刑法38条 故意

第38条 罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
 
2 重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。
 
3 法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減軽することができる。


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Un pas de plus ! もう一歩先へ 1項:

法定的符合説に立ちつつ、数故意犯説を採用。学説は法定的符合説について、構成要件の範囲内で故意を抽象化する以上、故意に個数を観念できないと考えるのが自然であるとして、一罪の故意犯の意思をもってした場合に、複数の故意犯の成立を認める数故意犯説に親和的であるとする。

cf. 最判昭53・7・28(昭和52(あ)623 強盗殺人未遂、銃砲刀剣類所持等取締法違反、火薬類取締法違反) 全文

判示事項
 強盗殺人未遂罪といわゆる打撃の錯誤

裁判要旨
 犯人が強盗の手段として人を殺害する意思のもとに銃弾を発射して殺害行為に出た結果、犯人の意図した者に対して右側胸部貫通銃創を負わせたほか、犯人の予期しなかつた者に対しても腹部貫通銃創を負わせたときは、後者に対する関係でも強盗未遂罪が成立する。

Un pas de plus ! もう一歩先へ 2項:

事実の錯誤において故意を認めるために、構成要件の重なり合いを前提に、「両罪の構成要件が実質的に重なり合う限度で軽い」犯罪の「故意が成立し同罪が成立する」とする考え方(法定的符合説)

cf. 最決昭61・6・9(昭和61(あ)172  大麻取締法違反、麻薬取締法違反) 全文

判示事項
 一 覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパン塩酸塩粉末を麻薬であるコカインと誤認して所持した場合の罪責
 二 覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパン塩酸塩粉末を麻薬であるコカインと誤認して所持した場合における没収の適条

裁判要旨
 一 覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパン塩酸塩粉末を麻薬であるコカインと誤認して所持した場合には、麻薬取締法六六条一項、二八条一項の麻薬所持罪が成立する。
 二 覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパン塩酸塩粉末を麻薬であるコカインと誤認して所持した場合における覚せい剤の没収は、覚せい剤取締法四一条の六によるべきである。

 
Un pas de plus ! もう一歩先へ 2項:
cf. 最判昭23.5.1( 昭和23(れ)105 窃盗、賍物故買) 全文

判示事項
 窃盗の意思で強盗の見張をした者の責任

裁判要旨
 被告人以外の共犯者は最初から強盗の意思で強盗の結果を實現したのであるがただ被告人だけは輕い窃盗の意思で他の共犯者の勸誘に應じて屋外で見張をしたと云うのであるから、被告人は輕い窃盗の犯意で重い強盗の結果を發生させたものであるが、共犯者の強盗所爲は、被告人の豫期しないところであるからこの共犯者の強盗行爲について、被告人に強盗の責任を問うことはできない譯である。然らば、原判決が被告人に對し刑法第三八條第二項により窃盗罪として處斷したのは正當である。

Un pas de plus ! もう一歩先へ 2項:
cf. 最判昭25・4・11(昭和24(れ)2893 強盗) 全文

判示事項
 共謀と刑法第三八條第二項

裁判要旨
 被告人がA等と恐喝の共謀をして現場に臨んだところ、Aが共謀の範圍を超えて強盜の既遂をした事實を認定するに十分である。してみると被告人は刑法第三八條第二項によつて恐喝既遂の責任を負うべきは當然である。

Un pas de plus ! もう一歩先へ 2項:
cf. 最判昭25・10・10(昭和25(れ)400  傷害致死幇助、銃砲等所持禁止令違反) 全文

判示事項
 正犯が人に傷害を加えるべきことを認識して幇助したところ正犯が殺害した場合における幇助者の罪責

裁判要旨
 原判決は、被告人が正犯たるAにおいて判示被害者両名に傷害を加えるに至るかも知れないと認識しながら判示匕首を貸与したところ、右Aが殺人の意思を以つて該匕首により被害者両名を刺殺した場合には、被告人は傷害致死幇助として刑法第二〇五条、同第六二条第一項をもつてこれを処断すべきである。

