刑法61条 教唆

(教唆)
第61条 人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
 
2 教唆者を教唆した者についても、前項と同様とする。


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cf. 最判昭25・7・11(昭和24(れ)3030  窃盗教唆、住居侵入教唆、強盗幇助) 全文

判示事項
 ある住居侵入窃盜を教唆した場合において被教唆者がこれと異る他の被害者に對して住居侵入強盜をしたときの教唆者の罪責

裁判要旨
 原判決によれば、被告人AはBに對して判示甲方に侵入して金品を盜取することを使嗾し、以て窃盜を教唆したものであつて、判示乙商會に侵入して窃盜をすることを教唆したものでないことは所論の通りであり、しかも、右Bは、C等三名と共謀して判示乙商會に侵入して強盜をしたものである。しかし、犯罪の故意ありとなすには、必ずしも犯人が認識した事實と、現に発生した事實とが、具体的に一致(符合)することを要するものではなく、右兩者が犯罪の類型(定型)として規定している範圍において一致(符合)することを以て足るものと解すべきものであるから、いやしくも右Bの判示住居侵入強盜の所爲が、被告人Aの教唆に基いてなされたものと認められる限り、被告人Aは住居侵入窃盜の範圍において、右Bの強盜の所爲について教唆犯としての責任を負うべきは當然であつて、被告人の教唆行爲において指示した犯罪の被害者と、本犯のなした犯罪の被害者とが異る一事を以て、直ちに被告人に本犯の犯罪について何等の責任なきものと速斷することを得ないものと云わなければならない。

刑法62条 ほう

第62条 正犯をほう助した者は、従犯とする。
 
2 従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。


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cf. 最決昭44・7・17(昭和43(あ)1889 猥せつ図画公然陳列幇助) 全文

判示事項
 正犯を間接に幇助したものとして従犯の成立が認められた事例

裁判要旨
 被告人が、甲またはその得意先の者において不特定の多数人に観覧せしめるであろうことを知りながら、猥せつ映画フイルムを甲に貸与し、甲からその得意先である乙に右フイルムが貸与され、乙においてこれを映写し十数名の者に観覧させて公然陳列するに至つた場合、被告人の所為については、正犯たる乙の犯行を間接に幇助したものとして、従犯が成立する。