第201条 第百九十九条の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。
判示事項
殺人予備罪の共同正犯にあたるとされた事例。
裁判要旨
殺人の目的を有する者から、これに使用する毒物の入手を依頼され、その使途を認識しながら、右毒物を入手して依頼者に手交した者は、右毒物による殺人が予備に終つた場合に、殺人予備罪の共同正犯としての責任を負うものと解すべきである。

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第201条 第百九十九条の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。
判示事項
殺人予備罪の共同正犯にあたるとされた事例。
裁判要旨
殺人の目的を有する者から、これに使用する毒物の入手を依頼され、その使途を認識しながら、右毒物を入手して依頼者に手交した者は、右毒物による殺人が予備に終つた場合に、殺人予備罪の共同正犯としての責任を負うものと解すべきである。
第202条 人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。
判示事項
一 被害者の意思の瑕疵と刑法第二〇二条の嘱託、承諾。
二 擬装心中は殺人罪にあたるか。
裁判要旨
一 被害者の意思が自由な真意に基かない場合は刑法第二〇二条にいう被殺者の嘱託または承諾としては認められない。
二 自己に追死の意思がないに拘らず被害者を殺害せんがため、これを欺罔し追死を誤信させて自殺させた所為は、通常の殺人罪に該当する。
裁判要旨
一 被害者の意思が自由な真意に基かない場合は刑法第二〇二条にいう被殺者の嘱託または承諾としては認められない。
二 自己に追死の意思がないに拘らず被害者を殺害せんがため、これを欺罔し追死を誤信させて自殺させた所為は、通常の殺人罪に該当する。
判示事項
通常の意思能力のない被害者に縊死の方法を教えて縊首させた所為と殺人罪
裁判要旨
被害者が通常の意思能力もなく、自殺の何たるかも理解せず、しかも被告人の命ずることは何でも服従するのを利用して、その被害者に縊死の方法を教えて縊首せしめ死亡するに至らしめた所為は、殺人罪にあたる。
第204条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
判示事項
一 被害者の承諾と傷害罪の成否
二 被害者の承諾が傷害行為の違法性を阻却しないとされた事例
裁判要旨
一 被害者が身体傷害を承諾した場合に傷害罪が成立するか否かは、単に承諾が存在するという事実だけでなく、右承諾を得た動機、目的、身体傷害の手段、方法、損傷の部位、程度など諸般の事情を照らし合せて決すべきである。
二 過失による自動車衝突事故であるかのように装い保険金を騙取する目的で、被害者の承諾を得てその者に故意に自己の運転する自動車を衝突させて傷害を負わせた場合には、右承諾は、当該傷害行為の違法性を阻却するものではない。
判示事項
一 傷害罪において暴行と傷害の結果との間に因果関係ありと認められる特異な事例
二 傷害罪の犯意
裁判要旨
一 被告人が被害者に対して大声で「何をボヤボヤしているのだ」等と悪口を浴せ、矢庭に拳大の瓦の破片を投げつけ、なおも「殺すぞ」等と怒鳴りながら側にあつた鍬を振りあげて追いかける気勢を示したので被害者がこれに驚いて難を避けようとして夢中で逃げ出し、約二十間走り続けるうち過つて鉄棒に躓いて顛倒し、打撲傷を負うた場合には、右傷害の結果は、被告人の暴行によつて生じたものと解するのが相当である。
二 傷害罪は結果犯であつて、その成立には傷害の原因たる暴行についての意思があれば足り、特に傷害の意思の存在を必要としない。
判示事項
共謀加担後の暴行が共謀加担前に他の者が既に生じさせていた傷害を相当程度重篤化させた場合の傷害罪の共同正犯の成立範囲
裁判要旨
他の者が被害者に暴行を加えて傷害を負わせた後に,被告人が共謀加担した上,更に暴行を加えて被害者の傷害を相当程度重篤化させた場合,被告人は,被告人の共謀及びそれに基づく行為と因果関係を有しない共謀加担前に既に生じていた傷害結果については,傷害罪の共同正犯としての責任を負うことはなく,共謀加担後の傷害を引き起こすに足りる暴行によって傷害の発生に寄与したことについてのみ,傷害罪の共同正犯としての責任を負う。
