刑法158条 偽造公文書行使等

第158条 第百五十四条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第一項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。
 
2 前項の罪の未遂は、罰する。
 

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cf. 最決昭42・3・30(昭和41(あ)2151 公文書偽造、同行使、恐喝未遂、詐欺) 全文

判示事項
 偽造公文書行使罪にあたるとされた事例

裁判要旨
 公立高等学校の教諭である被告人が甲と共謀のうえ、偽造にかかる同高等学校長乙名義の甲の卒業証書を、真正に成立したものとして、甲の父丙に提示する行為は、単に丙を満足させる目的のみをもつてなされたとしても、偽造公文書行使罪にあたる。

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cf. 最大判昭44・6・18(昭和43(あ)1651 有印公文書偽造、同行使、道路交通法違反) 全文

判示事項
 一 牽連犯を構成する二罪の中間に別罪の確定裁判が介在する場合と刑法五四条の適用
 二 偽造運転免許証の携帯運転と偽造公文書行使罪の成否

裁判要旨
 一 牽連犯を構成する手段となる犯罪と結果となる犯罪との中間に別罪の確定裁判が介在する場合においても、なお刑法五四条の適用がある。
 二 自動車を運転する際に偽造にかかる運転免許証を携帯しているに止まる場合には、偽造公文書行使罪を構成しない

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cf. 東京高判昭44・11・5(昭和44(う)1701 公文書偽造、同行使、道路交通法違反被告事件) 全文

判示事項
 偽造運転免許証の携帯と偽造公文書行使未遂罪の成否

裁判要旨
 自動車を運転する際に、偽造にかかる運転免許証を携帯しているに止まる場合には、偽造公文書行使の未遂罪も成立しない。

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cf. 最決昭52・4・25(昭和51(あ)1689 窃盗、道路交通法違反、有印公文書偽造、同行使、私文書偽造、同行使) 全文

判示事項
 偽造公文書行使罪が成立するとされた事例

裁判要旨
 偽造にかかる自動車運転免許証表示の有効期間が三ケ月余経過した時点であつても、警察官をして、真正に作成され、かつ、被告人が自動車運転免許を受けたものであると誤信させるに足りる外観を具備していると認められる本件免許証の提示行為は、偽造公文書の行使にあたる。

改正前刑法159条 私文書偽造等

第159条 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
 
2 他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
 
3 前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。


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cf. 刑法159条 私文書偽造等


 

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cf. 最決昭56・4・8(昭和54(あ)1613 道路交通法違反、有印私文書偽造、同行使) 全文

判示事項
 交通反則切符中の供述書をあらかじめ承諾を得て他人名義で作成した場合と私文書偽造罪の成否

裁判要旨
 交通反則切符中の供述書を他人の名義で作成した場合は、あらかじめその他人の承諾を得ていたとしても、私文書偽造罪が成立する。

 
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cf. 最判平5・10・5(平成5(あ)135 有印私文書偽造、同行使) 全文

判示事項
 自己の氏名が弁護士甲と同姓同名であることを利用して「弁護士甲」の名義で文書を作成した所為が私文書偽造罪に当たるとされた事例

裁判要旨
 自己の氏名が弁護士甲と同姓同名であることを利用して、「弁護士甲」の名義で弁護士の業務に関連した形式、内容の文書を作成した所為は、たとえ名義人として表示された者の氏名が自己の氏名と同一であったとしても、私文書偽造罪に当たる。

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cf. 最決平6・11・29(平成5(あ)498 有印私文書偽造、同行使) 全文

判示事項
 入学選抜試験の答案と刑法一五九条一項にいう事実証明に関する文書

裁判要旨
 入学選抜試験の答案は、刑法一五九条一項にいう事実証明に関する文書に当たる。

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cf. 東京高判平5・4・5(平成4(う)911 有印私文書偽造・同行使被告事件) 全文

判示事項
 私立大学入学選抜試験の答案と刑法一五九条一項にいう「事実証明に関する文書」

裁判要旨
 私立大学入学選抜試験の答案は、刑法一五九条一項にいう「事実証明に関する文書」に当たる。

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cf. 最決平11・12・20(平成9(あ)1227 有印私文書偽造、同行使被告事件) 全文

判示事項
 虚偽の氏名等を記載した履歴書等を作成行使した行為が有印私文書偽造、同行使罪に当たるとされた事例

裁判要旨
 虚偽の氏名等を記載した履歴書及び雇用契約書等を作成行使した行為は、たとえ自己の顔写真がはり付けられ、あるいは各文書から生ずる責任を免れようとする意思を有していなかったとしても、有印私文書偽造、同行使罪に当たる。

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cf. 最決昭45・9・4(昭和44(あ)1421 有印私文書偽造、同行使、公正証書原本不実記載、同行使) 全文

判示事項
 いわゆる代表名義の文書の名義人

裁判要旨
 他人の代表者または代理人として文書を作成する権限のない者が、他人を代表もしくは代理すべき資格、または、普通人をして他人を代表もしくは代理するものと誤信させるに足りるような資格を表示して作成した文書の名義人は、代表もしくは代理された本人であると解するのが相当である。

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cf. 最決平15・10・6(平成14(あ)1164 有印私文書偽造被告事件) 全文

