刑法246条の2 電子計算機使用詐欺

第246条の2 前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。


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cf. 改正前刑法246条の2 電子計算機使用詐欺

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cf. 東京高判平5・6・29(平成4(う)1344 電子計算機仕様詐欺被告事件) 全文

判示事項
 一 刑法二四六条の二にいう「虚偽ノ情報」の意義
 二 刑法二四六条の二にいう「虚偽ノ情報」に当たるとされた事例

裁判要旨
 一 刑法二四六条の二にいう「虚偽ノ情報」とは、電子計算機を使用する当該事務処理システムにおいて予定されている事務処理の目的に照らし、その内容が真実に反する情報をいい、金融実務における入金、振込入金においては、入金等の入力処理の原因となる経済的・資金的実体を伴わないかあるいはそれに符合しないものをいう。
 二 信用金庫の支店長が、自己の個人的債務の支払いのため、勝手に支店備付けの電信振込依頼書用紙等に受取人、金額等所要事項を記載しあるいは部下に命じて記載させ、支店係員をして振込入金等の電子計算機処理をさせた場合において、電子計算機に入力させた振込入金等の情報は、刑法二四六条の二にいう「虚偽ノ情報」に当たる。

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cf. 最決平18.2.14(平成17(あ)1601 強姦,恐喝,窃盗,電子計算機使用詐欺被告事件) 全文

判示事項
 窃取したクレジットカードの名義人氏名等を冒用してこれらをクレジットカード決済代行業者の使用する電子計算機に入力送信して電子マネーの利用権を取得した行為が電子計算機使用詐欺罪に当たるとされた事例

裁判要旨
 窃取したクレジットカードの名義人氏名,番号等を冒用して,これらを,インターネットを介し,クレジットカード決済代行業者の使用する電子計算機に入力送信して名義人本人が電子マネーの購入を申し込んだとする虚偽の情報を与え,その購入に関する不実の電磁的記録を作成し,電子マネーの利用権を取得した行為は,電子計算機使用詐欺罪に当たる。

刑法247条 背任

第247条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。


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cf. 改正前刑法247条 背任

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cf. 最判昭31・12・7(昭和28(あ)3954 背任) 全文

判示事項
 いわゆる二重抵当は背任罪を構成するか

裁判要旨
 甲に対し自己の不動産につき根抵当権設定後、いまだその登記なきを利用し、さらに乙に対して根抵当権を設定してその登記を了する所為は、甲に対する背任罪を構成する。

刑法248条 準詐欺

第248条 未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に乗じて、その財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得、若しくは他人にこれを得させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。


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cf. 改正前刑法248条 準詐欺

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準詐欺罪は、人を欺く行為に至らない誘惑などの手段が用いられた場合です。
 
cf. 判例(大判大4.6.15)

刑法252条 横領

第252条 自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の拘禁刑に処する。
 
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。


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cf. 改正前刑法252条 横領

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cf. 最判昭26・5・25(昭和25(れ)1661 横領) 全文

判示事項
 一 使途を定められて寄託された金銭と横領罪
 二 旧刑訴法第四〇四条と憲法第三七条第一項

裁判要旨
 一 使途を定められて寄託された金銭については特別の事情のないかぎり受託者は刑法第二五二条にいわゆる「他人ノ物」を占有するものと解すべきであつて、受託者がその金銭について擅に委託の本旨に違つた処分をしたときは横領罪を構成する。
 二 旧刑訴法第四〇四条は、憲法第三七条第一項に違反しない。

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cf. 最判昭30・12・26(昭和30(あ)2713 横領) 全文

判示事項
 不動産の二重売買と横領罪

裁判要旨
 不動産の所有権が売買によつて買主に移転した場合、登記簿上の所有名義がなお売主にあるときは、売主はその不動産を占有するものと解すべく、従つていわゆる二重売買においては横領罪が成立する。

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cf. 最判昭31・6・26(昭和29(あ)1447 横領、たばこ専売法違反) 全文

判示事項
 一 他に所有権移転後未だその旨の登記を経ざる不動産を、悪意にて代物弁済として所有権を取得する行為と横領罪共犯の成否
 二 いわゆる事後処分として横領罪を構成しない一事例