判示事項
1 同一被害者に対し一定の期間内に反復累行された一連の暴行によって種々の傷害を負わせた事実について,包括一罪とされた事例
2 包括一罪を構成する一連の暴行による傷害について,訴因の特定に欠けるところはないとされた事例
裁判要旨
1 同一被害者に対し約4か月間又は約1か月間という一定の期間内に反復累行された一連の暴行によって種々の傷害を負わせた事実については,その暴行が,被告人と被害者との一定の人間関係を背景として,共通の動機から繰り返し犯意を生じて行われたものであることなどの事情(判文参照)に鑑みると,全体を一体のものと評価し,包括して一罪と解することができる。
2 包括一罪を構成する一連の暴行による傷害については,本件のような訴因(判文参照)であっても,共犯者,被害者,期間,場所,暴行の態様及び傷害結果を記載することをもって,その特定に欠けるところはない。
判示事項
傷害罪が暴行を手段としないで成立する一事例
裁判要旨
性病を感染させる懸念のあることを認識しながら婦女子に対し詐言を弄して性交し、その結果病毒を感染させた場合、傷害罪が成立する。
判示事項
不法に被害者を監禁し,その結果,被害者に外傷後ストレス障害(PTSD)を発症させた場合について,監禁致傷罪の成立が認められた事例
裁判要旨
不法に被害者を監禁し,その結果,被害者が,医学的な診断基準において求められている特徴的な精神症状が継続して発現していることなどから外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したと認められる場合,同障害の惹起は刑法にいう傷害に当たり,監禁致傷罪が成立する。
判示事項
自宅から隣家の被害者に向けて連日連夜ラジオの音声等を大音量で鳴らし続け被害者に慢性頭痛症等を生じさせた行為が傷害罪の実行行為に当たるとされた事例
裁判要旨
自宅から隣家の被害者に向けて,精神的ストレスによる障害を生じさせるかもしれないことを認識しながら,連日連夜,ラジオの音声及び目覚まし時計のアラーム音を大音量で鳴らし続けるなどして,被害者に精神的ストレスを与え,慢性頭痛症等を生じさせた行為(判文参照)は,傷害罪の実行行為に当たる。
判示事項
睡眠薬等を摂取させて数時間にわたり意識障害及び筋弛緩作用を伴う急性薬物中毒の症状を生じさせた行為につき傷害罪の成立が認められた事例
裁判要旨
病院で勤務中ないし研究中であった者に対し,睡眠薬等を摂取させたことによって,約6時間又は約2時間にわたり意識障害及び筋弛緩作用を伴う急性薬物中毒の症状を生じさせた行為は,傷害罪を構成する。
第205条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。
裁判要旨
暴行による傷害がそれ自体死亡の結果をもたらし得るものであった場合には,その治療中に被害者が医師の指示に従わず安静に努めなかったために治療の効果が上がらなかったという事情が介在したとしても,上記暴行と被害者の死亡との間には因果関係がある。
裁判要旨
暴行の被害者が現場からの逃走途中に高速道路に進入するという極めて危険な行動を採ったために交通事故に遭遇して死亡したとしても,その行動が,長時間激しくかつ執ような暴行を受け,極度の恐怖感を抱いて,必死に逃走を図る過程で,とっさに選択されたものであり,暴行から逃れる方法として,著しく不自然,不相当であったとはいえないなど判示の事情の下においては,上記暴行と被害者の死亡との間には因果関係がある。
行為者の行為によって、すでに結果を惹起する決定的な原因が作り出された場合には、その後の因果関係が通常のものとはいえないとしても、行為の危険性が結果へと現実化したとの判断が可能となります(直接実現型)。
cf. 最決平2・11・20(昭和63(あ)1124 傷害致死、傷害) 全文(大阪南港事件)判示事項
第三者の暴行が介在した場合でも当初の暴行と死亡との間の因果関係が認められるとされた事例
裁判要旨
被告人の暴行により被害者の死因となった傷害が形成された場合には、その後第三者により加えられた暴行によって死期が早められたとしても、被告人の暴行と被害者の死亡との間には因果関係がある。