判示事項
 正規の国際運転免許証に酷似する文書をその発給権限のない団体の名義で作成した行為が私文書偽造罪に当たるとされた事例

裁判要旨
 正規の国際運転免許証に酷似する文書をその発給権限のない団体Aの名義で作成した行為は,上記文書が,一般人をして,その発給権限を有する団体であるAにより作成された正規の国際運転免許証であると信用させるに足りるものであるなど判示の事実関係の下では,団体Aから上記文書の作成を委託されていたとしても,私文書偽造罪に当たる。

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cf. 最決昭56・12・22(昭和56(あ)1302 有印私文書偽造、同行使、道路交通法違反) 全文

判示事項
 他人の氏名が限られた範囲で被告人を指称するものとして通用していた場合において右氏名を用いて交通切符中の供述書を作成した所為と私文書偽造罪の成否

裁判要旨
 遁刑中であることが発覚するのを恐れて義弟と同一の氏名を使用して生活していた被告人が、右氏名を使用して交通切符中の供述書を作成した場合は、その氏名がたまたまある限られた範囲において被告人を指称するものとして通用していたとしても、私文書偽造罪が成立する。

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cf. 最判昭59・2・17(昭和58(あ)257 外国人登録違法違反、有印私文書偽造、同行使) 全文

判示事項
 被告人を指称するものとして相当広範囲に定着していた名称を用いて再入国許可申請書を作成行使した所為が私文書偽造同行使罪にあたるとされた事例

裁判要旨
 本邦に密入国し外国人の新規登録申請をしていないにもかかわらず、甲名義で発行された外国人登録証明書を他から取得し、その名義で登録事項確認申請を繰り返すことにより、自らが外国人登録証明書の甲その人であるかのように装つて本邦に在留を続けていた被告人が、甲名義を用いて再入国許可申請書を作成、行使した所為は、被告人において甲という名称を永年自己の氏名として公然使用した結果、それが相当広範囲に被告人を指称するものとして定着していた場合であつても、私文書偽造、同行使罪にあたる。

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cf. 最決昭49・2・9(昭和48(あ)2192 道路交通法違反、私文書偽造、同行使) 全文

判示事項
 死亡者の名義を冒用した交通事件原票中の供述者の作成と私文書偽造罪の成否

裁判要旨
 既に死亡している友人の氏名を冒用し交通事件原票中の供述書を作成した場合でも、一般人をして名義人が実在していると誤信させるような私文書を偽造したものと認めるのが相当であり、私文書偽造罪が成立する(最高裁判所昭和二五年(れ)第一三三五号同二六年五月一一日第二小法廷判決・刑集五巻六号一一〇二頁、同二七年(あ)第一三四二号同二八年一一月一三日第二小法廷判決・刑集七巻一一号二〇九六頁参照)。

刑法161条 偽造私文書等行使

第161条 前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。
 
2 前項の罪の未遂は、罰する。


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cf. 東京高判平7・3・14(平成6(う)124 詐欺、有印私文書偽造、同行使被告事件) 全文

判示事項
 詐欺罪と偽造有印私文書行使罪とが包括一罪とされた事例

裁判要旨
 融資金を騙取し、これを原資とする銀行預金を融資金の担保とする旨の偽造質権設定承諾書を被騙取者に交付した場合、右交付が融資金の入手(騙取)につき必要不可欠なものとして、これと同時的、一体的に行われることが予想されていたときは、詐欺罪と偽造有印私文書行使罪とは包括一罪として処断するのが相当である。

改正前刑法161条の2 電磁的記録不正作出及び供用

第161条の2 人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 
2 前項の罪が公務所又は公務員により作られるべき電磁的記録に係るときは、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
 
3 不正に作られた権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を、第一項の目的で、人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録を不正に作った者と同一の刑に処する。
 
4 前項の罪の未遂は、罰する。


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cf. 刑法161条の2 電磁的記録不正作出及び供用

改正前刑法163条の2 支払用カード電磁的記録不正作出等

第163条の2 人の財産上の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する電磁的記録であって、クレジットカードその他の代金又は料金の支払用のカードを構成するものを不正に作った者は、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。預貯金の引出用のカードを構成する電磁的記録を不正に作った者も、同様とする。
 
2 不正に作られた前項の電磁的記録を、同項の目的で、人の財産上の事務処理の用に供した者も、同項と同様とする。
 
3 不正に作られた第一項の電磁的記録をその構成部分とするカードを、同項の目的で、譲り渡し、貸し渡し、又は輸入した者も、同項と同様とする。


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cf. 刑法163条の2 支払用カード電磁的記録不正作出等

改正前刑法163条の4 支払用カード電磁的記録不正作出準備

第163条の4 第百六十三条の二第一項の犯罪行為の用に供する目的で、同項の電磁的記録の情報を取得した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。情を知って、その情報を提供した者も、同様とする。
 
2 不正に取得された第百六十三条の二第一項の電磁的記録の情報を、前項の目的で保管した者も、同項と同様とする。
 
3 第一項の目的で、器械又は原料を準備した者も、同項と同様とする。


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cf. 刑法163条の4 支払用カード電磁的記録不正作出準備