第271条の8 裁判所(第一号及び第四号にあつては裁判長及び合議体の構成員を、第二号及び第三号にあつては第六十六条第四項の裁判官並びに裁判長及び合議体の構成員を含み、第五号にあつては裁判官とする。)は、第二百七十一条の二第二項の規定による起訴状抄本等の提出があつた事件について、起訴状に記載された個人特定事項のうち起訴状抄本等に記載がないものが同条第一項第一号又は第二号に掲げる者のものに該当すると認める場合において、相当と認めるときは、次に掲げる措置をとることができる。
一 当該個人特定事項を明らかにしない方法により第六十一条の規定による被告事件の告知をすること。
二 勾引状又は勾留状を発する場合において、これと同時に、被告人に示すものとして、当該個人特定事項を明らかにしない方法により公訴事実の要旨を記載した勾引状の抄本その他の勾引状に代わるもの又は勾留状の抄本その他の勾留状に代わるものを交付すること。
三 当該個人特定事項を明らかにしない方法により第七十六条第一項の規定による公訴事実の要旨の告知をし、又はこれをさせること。
四 当該個人特定事項を明らかにしない方法により第七十七条第三項の規定による公訴事実の要旨の告知をし、又はこれをさせること。
五 当該個人特定事項を明らかにしない方法により第二百八十条第二項の規定による被告事件の告知をすること。
2 前項(第二号に係る部分に限る。)の規定による勾引状に代わるものの交付があつた場合における第七十三条第一項及び第三項の規定の適用については、同条第一項前段中「これ」とあり、同条第三項中「勾引状又は勾留状」とあり、及び同項ただし書中「令状」とあるのは「第二百七十一条の八第一項第二号の勾引状に代わるもの」と、同項中「公訴事実の要旨及び」とあるのは「勾引状に記載された個人特定事項のうち第二百七十一条の八第一項第二号の勾引状に代わるものに記載がないものを明らかにしない方法により公訴事実の要旨を告げるとともに、」とする。
3 第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定による勾留状に代わるものの交付があつた場合における第七十三条第二項及び第三項の規定の適用については、同条第二項中「これ」とあり、同条第三項中「勾引状又は勾留状」とあり、及び同項ただし書中「令状」とあるのは「第二百七十一条の八第一項第二号の勾留状に代わるもの」と、同項中「公訴事実の要旨及び」とあるのは「勾留状に記載された個人特定事項のうち第二百七十一条の八第一項第二号の勾留状に代わるものに記載がないものを明らかにしない方法により公訴事実の要旨を告げるとともに、」とする。
4 裁判長又は合議体の構成員は、第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定による勾留状に代わるものの交付があつた場合又は第二百七条の二第二項の規定による勾留状に代わるものの交付があつた場合において、勾留状に記載された個人特定事項のうちこれらの勾留状に代わるものに記載がないもの(第二百七十一条の五第一項の決定又は第二百七条の三第一項の裁判により通知することとされたものを除く。)が第二百七十一条の二第一項第一号又は第二号に掲げる者のものに該当すると認める場合であつて、検察官及び弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、勾留の理由の開示をするに当たり、当該個人特定事項を明らかにしない方法により被告事件を告げることができる。
5 第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定による勾留状に代わるものの交付があつた場合又は第二百七条の二第二項の規定による勾留状に代わるものの交付があつた場合における第九十八条の規定の適用については、同条第一項中「勾留状の謄本」とあるのは、「第二百七十一条の八第一項第二号の勾留状に代わるもの又は第二百七条の二第二項本文の勾留状に代わるもの」とする。
6 前項の規定は、第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定による勾留状に代わるものの交付があつた場合又は第二百七条の二第二項の規定による勾留状に代わるものの交付があつた場合であつて、第百六十七条の二第二項に規定するときにおける同項において準用する第九十八条の規定の適用について準用する。