第197条の3 公務員が前二条の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、一年以上の有期懲役に処する。
2 公務員が、その職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、若しくはその要求若しくは約束をし、又は第三者にこれを供与させ、若しくはその供与の要求若しくは約束をしたときも、前項と同様とする。
3 公務員であった者が、その在職中に請託を受けて職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。
刑法197条の4 あっせん収賄
第197条の4 公務員が請託を受け、他の公務員に職務上不正な行為をさせるように、又は相当の行為をさせないようにあっせんをすること又はしたことの報酬として、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。
刑法197条の5 没収及び追徴
第197条の5 犯人又は情を知った第三者が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
刑法198条 贈賄
第198条 第百九十七条から第百九十七条の四までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金に処する。
刑法199条 殺人
第199条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
未必的な殺意をもって,上記医療措置を受けさせないまま放置して患者を死亡させた被告人には,不作為による殺人罪が成立し,殺意のない患者の親族との間では保護責任者遺棄致死罪の限度で共同正犯となる
cf. 最決平17・7・4(平成15(あ)1468 殺人被告事件) 全文判示事項
重篤な患者の親族から患者に対する「シャクティ治療」(判文参照)を依頼された者が入院中の患者を病院から運び出させた上必要な医療措置を受けさせないまま放置して死亡させた場合につき未必的殺意に基づく不作為による殺人罪が成立するとされた事例
裁判要旨
重篤な患者の親族から患者に対する「シャクティ治療」(判文参照)を依頼された者が,入院中の患者を病院から運び出させた上,未必的な殺意をもって,患者の生命を維持するために必要な医療措置を受けさせないまま放置して死亡させたなど判示の事実関係の下では,不作為による殺人罪が成立する。
判示事項
業務上過失傷害罪と殺人罪とが併合罪の関係にあるとされた事例
裁判要旨
人を熊と誤認して猟銃を二発発射し下腹部等に命中させて瀕死の重傷を負わせたという業務上過失傷害の罪と、誤射に気がつき殺意をいだいてさらに猟銃を一発発射し胸部等に命中させて即死させたという殺人の罪とは、併合罪の関係にある。
判示事項
1 被害者を失神させた上自動車ごと海中に転落させてでき死させようとした場合につき被害者を失神させる行為を開始した時点で殺人罪の実行の着手があるとされた事例
2 いわゆる早過ぎた結果の発生と殺人既遂の成否
裁判要旨
1 クロロホルムを吸引させて失神させた被害者を自動車ごと海中に転落させてでき死させようとした場合において,クロロホルムを吸引させて失神させる行為が自動車ごと海中に転落させる行為を確実かつ容易に行うために必要不可欠であり,失神させることに成功すれば,それ以降の殺害計画を遂行する上で障害となるような特段の事情が存しなかったなど判示の事実関係の下では,クロロホルムを吸引させる行為を開始した時点で殺人罪の実行の着手があったと認められる。
2 クロロホルムを吸引させて被害者を失神させた上自動車ごと海中に転落させるという一連の殺人行為に着手して,その目的を遂げた場合には,犯人の認識と異なり,海中に転落させる前の時点でクロロホルムを吸引させる行為により被害者が死亡していたとしても,殺人の故意に欠けるところはなく,殺人の既遂となる。
判示事項
殺人の目的で静脈内に空気を注射する行為と不能犯
裁判要旨
殺人の目的で静脈内に空気を注射したときは、右空気の量が致死量以下であつても、右行為は不能犯とはいえない。
判示事項
自殺させて保険金を取得する目的で被害者に命令して岸壁上から自動車ごと海中に転落させた行為が殺人未遂罪に当たるとされた事例
裁判要旨
自動車の転落事故を装い被害者を自殺させて保険金を取得する目的で,極度に畏怖して服従していた被害者に対し,暴行,脅迫を交えつつ,岸壁上から車ごと海中に転落して自殺することを執ように要求し,被害者をして,命令に応じて車ごと海中に飛び込む以外の行為を選択することができない精神状態に陥らせていたなど判示の事実関係の下においては,被害者に命令して岸壁上から車ごと海中に転落させた行為は,被害者において,命令に応じて自殺する気持ちがなく,水没前に車内から脱出して死亡を免れた場合でも,殺人未遂罪に当たる。
判示事項
殺人罪にあたるとされた事例
裁判要旨
厳寒の深夜、銘酊しかつ暴行を受けて衰弱している被害者を河川堤防上に連行し、未必の殺意をもつて、その上衣、ズボンを脱がせたうえ、脅迫的言動を用いて同人を護岸際まで追いつめ、逃げ場を失つた同人を川に転落するのやむなきに至らしめて溺死させた行為(判文参照)は、殺人罪にあたる。
刑法200条 削除
第200条 削除
刑法201条 予備
第201条 第百九十九条の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。
判示事項
殺人予備罪の共同正犯にあたるとされた事例。
裁判要旨
殺人の目的を有する者から、これに使用する毒物の入手を依頼され、その使途を認識しながら、右毒物を入手して依頼者に手交した者は、右毒物による殺人が予備に終つた場合に、殺人予備罪の共同正犯としての責任を負うものと解すべきである。
刑法202条 自殺関与及び同意殺人
