 
4 家事審判の申立書が第二項の規定に違反する場合には、裁判長は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い家事審判の申立ての手数料を納付しない場合も、同様とする。
 
5 前項の場合において、申立人が不備を補正しないときは、裁判長は、命令で、家事審判の申立書を却下しなければならない。
 
6 前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。


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家事事件手続法209条 管轄(遺言に関する審判事件)

第209条 遺言に関する審判事件(別表第一の百二の項から百八の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続を開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
 
2 前項の規定にかかわらず、遺言の確認の審判事件は、遺言者の生存中は、遺言者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。


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もう一歩先へ
相続をを開始した地

cf. 民法883条 相続開始の場所