被害者の病気という特殊事情と相まって、それ自体致命的でな暴行により被害者が死亡したときは、被告人が行為当時その特殊事情を知らず、また予測不能でも、行為と結果の間に因果関係がある旨判示しており、行為者の認識を不要としています。
cf. 最判昭25・3・31(昭和24(れ)2831 常習賭博、傷害致死) 全文判示事項
被告人の行爲と當時豫測し得なかつた特殊事情とによる致死の結果と因果関係
裁判要旨
原判決の確定した事實によると被告人は被害者の左眼の部分を右足で蹴付けたのである。そして原審が證據として採用した鑑定人の鑑定書中死亡登龍の屍体の外傷として左側上下眼瞼は直經約五糎の部分が腫傷し暗紫色を呈し左眼の瞳孔の左方角膜に直經〇、五糎の鮮紅色の溢血があると記載されているから、その左眼の傷が被告人の足蹴によつたものであることは明かである。ところで被告人の暴行もその興えた傷創もそのものだけでは致命的なものではないが(醫師は傷は一〇日位で癒るものだと述べている)被害者は豫て脳梅毒にかかつて居り脳に高度の病的變化があつたので顔面に激しい外傷を受けたため脳の組織を一定度崩壊せしめその結果死亡するに至つたものであることは原判決舉示の鑑定書の記載から十分に認められるのである。而して右鑑定により被告人の行爲によつて脳組織の崩壊を來したものであること、從つて被告人の行爲と被害者の死亡との間に因果關係を認めることができるのであつて、かゝる判斷は毫も經驗則に反するものではない。又被告人の行爲が被害者の脳梅毒による脳の高度の病的變化という特殊の事情さえなかつたならば致死の結果を生じなかつたであろうと認められる場合で被告人が行爲當時その特殊事情と相まつて致死の結果を生ぜしめたときはその行爲と結果との間に因果關係を認めることができるのである。
傷害罪の成立には暴行と死亡との間の因果関係の存在を必要とするが、致死の結果についての予見を必要としない
cf. 最判昭32・2・26(昭和29(あ)3604 傷害致死) 全文判示事項
傷害致死罪が成立する一事例
裁判要旨
夫婦喧嘩の末夫が妻を仰向けに引き倒して馬乗りとなり両手でその頸部を圧迫する等の暴行を加え、因つて特異体質である妻をシヨツク死するに至らしめたときは、致死の結果を予見する可能性がなかつたとしても傷害致死罪を構成する。
判示事項
被施術者の承諾があったとしても豊胸手術の違法性が阻却されないとした事例
裁判要旨
豊胸手術に当たり必要とされる措置をとらずに行った本件手術(判文参照)は、たとえ被施術者の承諾があったとしても、違法性を阻却されない。
第206条 前二条の犯罪が行われるに当たり、現場において勢いを助けた者は、自ら人を傷害しなくても、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
第207条 二人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例による。
判示事項
一、 暴行の時間的場所的間隔の程度等と同時犯の成否
二、 同時犯の成立を否定した事例
裁判要旨
一、 数人による各暴行の時間的、場所的間隔が広く、行為の外形面における共犯現象との類似性が強度でない場合においても同時犯の成立を認め得るのは、各暴行の時間的、場所的間隔の程度、各犯行の態様、暴行者相互間の関係等に照らし、それが社会通念上同一の機会に行なわれた一連の行為と認められ、共犯者でない各行為者に対し生じた結果についての責任を負わせても著しい不合理を生じない特段の事情のある場合に限られる。
二、 同一被害者に対する第一の暴行と第二の暴行とが、場所的にはきわめて近接した地点で行なわれた場合でも、第二の暴行が第一の暴行の終了した約四〇分後、まつたく別個の原因に端を発して行なわれる等判示の事情(判文参照)があるときは、同時犯規定の適用はないと解するのが相当である。
判示事項
1 同時傷害の特例を定めた刑法207条の法意
2 共犯関係にない二人以上の暴行による傷害致死の事案においていずれかの暴行と死亡との間の因果関係が肯定された場合と刑法207条の適用の可否
裁判要旨
