刑法205条 傷害致死

第205条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。


e-Gov 刑法

 

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cf. 最決平16・2・17(平成15(あ)1716 傷害致死,建造物侵入,強盗,強盗未遂,道路交通法違反被告事件) 全文
 
判示事項
 被害者が暴行による傷害の治療中に医師の指示に従わなかったために治療の効果が上がらなかったとしても暴行と死亡との間に因果関係があるとされた事例

裁判要旨
 暴行による傷害がそれ自体死亡の結果をもたらし得るものであった場合には,その治療中に被害者が医師の指示に従わず安静に努めなかったために治療の効果が上がらなかったという事情が介在したとしても,上記暴行と被害者の死亡との間には因果関係がある。

 
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cf. 最決平15・7・16(平成15(あ)35  傷害致死被告事件) 全文
 
判示事項
 暴行とその被害者が現場からの逃走途中に遭遇した交通事故による死亡との間に因果関係があるとされた事例

裁判要旨
 暴行の被害者が現場からの逃走途中に高速道路に進入するという極めて危険な行動を採ったために交通事故に遭遇して死亡したとしても,その行動が,長時間激しくかつ執ような暴行を受け,極度の恐怖感を抱いて,必死に逃走を図る過程で,とっさに選択されたものであり,暴行から逃れる方法として,著しく不自然,不相当であったとはいえないなど判示の事情の下においては,上記暴行と被害者の死亡との間には因果関係がある。

 
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行為者の行為によって、すでに結果を惹起する決定的な原因が作り出された場合には、その後の因果関係が通常のものとはいえないとしても、行為の危険性が結果へと現実化したとの判断が可能となります(直接実現型)

cf. 最決平2・11・20(昭和63(あ)1124  傷害致死、傷害) 全文(大阪南港事件)

判示事項
 第三者の暴行が介在した場合でも当初の暴行と死亡との間の因果関係が認められるとされた事例

裁判要旨
 被告人の暴行により被害者の死因となった傷害が形成された場合には、その後第三者により加えられた暴行によって死期が早められたとしても、被告人の暴行と被害者の死亡との間には因果関係がある。

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被害者の病気という特殊事情と相まって、それ自体致命的でな暴行により被害者が死亡したときは、被告人が行為当時その特殊事情を知らず、また予測不能でも、行為と結果の間に因果関係がある旨判示しており、行為者の認識を不要としています

cf. 最判昭25・3・31(昭和24(れ)2831 常習賭博、傷害致死) 全文

判示事項
 被告人の行爲と當時豫測し得なかつた特殊事情とによる致死の結果と因果関係

裁判要旨
 原判決の確定した事實によると被告人は被害者の左眼の部分を右足で蹴付けたのである。そして原審が證據として採用した鑑定人の鑑定書中死亡登龍の屍体の外傷として左側上下眼瞼は直經約五糎の部分が腫傷し暗紫色を呈し左眼の瞳孔の左方角膜に直經〇、五糎の鮮紅色の溢血があると記載されているから、その左眼の傷が被告人の足蹴によつたものであることは明かである。ところで被告人の暴行もその興えた傷創もそのものだけでは致命的なものではないが(醫師は傷は一〇日位で癒るものだと述べている)被害者は豫て脳梅毒にかかつて居り脳に高度の病的變化があつたので顔面に激しい外傷を受けたため脳の組織を一定度崩壊せしめその結果死亡するに至つたものであることは原判決舉示の鑑定書の記載から十分に認められるのである。而して右鑑定により被告人の行爲によつて脳組織の崩壊を來したものであること、從つて被告人の行爲と被害者の死亡との間に因果關係を認めることができるのであつて、かゝる判斷は毫も經驗則に反するものではない。又被告人の行爲が被害者の脳梅毒による脳の高度の病的變化という特殊の事情さえなかつたならば致死の結果を生じなかつたであろうと認められる場合で被告人が行爲當時その特殊事情と相まつて致死の結果を生ぜしめたときはその行爲と結果との間に因果關係を認めることができるのである。