裁判要旨
 一 甲がその所有にかかる不動産を第三者に売却し所有権を移転したるも未だその旨の登記を了しない場合において、乙がその情を知りながら甲に対する債権の代物弁済として右不動産の所有権を取得しその旨の登記をしたとしても、乙は適法に所有権を取得したものであるから、甲の不動産横領罪の共犯とはならない。
 二 甲がその所有にかかる不動産を第三者に売却し所有権を移転したるも未だその旨の登記を了しないことを奇貨とし、乙に対し右不動産につき抵当権を設定しその旨の登記をするときは横領罪が成立する。従つて、甲がその後更に乙に対し右不動産の所有権を移転してその旨の登記をした場合には前記抵当権設定登記をした時に横領罪が成立し右所有権移転契約後登記の直前に抵当権設定登記を抹消したとしても、更に横領罪を構成するものではない。

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cf. 最判昭34・3・13(昭和31(あ)2521 横領、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反) 全文

判示事項
 一 売買農地の所有権移転の効力発生時期
 二 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第四条所定の「金銭の貸借の媒介を行う者」の意義
 三 不動産の登記簿上の所有名義と刑法上の占有
 四 上告受理申立の理由書記載事項を援用した上告趣意書の適否

裁判要旨
 一 売買農地の所有権移転は知事の許可と同時に其の効力を発生するものと解すべきである。
 二 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第四条所定の「金銭の貸借の媒介を行う者」とは単に金銭の貸借の媒介を行う者と解すべきであつて、業として行うと否とを問わない。
 三 不動産の所有権が売買により買主に移転しかつ該不動産が買主に引渡されたとしても、登記簿上の所有名義がなお売主にあるときは、売主は刑法上その不動産を占有するものと解すべきである。
 四 上告趣意書自体にその趣意内容を示さないで、単に上告受理申立の理由書記載事項につき裁判を求めると記載したものは、適法な上告趣意書といえない。

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cf. 最決昭55・7・15(昭和55(あ)119 横領) 全文

判示事項
 自動車販売会社から所有権留保の特約付割賦売買契約に基づいて引渡を受けた自動車を金融業者に対し自己の借入金の担保として提供した所為が横領罪に該当するとされた事例

裁判要旨
 なし

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cf. 最判昭36・10・10(昭和33(あ)319 賍物牙保、横領) 全文

判示事項
 賍物の牙保者がその売却代金を着服した場合と横領罪の成否。

裁判要旨
 窃盗犯人から賍物の牙保を依頼されてその交付を受けた牙保者が、その売却代金をほしいままに着服した場合は、横領罪が成立する。

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cf. 最決昭21・3・26(平成20(あ)2253 電磁的公正証書原本不実記録,同供用,横領被告事件) 全文

判示事項
 他人所有の建物を同人のために預かり保管していた者が,金銭的利益を得ようとして,同建物の電磁的記録である登記記録に不実の抵当権設定仮登記を了したことにつき,電磁的公正証書原本不実記録罪及び同供用罪とともに,横領罪が成立するとされた事例

裁判要旨
 甲会社から乙及び丙に順次譲渡されたものの,所有権移転登記が未了のため甲会社が登記簿上の所有名義人であった建物を,甲会社の実質的代表者として丙のために預かり保管していた被告人が,甲会社が名義人であることを奇貨とし,乙及び丙から原状回復にしゃ口して解決金を得ようと企て,上記建物に係る電磁的記録である登記記録に不実の抵当権設定仮登記を了した場合には,電磁的公正証書原本不実記録罪及び同供用罪とともに,横領罪が成立する。

刑法253条 業務上横領

第253条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の拘禁刑に処する。


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cf. 改正前刑法253条 業務上横領

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cf. 最判昭24・3・8(昭和23(れ)1412 業務上横領) 全文