第202条 人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。
判示事項
一 被害者の意思の瑕疵と刑法第二〇二条の嘱託、承諾。
二 擬装心中は殺人罪にあたるか。
裁判要旨
一 被害者の意思が自由な真意に基かない場合は刑法第二〇二条にいう被殺者の嘱託または承諾としては認められない。
二 自己に追死の意思がないに拘らず被害者を殺害せんがため、これを欺罔し追死を誤信させて自殺させた所為は、通常の殺人罪に該当する。
判示事項
一 被害者の意思の瑕疵と刑法第二〇二条の嘱託、承諾。
二 擬装心中は殺人罪にあたるか。
裁判要旨
一 被害者の意思が自由な真意に基かない場合は刑法第二〇二条にいう被殺者の嘱託または承諾としては認められない。
二 自己に追死の意思がないに拘らず被害者を殺害せんがため、これを欺罔し追死を誤信させて自殺させた所為は、通常の殺人罪に該当する。
判示事項
通常の意思能力のない被害者に縊死の方法を教えて縊首させた所為と殺人罪
裁判要旨
被害者が通常の意思能力もなく、自殺の何たるかも理解せず、しかも被告人の命ずることは何でも服従するのを利用して、その被害者に縊死の方法を教えて縊首せしめ死亡するに至らしめた所為は、殺人罪にあたる。
刑法203条 未遂罪
刑法204条 傷害
第204条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
判示事項
一 被害者の承諾と傷害罪の成否
二 被害者の承諾が傷害行為の違法性を阻却しないとされた事例
裁判要旨
一 被害者が身体傷害を承諾した場合に傷害罪が成立するか否かは、単に承諾が存在するという事実だけでなく、右承諾を得た動機、目的、身体傷害の手段、方法、損傷の部位、程度など諸般の事情を照らし合せて決すべきである。
二 過失による自動車衝突事故であるかのように装い保険金を騙取する目的で、被害者の承諾を得てその者に故意に自己の運転する自動車を衝突させて傷害を負わせた場合には、右承諾は、当該傷害行為の違法性を阻却するものではない。
判示事項
一 傷害罪において暴行と傷害の結果との間に因果関係ありと認められる特異な事例
二 傷害罪の犯意
裁判要旨
一 被告人が被害者に対して大声で「何をボヤボヤしているのだ」等と悪口を浴せ、矢庭に拳大の瓦の破片を投げつけ、なおも「殺すぞ」等と怒鳴りながら側にあつた鍬を振りあげて追いかける気勢を示したので被害者がこれに驚いて難を避けようとして夢中で逃げ出し、約二十間走り続けるうち過つて鉄棒に躓いて顛倒し、打撲傷を負うた場合には、右傷害の結果は、被告人の暴行によつて生じたものと解するのが相当である。
二 傷害罪は結果犯であつて、その成立には傷害の原因たる暴行についての意思があれば足り、特に傷害の意思の存在を必要としない。
判示事項
共謀加担後の暴行が共謀加担前に他の者が既に生じさせていた傷害を相当程度重篤化させた場合の傷害罪の共同正犯の成立範囲
裁判要旨
他の者が被害者に暴行を加えて傷害を負わせた後に,被告人が共謀加担した上,更に暴行を加えて被害者の傷害を相当程度重篤化させた場合,被告人は,被告人の共謀及びそれに基づく行為と因果関係を有しない共謀加担前に既に生じていた傷害結果については,傷害罪の共同正犯としての責任を負うことはなく,共謀加担後の傷害を引き起こすに足りる暴行によって傷害の発生に寄与したことについてのみ,傷害罪の共同正犯としての責任を負う。
判示事項
1 同一被害者に対し一定の期間内に反復累行された一連の暴行によって種々の傷害を負わせた事実について,包括一罪とされた事例
2 包括一罪を構成する一連の暴行による傷害について,訴因の特定に欠けるところはないとされた事例
裁判要旨
1 同一被害者に対し約4か月間又は約1か月間という一定の期間内に反復累行された一連の暴行によって種々の傷害を負わせた事実については,その暴行が,被告人と被害者との一定の人間関係を背景として,共通の動機から繰り返し犯意を生じて行われたものであることなどの事情(判文参照)に鑑みると,全体を一体のものと評価し,包括して一罪と解することができる。
2 包括一罪を構成する一連の暴行による傷害については,本件のような訴因(判文参照)であっても,共犯者,被害者,期間,場所,暴行の態様及び傷害結果を記載することをもって,その特定に欠けるところはない。
判示事項
傷害罪が暴行を手段としないで成立する一事例
裁判要旨
性病を感染させる懸念のあることを認識しながら婦女子に対し詐言を弄して性交し、その結果病毒を感染させた場合、傷害罪が成立する。
判示事項
不法に被害者を監禁し,その結果,被害者に外傷後ストレス障害(PTSD)を発症させた場合について,監禁致傷罪の成立が認められた事例
裁判要旨
不法に被害者を監禁し,その結果,被害者が,医学的な診断基準において求められている特徴的な精神症状が継続して発現していることなどから外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したと認められる場合,同障害の惹起は刑法にいう傷害に当たり,監禁致傷罪が成立する。
判示事項
自宅から隣家の被害者に向けて連日連夜ラジオの音声等を大音量で鳴らし続け被害者に慢性頭痛症等を生じさせた行為が傷害罪の実行行為に当たるとされた事例
裁判要旨
自宅から隣家の被害者に向けて,精神的ストレスによる障害を生じさせるかもしれないことを認識しながら,連日連夜,ラジオの音声及び目覚まし時計のアラーム音を大音量で鳴らし続けるなどして,被害者に精神的ストレスを与え,慢性頭痛症等を生じさせた行為(判文参照)は,傷害罪の実行行為に当たる。
判示事項
睡眠薬等を摂取させて数時間にわたり意識障害及び筋弛緩作用を伴う急性薬物中毒の症状を生じさせた行為につき傷害罪の成立が認められた事例
裁判要旨
病院で勤務中ないし研究中であった者に対し,睡眠薬等を摂取させたことによって,約6時間又は約2時間にわたり意識障害及び筋弛緩作用を伴う急性薬物中毒の症状を生じさせた行為は,傷害罪を構成する。
