第146条 水道により公衆に供給する飲料の浄水又はその水源に毒物その他人の健康を害すべき物を混入した者は、二年以上の有期懲役に処する。よって人を死亡させた者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
刑法147条 水道損壊及び閉塞
第147条 公衆の飲料に供する浄水の水道を損壊し、又は閉塞した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
刑法148条 通貨偽造及び行使等
第148条 行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
判示事項
刑法第一四九條にいわゆる「銀行券」の意義
裁判要旨
刑法第一四九條に規定する銀行券の僞造は通常人が不用意にこれを一見した場合に、眞正の銀行券と思い誤る程度に製作されることを要することは言うまでもない。されば、原審がその判決において押收に係る僞造百圓日本銀行券八三三二枚を證據中に飲用して被告人は他の者と共謀の上行使の目的を以て「二重合せ仙花紙に色別にして表は四回刷裏は二回刷で百圓札の文字及び模様を印刷して通用の日本銀行券百圓札合計八三三二枚を僞造したもの」の説明したのは前記の程度に製作されたことを判示した趣旨と解することができる。そして、所論の發券局長印は、百圓銀行券の裏面に印刷された小形の印影であつて、これがなくとも本件銀行券が冒頭に説明した程度に製作されたものと認定することを妨げるものではない。
刑法149条 外国通貨偽造及び行使等
第149条 行使の目的で、日本国内に流通している外国の貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、二年以上の有期懲役に処する。
2 偽造又は変造の外国の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
刑法150条 偽造通貨等収得
第150条 行使の目的で、偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を収得した者は、三年以下の懲役に処する。
刑法151条 未遂罪
第151条 前三条の罪の未遂は、罰する。
刑法152条 収得後知情行使等
第152条 貨幣、紙幣又は銀行券を収得した後に、それが偽造又は変造のものであることを知って、これを行使し、又は行使の目的で人に交付した者は、その額面価格の三倍以下の罰金又は科料に処する。ただし、二千円以下にすることはできない。
刑法153条 通貨偽造等準備
第153条 貨幣、紙幣又は銀行券の偽造又は変造の用に供する目的で、器械又は原料を準備した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
刑法154条 詔書偽造等
第154条 行使の目的で、御璽、国璽若しくは御名を使用して詔書その他の文書を偽造し、又は偽造した御璽、国璽若しくは御名を使用して詔書その他の文書を偽造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 御璽若しくは国璽を押し又は御名を署した詔書その他の文書を変造した者も、前項と同様とする。
刑法155条 公文書偽造等
第155条 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
2 公務所又は公務員が押印し又は署名した文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
3 前二項に規定するもののほか、公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は公務所若しくは公務員が作成した文書若しくは図画を変造した者は、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
虚偽公文書作成罪の教唆の故意で公文書偽造罪の教唆の罪を犯したものは、公文書偽造罪の教唆犯が成立する。
cf. 最判昭23・10・23(昭和23(れ)652 公文書偽造、教唆、偽造公文書行使幇助、収賄) 全文判示事項
一 採證と證據調の限度
二 刑務所醫務課長名儀の診斷書と公文書
三 公文書無形僞造の教唆を共謀した者の一人が結局公文書有形僞造の教唆により目的を達した場合の他の者の責任
四 公文書が僞造のものであることを知らず唯その内容が虚僞のものであると考えて行使した者の責任
五 刑務所看守部長が在監者の接見等について便宜な處置を採つたことの謝禮として金員を受領した行爲と收賄罪の成否
六 職務の内外に亘る行爲につき不可分的になされた謝禮と賄賂性の範圍
裁判要旨
一 證據調は事件について證據となり得るすべての資料について爲さねばならぬものではなく、裁判所が事實認定の爲め必要と認めるものについて爲せば足るものである。
二 原判決の舉示する證據によつて第一審相被告人Aが第一審相被告人Bを教唆し同人をして原判示の如き岡山刑務所醫務課長C名儀の診斷書一通を僞造せしめた事實を認定することができるのであるから原審が右診斷書を公文書と認定したのは正當である。
三 刑法第一五條六の公文書無形僞造の罪を教唆することを共謀した者の一人が結局公文書有形僞造教唆の手段を選びこれによつて目的を達した場合には、共謀者の他方は事實上公文書有形僞造教唆に直接關與しなかつたとしても、その結果に對する故意の責任を負わなければならない。
四 公文書が僞造のものであることを知らなかつたとしても、虚僞内容のものであると考えて行使した場合には僞造公文書行使罪の故意犯が成立する。
五 被告人(刑務所看守部長)がDの接見等について寛大便宜の處置を採つたことに對する謝禮の趣旨において金員を受取ることは被告人の職務に關するものであることは容疑の餘地のないところである。
六 職務行爲に對する謝禮と職務外の行爲に對する謝禮と不可分的に包括して提供された金員を公務員がその事實を知りながら之を收受した場合にはその金員全部は包括して不可分的に賄賂性を帶ぶるものである
