第316条 次の各号に該当することが明らかであるときは、原裁判所は、決定で、上告を却下しなければならない。
一 上告が不適法でその不備を補正することができないとき。
二 前条第一項の規定に違反して上告理由書を提出せず、又は上告の理由の記載が同条第二項の規定に違反しているとき。
2 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
民事訴訟法317条 上告裁判所による上告の却下等
第317条 前条第一項各号に掲げる場合には、上告裁判所は、決定で、上告を却下することができる。
2 上告裁判所である最高裁判所は、上告の理由が明らかに第三百十二条第一項及び第二項に規定する事由に該当しない場合には、決定で、上告を棄却することができる。
民事訴訟法318条 上告受理の申立て
第318条 上告をすべき裁判所が最高裁判所である場合には、最高裁判所は、原判決に最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院又は上告裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件について、申立てにより、決定で、上告審として事件を受理することができる。
2 前項の申立て(以下「上告受理の申立て」という。)においては、第三百十二条第一項及び第二項に規定する事由を理由とすることができない。
3 第一項の場合において、最高裁判所は、上告受理の申立ての理由中に重要でないと認めるものがあるときは、これを排除することができる。
4 第一項の決定があった場合には、上告があったものとみなす。この場合においては、第三百二十条の規定の適用については、上告受理の申立ての理由中前項の規定により排除されたもの以外のものを上告の理由とみなす。
5 第三百十三条から第三百十五条まで及び第三百十六条第一項の規定は、上告受理の申立てについて準用する。
民事訴訟法319条 口頭弁論を経ない上告の棄却
第319条 上告裁判所は、上告状、上告理由書、答弁書その他の書類により、上告を理由がないと認めるときは、口頭弁論を経ないで、判決で、上告を棄却することができる。
民事訴訟法320条 調査の範囲
第320条 上告裁判所は、上告の理由に基づき、不服の申立てがあった限度においてのみ調査をする。
民事訴訟法321条 原判決の確定した事実の拘束
第321条 原判決において適法に確定した事実は、上告裁判所を拘束する。
2 第三百十一条第二項の規定による上告があった場合には、上告裁判所は、原判決における事実の確定が法律に違反したことを理由として、その判決を破棄することができない。
民事訴訟法322条 職権調査事項についての適用除外
第322条 前二条の規定は、裁判所が職権で調査すべき事項には、適用しない。
民事訴訟法323条 仮執行の宣言
第323条 上告裁判所は、原判決について不服の申立てがない部分に限り、申立てにより、決定で、仮執行の宣言をすることができる。
民事訴訟法324条 最高裁判所への移送
第324条 上告裁判所である高等裁判所は、最高裁判所規則で定める事由があるときは、決定で、事件を最高裁判所に移送しなければならない。
民事訴訟法325条 破棄差戻し等
第325条 第三百十二条第一項又は第二項に規定する事由があるときは、上告裁判所は、原判決を破棄し、次条の場合を除き、事件を原裁判所に差し戻し、又はこれと同等の他の裁判所に移送しなければならない。高等裁判所が上告裁判所である場合において、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときも、同様とする。
2 上告裁判所である最高裁判所は、第三百十二条第一項又は第二項に規定する事由がない場合であっても、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原判決を破棄し、次条の場合を除き、事件を原裁判所に差し戻し、又はこれと同等の他の裁判所に移送することができる。
3 前二項の規定により差戻し又は移送を受けた裁判所は、新たな口頭弁論に基づき裁判をしなければならない。この場合において、上告裁判所が破棄の理由とした事実上及び法律上の判断は、差戻し又は移送を受けた裁判所を拘束する。
4 原判決に関与した裁判官は、前項の裁判に関与することができない。