Un pas de plus ! もう一歩先へ 1項:
荷物が覚醒剤であるとの認識がなくとも、覚醒剤を含む違法な薬物であるとの認識があれば、覚醒剤取締法の輸入罪の故意が認められる。
 
cf. 最決平2・2・9(平成1(あ)1038  覚せい剤取締法違反、関税法違反) 全文

判示事項
 覚せい剤輸入罪及び所持罪における覚せい剤であることの認識の程度

裁判要旨
 

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cf. 最決昭54・3・27(昭和52(あ)836  麻薬取締法違反、関税法違反) 全文

判示事項
 一 営利の目的で麻薬であるジアセチルモルヒネの塩類粉末を覚せい剤と誤認して輸入した場合とその罪責
 二 税関長の許可を受けないで麻薬を覚せい剤と誤認して輸入した場合とその罪責

裁判要旨
 一 営利の目的で、麻薬であるジアセチルモルヒネの塩類粉末を覚せい剤と誤認して輸入した場合には、麻薬取締法六四条二項、一項、一二条一項の麻薬輸入罪が成立する。
 二 税関長の許可を受けないで、麻薬を覚せい剤と誤認して輸入した場合には、関税法一一一条一項の無許可輸入罪が成立する。

Un pas de plus ! もう一歩先へ ただし書き:

行政刑罰法規に関して、過失行為を処罰する旨の明文の規定がない場合であっても、「その取締る事柄の本質にかんがみ」過失行為を処罰しうるとしています。
これは、当該特別法の目的から、罰則を定めた法条に過失行為を処罰する趣旨が包含されていると認められるときには、同法条が刑法38条1項ただし書きに規定される特別の規定に含まれるとしたものと解されています。

cf. 最判昭37・5・4(昭和35(あ)2945 賍物故買、古物営業法違反) 全文

判示事項
 一 古物営業法第一七条にいう「その都度」の意義
 二 同法第二九条、第一七条の法意
 三 同法第二九条、第一七条の合憲性

裁判要旨
 一 古物営業法第一七条にいう「その都度」とは、「そのたびごとに」の意に解すべきである。
 二 同法第二九条で処罰する「同法第一七条の規定に違反した者」とは故意に所定の記帳をしなかつた者ばかりでなく、過失により記帳しなかつた者をも包含する法意であると解すべきである。
 三 同法第二九条、第一七条の規定は、憲法第三八条第一項に違反しない。

刑法39条 心神喪失及び心神耗弱

第39条 心神喪失者の行為は、罰しない。
 
2 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

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cf. 最決昭58・9・13(昭和58(あ)753  窃盗) 全文

判示事項
 一 心神喪失又は心神耗弱の判断の性質
 二 責任能力判断の前提となる生物学的要素及び心理学的要素についての判断権

裁判要旨
 一 刑法三九条にいう心神喪失又は心神耗弱に該当するかどうかは法律判断であつて、専ら裁判所に委ねられるべき問題である。
 二 刑法三九条にいう心神喪失又は心神耗弱に該当するかどうかの法律判断の前提となる生物学的、心理学的要素についての評価は、右法律判断との関係で究極的には裁判所に委ねられるべき問題である。

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cf. 最決昭59・7・3(昭和58(あ)1761  殺人、殺人未遂) 全文

判示事項
 精神分裂病者と責任能力

裁判要旨
 被告人が犯行当時精神分裂病に罹患していたからといつて、そのことだけで直ちに被告人が心神喪失の状態にあつたとされるものではなく、その責任能力の有無・程度は、被告人の犯行当時の病状、犯行前の生活状態、犯行の動機・態様等を総合して判定すべきである。

 
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cf. 最判平21・12・8(平成20(あ)1718 殺人,殺人未遂,銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件) 全文

