会社法515条 他の手続の中止等

第515条 特別清算開始の命令があったときは、破産手続開始の申立て、清算株式会社の財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分若しくは外国租税滞納処分又は財産開示手続(民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百九十七条第一項の申立てによるものに限る。以下この項において同じ。)若しくは第三者からの情報取得手続(同法第二百五条第一項第一号、第二百六条第一項又は第二百七条第一項の申立てによるものに限る。以下この項において同じ。)の申立てはすることができず、破産手続(破産手続開始の決定がされていないものに限る。)、清算株式会社の財産に対して既にされている強制執行、仮差押え及び仮処分の手続並びに外国租税滞納処分並びに財産開示手続及び第三者からの情報取得手続は中止する。ただし、一般の先取特権その他一般の優先権がある債権に基づく強制執行、仮差押え、仮処分又は財産開示手続若しくは第三者からの情報取得手続については、この限りでない。
 
2 特別清算開始の命令が確定したときは、前項の規定により中止した手続又は処分は、特別清算の手続の関係においては、その効力を失う。
 
3 特別清算開始の命令があったときは、清算株式会社の債権者の債権(一般の先取特権その他一般の優先権がある債権、特別清算の手続のために清算株式会社に対して生じた債権及び特別清算の手続に関する清算株式会社に対する費用請求権を除く。以下この節において「協定債権」という。)については、第九百三十八条第一項第二号又は第三号に規定する特別清算開始の取消しの登記又は特別清算終結の登記の日から二箇月を経過する日までの間は、時効は、完成しない。


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民事再生法25条 再生手続開始の条件

第25条 次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。
 
 一 再生手続の費用の予納がないとき。
 
 二 裁判所に破産手続又は特別清算手続が係属し、その手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき。
 
 三 再生計画案の作成若しくは可決の見込み又は再生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき。
 
 四 不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。


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もう一歩先へ 3号:
「再生計画認可の見込みがないことが明らかであるとき」

総議決権の過半数を超える議決権を有する再生債権者が再生手続開始に強固に反対意思を表明していることが挙げられます。

もう一歩先へ 4号:
「不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき」

再生手続開始の申立てが、債務者がその負担した連帯保証債務を免れる方法として再生手続における否認権行使を利用しようとされたと認められる場合、当該申立ては、連帯保証債務の取消しのみを目的とした申立てであって、本来の目的から逸脱した濫用的な目的でされた申立てということができるから、これを棄却すべきとしています。

破産法217条 破産手続開始の決定後の破産手続廃止の決定

第217条 裁判所は、破産手続開始の決定があった後、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産管財人の申立てにより又は職権で、破産手続廃止の決定をしなければならない。この場合においては、裁判所は、債権者集会の期日において破産債権者の意見を聴かなければならない。
 
2 前項後段の規定にかかわらず、裁判所は、相当と認めるときは、同項後段に規定する債権者集会の期日における破産債権者の意見の聴取に代えて、書面によって破産債権者の意見を聴くことができる。この場合においては、当該意見の聴取を目的とする第百三十五条第一項第二号又は第三号に掲げる者による同項の規定による債権者集会の招集の申立ては、することができない。
 
3 前二項の規定は、破産手続の費用を支弁するのに足りる金額の予納があった場合には、適用しない。
 
4 裁判所は、第一項の規定による破産手続廃止の決定をしたときは、直ちに、その主文及び理由の要旨を公告し、かつ、その裁判書を破産者及び破産管財人に送達しなければならない。
 
5 裁判所は、第一項の申立てを棄却する決定をしたときは、その裁判書を破産管財人に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
 
6 第一項の規定による破産手続廃止の決定及び同項の申立てを棄却する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
 
7 第一項の規定による破産手続廃止の決定を取り消す決定が確定したときは、当該破産手続廃止の決定をした裁判所は、直ちに、その旨を公告しなければならない。
 
8 第一項の規定による破産手続廃止の決定は、確定しなければその効力を生じない。


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もう一歩先へ 1項:
異時廃止のための債権者集会

破産法71条 相殺の禁止

第71条 破産債権者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。
 一 破産手続開始後に破産財団に対して債務を負担したとき。
 二 支払不能になった後に契約によって負担する債務を専ら破産債権をもってする相殺に供する目的で破産者の財産の処分を内容とする契約を破産者との間で締結し、又は破産者に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより破産者に対して債務を負担した場合であって、当該契約の締結の当時、支払不能であったことを知っていたとき。
 三 支払の停止があった後に破産者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
 四 破産手続開始の申立てがあった後に破産者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、破産手続開始の申立てがあったことを知っていたとき。
 
