家事事件手続法189条 遺産の管理に関する処分の審判事件

第189条 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件は、推定相続人の廃除の審判事件又は推定相続人の廃除の審判の取消しの審判事件が係属している家庭裁判所(その審判事件が係属していない場合にあっては相続が開始した地を管轄する家庭裁判所、その審判事件が抗告裁判所に係属している場合にあってはその裁判所)の管轄に属する。
 
2 第百二十五条第一項から第六項までの規定は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理人について準用する。この場合において、同条第一項、第二項及び第四項中「家庭裁判所」とあるのは「推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所」と、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは「遺産」と読み替えるものとする。
 
3 推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判の確定前の遺産の管理に関する処分を命じた裁判所は、推定相続人の廃除の審判又はその取消しの審判が確定したときは、廃除を求められた推定相続人、前項の管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、その処分の取消しの裁判をしなければならない。


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刑法36条 正当防衛

第36条 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
 
2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。


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Un pas de plus ! もう一歩先へ 2項:
cf. 最決昭41・7・7(昭和40(あ)1998  殺人未遂、銃砲刀剣類等所持取締法違反) 全文

判示事項
 殺人未遂罪につき誤想過剰防衛が認められた事例。

裁判要旨
 被告人の長男甲が乙に対し、乙がまだなんらの侵害行為に出ていないのに、これに対し所携のチエーンで殴りかかつた上、なお攻撃を加えることを辞さない意思をもつて、庖丁を擬した乙と対峙していた際に、甲の叫び声を聞いて表道路に飛び出した被告人は、右のごとき事情を知らず、甲が乙から一方的に攻撃を受けているものと誤信し、その侵害を排除するため乙に対し猟銃を発射し、散弾の一部を同人の右頸部前面鎖骨上部に命中させたものであること、その他原判決認定の事実関係(原判文参照)のもとにおいては、被告人の本件所為は、誤想防衛であるが、その防衛の程度を超えたものとして、刑法第三六条第二項により処断すべきものである。

Un pas de plus ! もう一歩先へ 2項:
cf. 最決昭62・3・26(昭和59(あ)1699  傷害致死) 全文

判示事項
 傷害致死につき誤想過剰防衛であるとされた事例

裁判要旨
 空手三段の在日外国人が、酩酊した甲女とこれをなだめていた乙男とが揉み合ううち甲女が尻もちをついたのを目撃して、甲女が乙男から暴行を受けているものと誤解し、甲女を助けるべく両者の間に割つて入つたところ、乙男が防衛のため両こぶしを胸に前辺りに上げたのを自分に殴りかかつてくるものと誤信し、自己及び甲女の身体を防衛しようと考え、とつさに空手技の回し蹴りを乙男の顔面付近に当て、同人を路上に転倒させ、その結果後日死亡するに至らせた行為は、誤信にかかる急迫不正の侵害に対する防衛手段として相当性を逸脱し、誤想過剰防衛に当たる。

刑法37条 緊急避難

第37条 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
 
2 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。


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刑法38条 故意

第38条 罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
 
2 重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。
 
3 法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減軽することができる。


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Un pas de plus ! もう一歩先へ 1項:

法定的符合説に立ちつつ、数故意犯説を採用。学説は法定的符合説について、構成要件の範囲内で故意を抽象化する以上、故意に個数を観念できないと考えるのが自然であるとして、一罪の故意犯の意思をもってした場合に、複数の故意犯の成立を認める数故意犯説に親和的であるとする。

cf. 最判昭53・7・28(昭和52(あ)623 強盗殺人未遂、銃砲刀剣類所持等取締法違反、火薬類取締法違反) 全文

判示事項
 強盗殺人未遂罪といわゆる打撃の錯誤

裁判要旨
 犯人が強盗の手段として人を殺害する意思のもとに銃弾を発射して殺害行為に出た結果、犯人の意図した者に対して右側胸部貫通銃創を負わせたほか、犯人の予期しなかつた者に対しても腹部貫通銃創を負わせたときは、後者に対する関係でも強盗未遂罪が成立する。

Un pas de plus ! もう一歩先へ 2項:

事実の錯誤において故意を認めるために、構成要件の重なり合いを前提に、「両罪の構成要件が実質的に重なり合う限度で軽い」犯罪の「故意が成立し同罪が成立する」とする考え方(法定的符合説)

cf. 最決昭61・6・9(昭和61(あ)172  大麻取締法違反、麻薬取締法違反) 全文

判示事項
 一 覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパン塩酸塩粉末を麻薬であるコカインと誤認して所持した場合の罪責
 二 覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパン塩酸塩粉末を麻薬であるコカインと誤認して所持した場合における没収の適条