判示事項
 1 精神鑑定の意見の一部を採用した場合と責任能力の有無・程度の判断
 2 責任能力の有無・程度について原判決の判断手法に誤りがないとされた事例

裁判要旨
 1 裁判所は,特定の精神鑑定の意見の一部を採用した場合においても,責任能力の有無・程度について,当該意見の他の部分に拘束されることなく,被告人の犯行当時の病状,犯行前の生活状態,犯行の動機・態様等を総合して判定することができる。
 2 精神医学者の精神鑑定における意見のうち被告人が心神喪失の状態にあったとする部分を前提資料や推論過程に疑問があるとして採用せず,責任能力の有無・程度について,被告人の犯行当時の病状,犯行前後の言動や犯行の動機,従前の生活状態から推認される人格傾向等を総合考慮して,統合失調症による病的体験と犯行との関係,被告人の本来の人格傾向と犯行との関連性の程度等を検討し,被告人が心神耗弱の状態にあったと認定した原判決の判断手法に誤りはない。

Un pas de plus ! もう一歩先へ 2項:

いわゆる原因において自由な行為(原自行)を認めたものと解される

cf. 最決昭43・2・27(昭和42(あ)1814 恐喝、道路交通法違反) 全文

判示事項
 酒酔い運転につき刑法第三九条第二項の適用がないとされた事例

裁判要旨
 酒酔い運転の行為当時に飲酒酩酊により心神耗弱の状態にあつたとしても、飲酒の際酒酔い運転の意思が認められる場合には、刑法第三九条第二項を適用して刑の減軽をすべきではない。

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cf. 大阪高判昭56・9・30(昭和56(う)517  覚せい剤取締法違反被告事件) 全文

判示事項
 覚せい剤の使用及び所持につき刑法三九条の適用がないとされた事例

裁判要旨
 覚せい剤の使用及び所持について、犯行当時覚せい剤中毒等により少なくとも心神耗弱の状態にあつても、責任能力がある当時における覚せい剤の反復使用、継続所持の意思が実現されたものと認められる場合には、刑法三九条を適用すべきではない。

 
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cf. 最大判昭26・1・17(昭和25(れ)548 殺人、賍物故買) 全文

判示事項
 一 酩酊すると暴行する習癖のある注意義務
 二 殺人の公訴事実中には過失致死の事実も含まれるか

裁判要旨
 一 本件被告人の如く、多量に飲酒するときは病的酩酊に陥り、因つて心神喪失状態において他人に犯罪の害悪を及ぼす危険ある素質を有する者は、居常右心神喪失の原因となる飲酒を抑止又は制限する等前示危険の発生を未然に防止するよう注意する義務あるものといわねばならない。しからば、たとえ原判決認定のように、本件殺人の所為は被告人の心身喪失時の所為であつたとしても、(イ)被告人にして既に前示のような己れの素質を自覚していたものであり且つ(ロ)本件事前の飲酒につき前示注意義務を怠つたがためであるとするならば、被告人は過失致死の罪責を免れ得ないものといわねばならない。
 二 殺人の公訴事実中には過失致死の事実をも包含するものと解するを至当とすべきである。

刑法42条 自首等

第42条 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
 
2 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。


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cf. 最判昭24・5・14(昭和23(れ)1921 強盗傷人) 全文

判示事項
 刑法第四二條第一項「未ダ官ニ發覺セザル前」の意義

裁判要旨
 刑法第四二條第一項の「未ダ官ニ發覺セザル前」とは犯罪の事實が全く官に發覺しない場合は勿論、犯罪の事實は発覺していても犯人の何人たるかが發覺していない場合をも包含するのであるが犯罪事實及び犯人の何人たるかが官に判明しているが犯人の所在だけが判明しない場合を包含しないものと解すべきである。

刑法43条 未遂減免

第43条 犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。


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cf. 最大判昭29・1・20(昭和24(れ)1881 強盗、同予備、窃盗) 全文

判示事項
 一 予備罪と中止未遂の関係
 二 第一審判決の不定期刑を第二審が定期刑にする場合と旧刑訴第四〇三条

裁判要旨
 一 予備罪には中止未遂の観念を容れる余地がない。
 二 第一審が旧少年法第八条に従い、懲役二年六月以上四年以下の不定期刑を言い渡した被告人が控訴の申立をした事件において、第二審がその判決時において既に成人となつていた被告人に対し、右不定期刑の中間位である三年三月より重い懲役四年の定期刑を言い渡したときは旧刑訴第四〇三条に違反する。註。田中、井上、谷村各裁判官は中間説に同調

