刑法155条 公文書偽造等

第155条 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
 
2 公務所又は公務員が押印し又は署名した文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
 
3 前二項に規定するもののほか、公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は公務所若しくは公務員が作成した文書若しくは図画を変造した者は、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。


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虚偽公文書作成罪教唆の故意で公文書偽造罪の教唆の罪を犯したものは、公文書偽造罪の教唆犯が成立する

cf. 最判昭23・10・23(昭和23(れ)652 公文書偽造、教唆、偽造公文書行使幇助、収賄) 全文

判示事項
 一 採證と證據調の限度
 二 刑務所醫務課長名儀の診斷書と公文書
 三 公文書無形僞造の教唆を共謀した者の一人が結局公文書有形僞造の教唆により目的を達した場合の他の者の責任
 四 公文書が僞造のものであることを知らず唯その内容が虚僞のものであると考えて行使した者の責任
 五 刑務所看守部長が在監者の接見等について便宜な處置を採つたことの謝禮として金員を受領した行爲と收賄罪の成否
 六 職務の内外に亘る行爲につき不可分的になされた謝禮と賄賂性の範圍

裁判要旨
 一 證據調は事件について證據となり得るすべての資料について爲さねばならぬものではなく、裁判所が事實認定の爲め必要と認めるものについて爲せば足るものである。
 二 原判決の舉示する證據によつて第一審相被告人Aが第一審相被告人Bを教唆し同人をして原判示の如き岡山刑務所醫務課長C名儀の診斷書一通を僞造せしめた事實を認定することができるのであるから原審が右診斷書を公文書と認定したのは正當である。
 三 刑法第一五條六の公文書無形僞造の罪を教唆することを共謀した者の一人が結局公文書有形僞造教唆の手段を選びこれによつて目的を達した場合には、共謀者の他方は事實上公文書有形僞造教唆に直接關與しなかつたとしても、その結果に對する故意の責任を負わなければならない。
 四 公文書が僞造のものであることを知らなかつたとしても、虚僞内容のものであると考えて行使した場合には僞造公文書行使罪の故意犯が成立する。
 五 被告人(刑務所看守部長)がDの接見等について寛大便宜の處置を採つたことに對する謝禮の趣旨において金員を受取ることは被告人の職務に關するものであることは容疑の餘地のないところである。
 六 職務行爲に對する謝禮と職務外の行爲に對する謝禮と不可分的に包括して提供された金員を公務員がその事實を知りながら之を收受した場合にはその金員全部は包括して不可分的に賄賂性を帶ぶるものである