裁判要旨
 一 覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパン塩酸塩粉末を麻薬であるコカインと誤認して所持した場合には、麻薬取締法六六条一項、二八条一項の麻薬所持罪が成立する。
 二 覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパン塩酸塩粉末を麻薬であるコカインと誤認して所持した場合における覚せい剤の没収は、覚せい剤取締法四一条の六によるべきである。

 
Un pas de plus ! もう一歩先へ 2項:
cf. 最判昭23.5.1( 昭和23(れ)105 窃盗、賍物故買) 全文

判示事項
 窃盗の意思で強盗の見張をした者の責任

裁判要旨
 被告人以外の共犯者は最初から強盗の意思で強盗の結果を實現したのであるがただ被告人だけは輕い窃盗の意思で他の共犯者の勸誘に應じて屋外で見張をしたと云うのであるから、被告人は輕い窃盗の犯意で重い強盗の結果を發生させたものであるが、共犯者の強盗所爲は、被告人の豫期しないところであるからこの共犯者の強盗行爲について、被告人に強盗の責任を問うことはできない譯である。然らば、原判決が被告人に對し刑法第三八條第二項により窃盗罪として處斷したのは正當である。

Un pas de plus ! もう一歩先へ 2項:
cf. 最判昭25・4・11(昭和24(れ)2893 強盗) 全文

判示事項
 共謀と刑法第三八條第二項

裁判要旨
 被告人がA等と恐喝の共謀をして現場に臨んだところ、Aが共謀の範圍を超えて強盜の既遂をした事實を認定するに十分である。してみると被告人は刑法第三八條第二項によつて恐喝既遂の責任を負うべきは當然である。

Un pas de plus ! もう一歩先へ 2項:
cf. 最判昭25・10・10(昭和25(れ)400  傷害致死幇助、銃砲等所持禁止令違反) 全文

判示事項
 正犯が人に傷害を加えるべきことを認識して幇助したところ正犯が殺害した場合における幇助者の罪責

裁判要旨
 原判決は、被告人が正犯たるAにおいて判示被害者両名に傷害を加えるに至るかも知れないと認識しながら判示匕首を貸与したところ、右Aが殺人の意思を以つて該匕首により被害者両名を刺殺した場合には、被告人は傷害致死幇助として刑法第二〇五条、同第六二条第一項をもつてこれを処断すべきである。

Un pas de plus ! もう一歩先へ 1項:
荷物が覚醒剤であるとの認識がなくとも、覚醒剤を含む違法な薬物であるとの認識があれば、覚醒剤取締法の輸入罪の故意が認められる。
 
cf. 最決平2・2・9(平成1(あ)1038  覚せい剤取締法違反、関税法違反) 全文

判示事項
 覚せい剤輸入罪及び所持罪における覚せい剤であることの認識の程度

裁判要旨
 

Un pas de plus ! もう一歩先へ
cf. 最決昭54・3・27(昭和52(あ)836  麻薬取締法違反、関税法違反) 全文

判示事項
 一 営利の目的で麻薬であるジアセチルモルヒネの塩類粉末を覚せい剤と誤認して輸入した場合とその罪責
 二 税関長の許可を受けないで麻薬を覚せい剤と誤認して輸入した場合とその罪責

裁判要旨
 一 営利の目的で、麻薬であるジアセチルモルヒネの塩類粉末を覚せい剤と誤認して輸入した場合には、麻薬取締法六四条二項、一項、一二条一項の麻薬輸入罪が成立する。
 二 税関長の許可を受けないで、麻薬を覚せい剤と誤認して輸入した場合には、関税法一一一条一項の無許可輸入罪が成立する。

Un pas de plus ! もう一歩先へ ただし書き:

行政刑罰法規に関して、過失行為を処罰する旨の明文の規定がない場合であっても、「その取締る事柄の本質にかんがみ」過失行為を処罰しうるとしています。
これは、当該特別法の目的から、罰則を定めた法条に過失行為を処罰する趣旨が包含されていると認められるときには、同法条が刑法38条1項ただし書きに規定される特別の規定に含まれるとしたものと解されています。

cf. 最判昭37・5・4(昭和35(あ)2945 賍物故買、古物営業法違反) 全文

判示事項
 一 古物営業法第一七条にいう「その都度」の意義
 二 同法第二九条、第一七条の法意
 三 同法第二九条、第一七条の合憲性

裁判要旨
 一 古物営業法第一七条にいう「その都度」とは、「そのたびごとに」の意に解すべきである。
 二 同法第二九条で処罰する「同法第一七条の規定に違反した者」とは故意に所定の記帳をしなかつた者ばかりでなく、過失により記帳しなかつた者をも包含する法意であると解すべきである。
 三 同法第二九条、第一七条の規定は、憲法第三八条第一項に違反しない。