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cf. 最決昭32・9・10(昭和30(あ)1418 尊属殺人未遂) 全文

判示事項
 障がい未遂と認むべき一事例

裁判要旨
 被告人の犯行完成の意力を抑圧した原因が、本件のように、犯罪の完成を妨害するに足る性質の障がいに基くものと認められる場合は、いわゆる中止未遂ではなく、障がい未遂にあたると解するを相当とする。

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cf. 福岡高判昭61・3・6(昭和60(う)643 殺人未遂被告事件) 全文

判示事項
 中止未遂と認められた事例

裁判要旨
 判文摘示のとおり、未必的殺意をもつて被害者の頸部を果物ナイフで突き刺したところ、流血を見て驚愕するとともに悔悟の情から、右頸部にタオルを当てたり救急車を呼んで医師の手当てを受けさせたりして被害者の一命を取り止めた場合には、任意の意思に基づく中止行為として中止未遂にあたる。

 
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cf. 最判昭24・5・17(昭和23(れ)2017 強盗予備) 全文

判示事項
 強盜の豫備をなし其の以後の行爲を中止した者の責任

裁判要旨
 しかし原審の認定したクロールエチールの買入A、B、C、等を仲間に引入れた事實、日本刀の入手等によつて既に豫備としては既遂になつて居るのである。従つて其以後の行為を中止したからといつて未遂にならない。原審が中止未遂の法條を適用しなかつたのは當然である。なほ原審公判調書を見ても辯護人が所論のような主張をした形跡はないから、原判決に舊刑事訴訟法第三六〇條第二項違反はない。

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cf. 最判昭24・12・17(昭和24(れ)1800 強盗) 全文

判示事項
 共犯者の中一人は自己の意思に因り犯行を中止し他の者が犯行の目的を遂げた場合中止未遂の規定の適用の有無

裁判要旨
 共犯者の中一人が自己の意思に因り犯行を中止しても、他の者の犯行を阻止せず放任し、その者が犯行を遂げた場合は、前者に対し中止未遂の規定な適用することはできない。

刑法45条 併合罪

第45条 確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とする。


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数人共同して2人以上に暴行傷害を加えたときは、被害者数に応じた傷害罪等が成立し、その併合罪となるとしている

cf. 最決昭53・2・16(昭和52(あ)1431 兇器準備集合、傷害、監禁、暴力行為等処罰に関する法律違反、外国人登録法違反、恐喝) 全文

判示事項
 一 数人共同して二人以上に対しそれぞれ暴行を加え一部の者に傷害を負わせた場合の罪数
 二 起訴状に記載されていない罰条の適用
 三 起訴状に記載されていない罰条の適用が許されるとされた事例

裁判要旨
 一 数人共同して二人以上に対しそれぞれ暴行を加え、一部の者に傷害を負わせた場合には、傷害を受けた者の数だけの傷害罪と暴行を受けるにとどまつた者の数だけの暴力行為等処罰に関する法律一条の罪が成立し、以上は併合罪として処断すべきである。
 二 裁判所は、訴因により公訴事実が十分に明確にされていて被告人の防禦に実質的な不利益が生じない限りは、罰条変更の手続を経ないで、起訴状に記載されていない罰条を適用することができる。
 三 暴力行為等処罰に関する法律一条の罪にあたる事実が訴因によつて十分に明示されている場合には、裁判所は、起訴状に記載された刑法二〇八条の罰条を変更させる手続を経ないで、右法律一条を適用することができる。

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cf. 最決昭48・2・8(昭和47(あ)159 兇器準備集合、暴力行為等処罰に関する法律違反) 全文