判示事項
 一 横領罪の成立に必要な不法領得の意思の意義
 二 農業會が寄託を受けた供出米の保管の任務と農業會長の不法處分

裁判要旨
 一 横領罪の成立に必要な不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき權限がないのに所有者でなければできないような處分をする意思をいうのであつて必ずしも占有者が自己の利益取得を意圖することを必要とするものではなく、又占有者において不法に處分したものを後日に補顛する意思が行爲當時にあつたからとて横領罪の成立を妨げるものではない。
 二 農業會は各農家から寄託を受けた供出米については政府への賣渡手續を終つた後政府の指圖によつて出庫するまでの間は、これを保管する任務を有するのであるから農業會長がほしいままに他に之を處分するが如きは固より法の許さないところである。

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cf. 最大判昭15・4・23(平成13(あ)746 業務上横領被告事件) 全文

判示事項
 1 委託を受けて他人の不動産を占有する者がこれにほしいままに抵当権を設定してその旨の登記を了していた場合においてその後これについてほしいままに売却等の所有権移転行為を行いその旨の登記を了する行為と横領罪の成否
 2 委託を受けて他人の不動産を占有する者がこれにほしいままに抵当権を設定してその旨の登記を了した後これについてほしいままに売却等の所有権移転行為を行いその旨の登記を了した場合において後行の所有権移転行為のみが横領罪として起訴されたときの審理方法

裁判要旨
 1 委託を受けて他人の不動産を占有する者が,これにほしいままに抵当権を設定してその旨の登記を了した後,これについてほしいままに売却等の所有権移転行為を行いその旨の登記を了したときは,後行の所有権移転行為について横領罪の成立を肯定することができ,先行の抵当権設定行為が存在することは同罪の成立自体を妨げる事情にはならない。
 2 委託を受けて他人の不動産を占有する者が,これにほしいままに抵当権を設定してその旨の登記を了した後,これについてほしいままに売却等の所有権移転行為を行いその旨の登記を了した場合において,後行の所有権移転行為のみが横領罪として起訴されたときは,裁判所は,所有権移転の点だけを審判の対象とすべきであり,犯罪の成否を決するに当たり,所有権移転行為に先立って横領罪を構成する抵当権設定行為があったかどうかといった訴因外の事情に立ち入って審理判断すべきではない。

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商法その他の法令に違反するとの一事から、直ちに行為者の不法領得の意思を認めることはできない

cf. 最決平13・11・5(平成8(あ)267 所得税法違反,業務上横領被告事件) 全文

判示事項
 業務上横領罪における不法領得の意思が肯定された事例

裁判要旨
 株式会社の取締役経理部長が会社の株式の買占めに対抗するための工作費用として会社の資金を第三者に交付した場合において,会社の不利益を回避する意図を有していたとしても,交付金額が高額であるなど交付行為が会社にとって重大な経済的負担を伴い,違法行為を目的とするものとされるおそれもあったのに,交付の相手方や工作の具体的内容等につき調査をしたり,その結果の報告を求めたりした形跡がうかがわれず,また自己の弱みを隠す意図等をも有していたなどの事情(判文参照)の下においては,交付の意図は専ら会社のためにするところにはなく,業務上横領罪における不法領得の意思があったと認められる。

刑法254条 遺失物等横領

第254条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。


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cf. 改正前刑法254条 遺失物等横領

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cf. 最決昭56・2・20(昭和54(あ)2285 遺失物横領、賍物故買) 全文

判示事項
 網生けすから逃げ出した鯉について遺失物横領罪が成立するとされた事例

裁判要旨
 養殖業者の網生けすから広大な湖沼に逃げ出した鯉であつても、他人が飼養していたものであることを知りながらほしいままに領得すれば(判文参照)、遺失物横領罪が成立する。

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cf. 東京高判昭28・6・12(昭和28(う)750 詐欺被告事件) 全文

判示事項
 無尽会社の掛金集金人の集金使込みが詐欺罪でなく業務上横領罪を構成するとした一事例

裁判要旨
 無尽会社の外務員として無尽契約の募集および掛金の集金等の業務に従事していた者が、たとえ事前にこれを会社に入金するつもりでなく自己の用途に費消する意思であつても集金先に対し、これを秘して集金先からそれぞれ無尽掛金を受け取りこれを擅に自己の用途に費消しまたはその目的のために着服したときは、業務上横領罪が成立しその集金行為が詐欺罪を構成するものではない。