改正前刑法95条 公務執行妨害及び職務強要

第95条 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
 
2 公務員に、ある処分をさせ、若しくはさせないため、又はその職を辞させるために、暴行又は脅迫を加えた者も、前項と同様とする。


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cf. 刑法95条 公務執行妨害及び職務強要

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Un pas de plus ! もう一歩先へ 1項:
cf. 最判昭53・6・29(昭和51(あ)310 公務執行妨害) 全文

判示事項
 一 刑法九五条一項にいう職務の範囲
 二 刑法九五条一項における職務の執行中であるか否かの判断に際しその性質上ある程度継続した一連の職務として把握するのが相当であるとされた事例
 三 刑法九五条一項における職務の執行が終了したものではないとされた事例
 四 公務執行妨害罪の主観的成立要件としての職務執行中であることの認識の程度

裁判要旨
 一 刑法九五条一項にいう職務には、ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてが含まれる。
 二 刑法九五条一項における職務の執行中であるか否かの判断に際しては、日本電信電話公社の電報局長の、局の事務全般を掌理し部下職員を指揮監督する職務及び同電報局次長の、局長を助け局務を整理する職務は、その性質上、その内容及び執行の過程を個別的に分断して部分的にそれぞれの開始、終了を論ずるべきではなく、一体性ないし継続性を有するものとして把握すべきである。
 三 本件電報局長の、電報料金の収納等に関する会計書類の点検、決裁の職務及び本件電報局次長の、電報配達業務等に関する上部機関への報告文書作成の職務の各執行が事実上一時的に中断したとしても、その状態が被告人の不法な目的をもつた行動によつて作出されたものである場合には、刑法九五条一項における職務の執行は終了したものではない。
 四 公務執行妨害罪の主観的成立要件としての職務執行中であることの認識があるというためには、行為者において公務員が職務行為の執行に当つていることの認識があれば足り、具体的にいかなる内容の職務の執行中であるかまで認識することを要しない。

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cf. 最判平37・1・23(昭和35(あ)2860 公務執行妨害) 全文

判示事項
 一 県教職員組合役員の組合員に対する所為が正当行為といえない事例
 二 刑法第九五条にいわゆる暴行の意義

裁判要旨
 一 K小学校教諭でF県教職員組合の役員が、同組合の勤務成績評定の実施等に反対する斗争に関連し、同校教諭で右組合員である甲の組合活動に非協力的な態度に憤慨して、甲を難詰し、両者が押問答をしているうち、甲が教室に入り、児童に対し自習および清掃をするように指示していたところ、そのあとを追つて同教室に入り、甲に対し「まだ話は終つていない。」といつて迫り、「生徒が見ていますから、やめて下さい。」といつて制止する甲の右手首を右手でつかみ、無理に教室外に連れ出そうとして引つ張つたので、甲が椅子とともに倒れたのを、なおもその手首をつかんだまま廊下に連れ出し、さらにその手を引つ張つて同校資料室に連れ込むなどの暴行を加えた所為は、たとえ右組合の団結統制力の行使としてなされたものであつても、これを正当な行為であるとはいえない。
 二 刑法第九五条にいわゆる暴行とは、公務員に対し、直接であると間接であるとを間わず不法な攻撃を加えることをいう。

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cf. 最判昭33・9・30(昭和31(あ)2882 暴行) 全文

判示事項
 一 刑法第九五条の暴行、脅迫と結果発生の要否。
 二 同条の暴行に該当する事例。

裁判要旨
 一 刑法第九五条の公務執行妨害罪は公務員が職務を執行するにあたりこれに対して暴行または脅迫を加えたときは直ちに成立するものであつて、その暴行または脅迫はこれにより現実に職務執行妨害の結果が発生したことを必要とするものではなく、妨害となるべきものであれば足りる。
 二 職務執行中の警察官に対する投石行為は、たとえそれが只一回であつても、同条の暴行に該当する。

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cf. 最判昭24・4・26(昭和23(れ)1699 傷害、公務執行妨害) 全文

判示事項
 一 列車発着の一七、八分前待機中の小荷物係駅手に対する暴行と公務執行妨害罪の成否
 二 驛員の少い停車場における小荷物係驛手の職務内容

裁判要旨
 一 小荷物の受付、計量、料金収納、プラツトホームへの運搬、列車への積卸し等小荷物に関するすべての業務を担当する小荷物駅手は、列車発着の直前においては待機の必要時に顕著であるから、列車発着の一七、八分前待機中の同駅手に対し暴行を加えたときは、公務執行妨害罪が成立する。
 二 論旨は原判決が被害者の職名又は係を示しただけでその職務行爲の内容を具體的に判示しなかつたことを非難している、しかし原判決にはA驛の小荷物係驛手と判示してあるので、それが停車場における小荷物に關する業務であることが明らかである、證據として引用されている原審公判における被害者の供述(記録九九丁表)によれば右の驛における被害者出勤日の小荷物係は被害者B、唯一人であつたそのように驛員の少い停車場に於ては小荷物を扱う業務は細分して分擔することができないから小荷物の受付、計量、料金収納、プラツトホームへの運搬、列車への積卸し等小荷物に關する凡ての業務を被害者が唯一人で擔當していたものであることが推知される。これ等の業務を遂行するため、殊に何時來るかもしれない、小荷物託送者に應接して小荷物を授受するためには係員ば絶へず職場に待機していなければならない、原審公判廷に於て裁判長が「小荷物係は汽車の發着時は席にいて仕事をしなくてはならないのだね」と問うたのに対して被害者は「左様です」と答えているが、これは小荷物係の最も主要な業務を示すだけで業務がそれに限られるという譯のものではないことは、上の説明で明らかであろう、かように被害者の職務の内容は、原判示から自から推知せられるからこれを以て所論のように理由不備の違法あるものとは言い得ない。

