第45条 確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とする。
数人共同して2人以上に暴行傷害を加えたときは、被害者数に応じた傷害罪等が成立し、その併合罪となるとしている。
cf. 最決昭53・2・16(昭和52(あ)1431 兇器準備集合、傷害、監禁、暴力行為等処罰に関する法律違反、外国人登録法違反、恐喝) 全文判示事項
一 数人共同して二人以上に対しそれぞれ暴行を加え一部の者に傷害を負わせた場合の罪数
二 起訴状に記載されていない罰条の適用
三 起訴状に記載されていない罰条の適用が許されるとされた事例
裁判要旨
一 数人共同して二人以上に対しそれぞれ暴行を加え、一部の者に傷害を負わせた場合には、傷害を受けた者の数だけの傷害罪と暴行を受けるにとどまつた者の数だけの暴力行為等処罰に関する法律一条の罪が成立し、以上は併合罪として処断すべきである。
二 裁判所は、訴因により公訴事実が十分に明確にされていて被告人の防禦に実質的な不利益が生じない限りは、罰条変更の手続を経ないで、起訴状に記載されていない罰条を適用することができる。
三 暴力行為等処罰に関する法律一条の罪にあたる事実が訴因によつて十分に明示されている場合には、裁判所は、起訴状に記載された刑法二〇八条の罰条を変更させる手続を経ないで、右法律一条を適用することができる。
判示事項
兇器準備集合の罪とその継続中における暴力行為等処罰に関する法律一条違反の罪とが併合罪の関係にあるとされた事例
裁判要旨
被告人が、甲ほか一一名と共謀のうえ、乙らに危害を加える目的をもつて、某日午後一一時頃から翌日午前二時三〇分頃までの間、某市内の乙方およびその付近路上ならびに同市内の甲方において猟銃、日本刀、包丁等の兇器を準備し、またはその準備のあることを知つて集合したという兇器準備集合の罪と、右某日午後一一時頃乙方において乙に対し所携の包丁、日本刀を示し、「指を詰めろ」等と申し向け、手拳等でその身体を殴打し、あるいは足蹴にする等し、もつて数人共同して兇器を示し、かつ、多衆の威力を示して暴行、脅迫を加えたという暴力行為等処罰に関する法律一条違反の罪とは、併合罪の関係にある。
判示事項
一 包括一罪と認むべき事例
二 包括一罪の公訴時効
裁判要旨
一 医師で麻薬施用者として免許を受けている被告人が、昭和二三年六月一五日頃より同九月三〇日頃までの間五四回および昭和二六年八月一〇日頃より同年一〇月一六日頃までの間三五回にわたり、同一の麻薬中毒患者に対しその中毒症状を緩和する目的をもつて麻薬である塩酸モルヒネ注射八九本を施用した各所為は、それぞれ包括一罪であると解するのが相当である。
二 包括一罪の公訴時効は、その最終の犯罪行為が終つた日から進行する。
判示事項
いわゆる一項強盗による強盗殺人未遂罪ではなく窃盗罪又は詐欺罪といわゆる二項強盗による強盗殺人未遂罪との包括一罪になるとされた事例
裁判要旨
甲と乙が、当初は丙を殺害してその所持する覚せい剤を強取することを計画したが、その後計画を変更し、共謀の上、まず甲において、覚せい剤取引の斡旋にかこつけて丙をホテルの一室に呼び出し、別室に買主が待機しているかのように装つて、覚せい剤の売買の話をまとめるためには現物を買主に見せる必要がある旨申し向けて丙から覚せい剤を受け取り、これを持つて同ホテルから逃走した後、間もなく、乙が丙のいる部屋に赴き丙を拳銃で狙撃したが殺害の目的を遂げなかつたという本件事案(判文参照)においては、いわゆる一項強盗による強盗殺人未遂罪は成立しないが、窃盗罪又は詐欺罪といわゆる二項強盗による強盗殺人未遂罪との包括一罪が成立する。