2 前項第二号から第四号までの規定は、これらの規定に規定する債務の負担が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
 一 法定の原因
 二 支払不能であったこと又は支払の停止若しくは破産手続開始の申立てがあったことを破産債権者が知った時より前に生じた原因
 三 破産手続開始の申立てがあった時より一年以上前に生じた原因


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破産法72条 相殺の禁止

第72条 破産者に対して債務を負担する者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。
 一 破産手続開始後に他人の破産債権を取得したとき。
 二 支払不能になった後に破産債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払不能であったことを知っていたとき。
 三 支払の停止があった後に破産債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
 四 破産手続開始の申立てがあった後に破産債権を取得した場合であって、その取得の当時、破産手続開始の申立てがあったことを知っていたとき。
 
2 前項第二号から第四号までの規定は、これらの規定に規定する破産債権の取得が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
 一 法定の原因
 二 支払不能であったこと又は支払の停止若しくは破産手続開始の申立てがあったことを破産者に対して債務を負担する者が知った時より前に生じた原因
 三 破産手続開始の申立てがあった時より一年以上前に生じた原因
 四 破産者に対して債務を負担する者と破産者との間の契約


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破産法162条 特定の債権者に対する担保の供与等の否認

第162条 次に掲げる行為(既存の債務についてされた担保の供与又は債務の消滅に関する行為に限る。)は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。
 一 破産者が支払不能になった後又は破産手続開始の申立てがあった後にした行為。ただし、債権者が、その行為の当時、次のイ又はロに掲げる区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事実を知っていた場合に限る。
  イ 当該行為が支払不能になった後にされたものである場合 支払不能であったこと又は支払の停止があったこと。
  ロ 当該行為が破産手続開始の申立てがあった後にされたものである場合 破産手続開始の申立てがあったこと。
 二 破産者の義務に属せず、又はその時期が破産者の義務に属しない行為であって、支払不能になる前三十日以内にされたもの。ただし、債権者がその行為の当時他の破産債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
 
2 前項第一号の規定の適用については、次に掲げる場合には、債権者は、同号に掲げる行為の当時、同号イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事実(同号イに掲げる場合にあっては、支払不能であったこと及び支払の停止があったこと)を知っていたものと推定する。
 一 債権者が前条第二項各号に掲げる者のいずれかである場合
 二 前項第一号に掲げる行為が破産者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が破産者の義務に属しないものである場合
 
3 第一項各号の規定の適用については、支払の停止(破産手続開始の申立て前一年以内のものに限る。)があった後は、支払不能であったものと推定する。


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cf. 民事再生法127条の3 特定の債権者に対する担保の供与等の否認

破産法15条 破産手続開始の原因

第15条 債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
 
2 債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。


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もう一歩先へ 1項:
支払不能とは、
債務者が支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいいます。

cf. 破産法2条11項 定義

相殺禁止(破産法71条、72条)、偏頗行為否認(破産法162条1項)を画する基準時ともなります。

cf. 破産法71条 相殺の禁止

cf. 破産法72条 相殺の禁止

cf. 破産法162条 特定の債権者に対する担保の供与等の否認
もう一歩先へ 2項:
支払停止とは
支払不能を外部に表示する債務者の主観的行為で、具体例として、手形の不渡り、夜逃げ、弁護士等の介入通知など。

破産法16条 法人の破産手続開始の原因

第16条 債務者が法人である場合に関する前条第一項の規定の適用については、同項中「支払不能」とあるのは、「支払不能又は債務超過(債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態をいう。)」とする。
 
2 前項の規定は、存立中の合名会社及び合資会社には、適用しない。


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もう一歩先へ
自然人や合名・合資会社のような人的会社の存立中の場合については、「支払不能」だけが破産原因です。

株式会社のような物的会社については「債務超過」も破産原因としています。

相続財産は「債務超過」だけが破産原因となります。

破産法35条 法人の存続の擬制

第35条 他の法律の規定により破産手続開始の決定によって解散した法人又は解散した法人で破産手続開始の決定を受けたものは、破産手続による清算の目的の範囲内において、破産手続が終了するまで存続するものとみなす。


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