刑法152条 収得後知情行使等

第152条 貨幣、紙幣又は銀行券を収得した後に、それが偽造又は変造のものであることを知って、これを行使し、又は行使の目的で人に交付した者は、その額面価格の三倍以下の罰金又は科料に処する。ただし、二千円以下にすることはできない。


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刑法154条 詔書偽造等

第154条 行使の目的で、御璽、国璽若しくは御名を使用して詔書その他の文書を偽造し、又は偽造した御璽、国璽若しくは御名を使用して詔書その他の文書を偽造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
 
2 御璽若しくは国璽を押し又は御名を署した詔書その他の文書を変造した者も、前項と同様とする。


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刑法155条 公文書偽造等

第155条 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
 
2 公務所又は公務員が押印し又は署名した文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
 
3 前二項に規定するもののほか、公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は公務所若しくは公務員が作成した文書若しくは図画を変造した者は、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。


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刑法156条 虚偽公文書作成等

第156条 公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したときは、印章又は署名の有無により区別して、前二条の例による。


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cf. 最判昭27・12・25(昭和24(れ)1496 虚偽公文書作成、同行使、詐欺) 全文

判示事項
 一 その裁判所の事件を審判する権限のない裁判官を構成してした公判手続及び公判調書の効力と旧刑訴法第一二条の決意
 二 公務員の身分を有しない者が虚偽の申立をなし情を知らない公務員をして虚偽の証明書を作成させた行為と刑法第一五六条の間接正犯
 三 公務員の身分を有しない者が虚偽の申立をなし情を知らない公務員をして作成させた虚偽の証明書を行使した行為と虚偽公文書行使罪の成否
 四 係員を欺罔して旅券の下附を受ける行為と詐欺罪の成否
 五 アメリカ領事館員と刑法にいわゆる「公務員」

裁判要旨
 一 その裁判所の事件を審判する権限のない裁判官がその裁判所を構成してした公判手段は、無効であつてその公判調書を事実認定の資料とすることは違法である。旧刑訴法第一二条には「訴訟手続は管轄違ひの理由に因り其の効力を後はず」と規定されているのであるがこの規定は本来裁判権を有する裁判所に事件を分配することを目的とする事物及び土地の管轄に関する規定の違背があつても、唯それだけの事由では訴訟手続を無効たらしめるものでないこと明らかにしたに過ぎないものであつて管轄権ある裁判所を構成する裁判官その人がその裁判所に繋属ずる事件を審判する権限のなかつたような場合にまで拡張解釈して準用すべきものではないのである。
 二 公務員の身分を有しない者が、虚偽の内容を記載した証明願を村役場の係員に提出し、情を知らない同係員をして村長名義の虚偽の証明書を作成させた行為は、刑法第一五六条の間接正犯として処罰すべきではない。
 三 公務員の自分を有しない者が虚偽の内容を記載した証明願を村役場の係員に提出し、情を知らない同係員をして作成させた村長名義の虚偽の証明書を行使しても、虚偽公文書行使罪にあたらない。
 四 係員を欺罔して旅券の下附を受ける行為は詐欺罪にあたらない。
 五 アメリカ領事館員は刑法にいわゆる「公務員」にあたらない。

刑法157条 公正証書原本不実記載等

第157条 公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 
2 公務員に対し虚偽の申立てをして、免状、鑑札又は旅券に不実の記載をさせた者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
 
3 前二項の罪の未遂は、罰する。


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刑法158条 偽造公文書行使等

第158条 第百五十四条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第一項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。
 
2前項の罪の未遂は、罰する。
 

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刑法159条 私文書偽造等

第159条 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
 
2 他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
 
3 前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。


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cf. 最決昭56・4・8(昭和54(あ)1613 道路交通法違反、有印私文書偽造、同行使) 全文

判示事項
 交通反則切符中の供述書をあらかじめ承諾を得て他人名義で作成した場合と私文書偽造罪の成否

裁判要旨
 交通反則切符中の供述書を他人の名義で作成した場合は、あらかじめその他人の承諾を得ていたとしても、私文書偽造罪が成立する。

 
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cf. 最判平5.10.5(平成5(あ)135 有印私文書偽造、同行使) 全文

判示事項
 自己の氏名が弁護士甲と同姓同名であることを利用して「弁護士甲」の名義で文書を作成した所為が私文書偽造罪に当たるとされた事例

裁判要旨
 自己の氏名が弁護士甲と同姓同名であることを利用して、「弁護士甲」の名義で弁護士の業務に関連した形式、内容の文書を作成した所為は、たとえ名義人として表示された者の氏名が自己の氏名と同一であったとしても、私文書偽造罪に当たる。