判示事項
 兇器準備集合の罪とその継続中における暴力行為等処罰に関する法律一条違反の罪とが併合罪の関係にあるとされた事例

裁判要旨
 被告人が、甲ほか一一名と共謀のうえ、乙らに危害を加える目的をもつて、某日午後一一時頃から翌日午前二時三〇分頃までの間、某市内の乙方およびその付近路上ならびに同市内の甲方において猟銃、日本刀、包丁等の兇器を準備し、またはその準備のあることを知つて集合したという兇器準備集合の罪と、右某日午後一一時頃乙方において乙に対し所携の包丁、日本刀を示し、「指を詰めろ」等と申し向け、手拳等でその身体を殴打し、あるいは足蹴にする等し、もつて数人共同して兇器を示し、かつ、多衆の威力を示して暴行、脅迫を加えたという暴力行為等処罰に関する法律一条違反の罪とは、併合罪の関係にある。

Un pas de plus ! もう一歩先へ
cf. 最判昭31・8・3(昭和29(あ)180 麻薬取締法違反) 全文

判示事項
 一 包括一罪と認むべき事例
 二 包括一罪の公訴時効

裁判要旨
 一 医師で麻薬施用者として免許を受けている被告人が、昭和二三年六月一五日頃より同九月三〇日頃までの間五四回および昭和二六年八月一〇日頃より同年一〇月一六日頃までの間三五回にわたり、同一の麻薬中毒患者に対しその中毒症状を緩和する目的をもつて麻薬である塩酸モルヒネ注射八九本を施用した各所為は、それぞれ包括一罪であると解するのが相当である。
 二 包括一罪の公訴時効は、その最終の犯罪行為が終つた日から進行する。

Un pas de plus ! もう一歩先へ
cf. 最決昭61・11・18(昭和60(あ)1198 強盗殺人未遂、恐喝未遂、殺人未遂、銃砲刀剣類所持等取締法違反、火薬類取締法違反) 全文

判示事項
 いわゆる一項強盗による強盗殺人未遂罪ではなく窃盗罪又は詐欺罪といわゆる二項強盗による強盗殺人未遂罪との包括一罪になるとされた事例

裁判要旨
 甲と乙が、当初は丙を殺害してその所持する覚せい剤を強取することを計画したが、その後計画を変更し、共謀の上、まず甲において、覚せい剤取引の斡旋にかこつけて丙をホテルの一室に呼び出し、別室に買主が待機しているかのように装つて、覚せい剤の売買の話をまとめるためには現物を買主に見せる必要がある旨申し向けて丙から覚せい剤を受け取り、これを持つて同ホテルから逃走した後、間もなく、乙が丙のいる部屋に赴き丙を拳銃で狙撃したが殺害の目的を遂げなかつたという本件事案(判文参照)においては、いわゆる一項強盗による強盗殺人未遂罪は成立しないが、窃盗罪又は詐欺罪といわゆる二項強盗による強盗殺人未遂罪との包括一罪が成立する。

刑法46条 併科の制限

第46条 併合罪のうちの一個の罪について死刑に処するときは、他の刑を科さない。ただし、没収は、この限りでない。
 
2 併合罪のうちの一個の罪について無期の懲役又は禁錮に処するときも、他の刑を科さない。ただし、罰金、科料及び没収は、この限りでない。


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刑法47条 有期の懲役及び禁錮の加重

第47条 併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。


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cf. 最判平15・7・10(平成15(あ)60 略取,逮捕監禁致傷,窃盗被告事件) 全文

判示事項
 1 刑法47条の法意
 2 刑訴法495条2項2号にいう「上訴審において原判決が破棄されたとき」の意義

裁判要旨
 1 刑法47条は,併合罪のうち2個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは,同条が定めるところに従って併合罪を構成する各罪全体に対する統一刑を処断刑として形成し,その範囲内で各罪全体に対する刑を決することとした規定であって,併合罪の構成単位である各罪について個別的な量刑判断を行うことは,法律上予定されていない。
 2 刑訴法495条2項2号にいう「上訴審において原判決が破棄されたとき」とは,当該上訴審における破棄判決が確定した場合をいう。