会社法352条 取締役の職務を代行する者の権限

第352条 民事保全法(平成元年法律第九十一号)第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役又は代表取締役の職務を代行する者は、仮処分命令に別段の定めがある場合を除き、株式会社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
 
2 前項の規定に違反して行った取締役又は代表取締役の職務を代行する者の行為は、無効とする。ただし、株式会社は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。


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もう一歩先へ 1項:
取締役の職務を代行する者の権限は原則として、株式会社の常務に属するものに限定されていますが、取締役の職務を代行する者を代表取締役に選定することもできます。
もう一歩先へ 1項:
常務とは、会社として日常行われる業務と解されるため、定時株主総会の招集は常務と解されますが、臨時株主総会の招集は常務には含まれないと解されます。
 
そのため代表取締役の職務代行者が招集した臨時総会の決議に基づく登記を申請する場合には、裁判所の許可書又は仮処分命令に別段の定めがあることを証する書面を添付する必要があります。

cf. 商業登記規則61条1項 株式会社の登記の添付書面
 
似て非なる一時役員
cf. 会社法346条 役員等に欠員を生じた場合の措置

民事保全法56条 法人の代表者の職務執行停止の仮処分等の登記の嘱託

第56条 法人を代表する者その他法人の役員として登記された者について、その職務の執行を停止し、若しくはその職務を代行する者を選任する仮処分命令又はその仮処分命令を変更し、若しくは取り消す決定がされた場合には、裁判所書記官は、法人の本店又は主たる事務所の所在地(外国法人にあっては、各事務所の所在地)を管轄する登記所にその登記を嘱託しなければならない。ただし、これらの事項が登記すべきものでないときは、この限りでない。


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会社法349条 株式会社の代表

第349条 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
 
2 前項本文の取締役が二人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。
 
3 株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。
 
4 代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
 
5 前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。


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もう一歩先へ 3項:
取締役会設置会社の代表取締役の選定については
 
cf. 会社法362条2項3号、3項 取締役会の権限等
もう一歩先へ 3項:
内国会社の代表取締役のうち、最低1人は日本に住所を有していなければならないという従前の取扱いは廃止され、代表取締役の全員が日本に住所を有しない内国株式会社の設立の登記及びその代表取締役の重任若しくは就任の登記について、申請を受理する取扱いとなりました(平成27年3月16日民商第29号通知)。

そのため、代表取締役の全員が海外に居住していても、日本において会社の設立登記を申請することができます(日本人であることも必要ありません。)。


cf. 会社法817条 外国会社の日本における代表者

cf. 外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について@法務省

会社法362条 取締役会の権限等

第362条 取締役会は、すべての取締役で組織する。
 
2 取締役会は、次に掲げる職務を行う。
 一 取締役会設置会社の業務執行の決定
 二 取締役の職務の執行の監督
 三 代表取締役の選定及び解職
 
3 取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。
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