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cf. 最決平1・3・10(昭和61(あ)848 公務執行妨害、傷害) 全文

判示事項
 休憩宣言後の県議会委員長に対する暴行が公務執行妨害罪を構成するとされた事例

裁判要旨
 県議会委員長が委員会の休憩を宣言して退出しようとした場合であつても、なお審議に関して生じた紛議に対処するなどの職務に従事していたと認められる本件においては、その際委員長に対して加えられた暴行は公務執行妨害罪を構成する。

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cf. 最決昭34・8・27(昭和31(あ)4625 公務執行妨害) 全文

判示事項
 公務執行妨害罪の成立する事例。

裁判要旨
 司法巡査が覚せい剤取締法違反の現行犯人甲を逮捕する現場で証拠物として適法に差押え整理のため同所に置いた覚せい剤注射液入りアンプルを、被告人乙が足で踏付けて損壊したときは公務執行妨害罪が成立する。

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cf. 最判昭41・3・24(昭和40(あ)2109 公務執行妨害、傷害) 全文

判示事項
 一 執行吏が債権者たる会社の職員を補助者に使用することは執行吏執行等手続規則第一四条に違反するか
 二 刑法第九五条第一項にいう暴行脅迫の程度およびその客体。

裁判要旨
 一 執行吏が債権者たる会社の職員を補助者に使用することは、執行吏執行等手続規則第一四条に違反するとはいえない。
 二 刑法第九五条第一項に規定する公務執行妨害罪の成立には、公務員が職務の執行をなすに当り、その職務の執行を妨害するに足りる暴行脅迫がなされることを要するけれども、その暴行脅迫は、必ずしも直接に当該公務員自身に対して加えられることを要せず当該公務員の指揮に従いその手足となり、その職務の執行に密接不可分の関係において関与する補助者に対してなされるものでもよい。

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cf. 大阪高判昭32・7・22(昭和29(う)797 酒税法違反公務執行妨害傷害暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件) 全文

判示事項
 一、 公務執行妨害罪における執行行為の適法性の要件
 二、 公務員に認定権または裁量処分権を認められているばあいの執行行為の適法性の認定標準
 三、 被疑者を逮捕するばあいにおける方式違反と公務執行妨害罪の成否

裁判要旨
 一、 刑法第九五条第一項にいわゆる「公務員ノ職務ノ執行」は、逮捕のような強制力を行使するばあいには、公務員の行為が、その一般的または抽象的権限に属すること、およびその行為を為し得る法定の具体的条件を具備し、かつ法律上重要な手続の形式を覆践していることを要し、以上の条件を欠ぐときは公務執行妨害罪が成立しない。
 二、 公務員に認定権または裁量処分権を認められているばあいに、事後の判断において、公務員の認定に錯誤があつたと認められるばあいにおいても、職務執行の当時における状況を基準とし、公務員として用うべき注意義務のもとに合理的に判断したものと認め得られるときは、同条の保護する職務の執行というを妨げない。
 三、 逮捕状によつて被疑者を逮捕するにあたり、逮捕状を被疑者に示さず、また、逮捕状を所持しないためにこれを示すことができないばあいで急速を要するという理由により逮捕する際に、被疑者に対し、逮捕状が出ている旨を告げただけで被疑事実の要旨を告げなかつたときには、その逮捕行為は違法であつて、その執行者に対し暴行脅迫を加えても、公務執行妨害罪は成立しない。

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cf. 最判昭27・3・28(昭和25(れ)1325 所得税法違反、公務執行妨害) 全文

判示事項
 一 収税官吏が検査章を携帯せずにした物件検査行為とこれに対する公務執行妨害罪の成否
 二 収税官吏に対して暴行脅迫を加えてその職務の執行を妨げた場合の罪責

裁判要旨
 一 所得税に関する調査等をする職務を有する収税官吏が、所得税法第六三条により帳簿書類等の検査をするにあたつて、法定の検査章を携帯していなかつたとしても、納税義務者等において右検査章の不携帯を理由として右収税官吏の検査を拒んだような事実のない以上、これに対して暴行又は脅迫を加えたときは公務執行妨害罪を構成する。
 二 収税官吏が所得税法第六三条により帳簿書類等の検査をするにあたり、これに対して暴行脅迫を加えてその検査を妨げた場合には、公務執行妨害罪のみが成立し、所得税法第七〇条の別罪を構成するものではない。