1 同時傷害の特例を定めた刑法207条は,共犯関係にない二人以上が暴行を加えた事案において,検察官が,各暴行が当該傷害を生じさせ得る危険性を有するものであること及び各暴行が外形的には共同実行に等しいと評価できるような状況において行われたこと,すなわち同一の機会に行われたものであることの証明をした場合,各行為者において,自己の関与した暴行が傷害を生じさせていないことを立証しない限り,傷害についての責任を免れないとしたものである。
2 共犯関係にない二人以上の暴行による傷害致死の事案において,刑法207条適用の前提となる事実関係が証明された場合には,いずれかの暴行と死亡との間の因果関係が肯定されるときであっても,各行為者について同条の適用は妨げられない。
一 傷害致死罪の成立には、致死の結果の予見可能性は不要である。
二 同時傷害の特例は傷害致死罪にも適用される。
判示事項
一 傷害致死罪の成立と致死の結果の予見の要否
二 二人以上の者が共謀しないで他人に暴行を加え傷害致死の結果を生じその傷害を生ぜしめた者を知ることができない場合の罪責
裁判要旨
一 傷害致死罪の成立には傷害と死亡、との間の因果関係の存在を必要とするにとどまり、致死の結果についての予見は必要としないのであるから、原判決が所論傷害の結果たる致死の予見について判示しなかつたからといつて、原判決には所論理由不備の違法は存しない。
二 二人以上の者が共謀しないで、他人に暴行を加え傷害致死の結果を生ぜしめた者を知ることができない場合は、共同暴行者はいずれも傷害致死の責任を負う。
第208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
判示事項
傷害致死の原因たる暴行にあたるとされた事例。
裁判要旨
狭い四畳半の室内で被害者を脅かすために日本刀の抜き身を数回振り廻した行為は、同人に対する暴行というべきである。
判示事項
刑法第二〇八条にいう暴行の意義
裁判要旨
刑法第二〇八条にいわゆる暴行とは、人の身体に対し不法な攻撃を加えることをいい、加害者が、室内において相手方の身辺で大太鼓、鉦等を連打し、同人等をして頭脳の感覚が鈍り意識もうろうたる気分を与え、または、脳貧血を起させたりする程度に達せしめたる場合をも包含するものと解すべきである。
第46条 呼出状の公示送達は、呼出状を掲示場に掲示してする。
2 裁判所書記官は、公示送達があったことを官報又は新聞紙に掲載することができる。外国においてすべき送達については、裁判所書記官は、官報又は新聞紙への掲載に代えて、公示送達があったことを通知することができる。
第208条の2 二人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 前項の場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って人を集合させた者は、三年以下の懲役に処する。
判示事項
一 兇器準備集合罪の保護法益
二 迎撃形態の兇器準備集合罪と相手方からの襲撃の客観的蓋然性の要否
裁判要旨
一 兇器準備集合罪は、個人の生命、身体又は財産ばかりでなく、公共的な社会生活の平穏をも同様に保護法益とするものである。
二 兇器準備集合罪はいわゆる抽象的危険反であつて、いわゆる迎撃形態の兇器準備集合罪が成立するためには、必ずしも相手方からの襲撃の蓋然性ないし切迫性が客観的状況として存在することは必要でなく、兇器準備集合の状況が社会生活の平穏を害しうる態様のものであれば足りる。
判示事項
一、長さ一メートル前後の角棒は刑法二〇八条の二にいう「兇器」にあたるか
二、刑法二〇八条の二にいう「集合」にあたる場合
三、刑法二〇八条の二にいう「集合」の状態の継続と兇器準備集合罪の継続
裁判要旨
一、長さ一メートル前後の角棒は、刑法二〇八条の二にいう「兇器」にあたる。
二、すでに一定の場所に集まつている二人以上の者が、その場で兇器を準備し、またはその準備のあることを知つたうえ、他人の生命、身体または財産に対し共同して害を加える目的を有するに至つた場合は、刑法二〇八条の二にいう「集合」にあたる。
三、刑法二〇八条の二にいう「集合」の状態が継続するかぎり、兇器準備集合罪は、継続して成立する。
判示事項
刑法二〇八条の二にいう「兇器」にあたらないとされた事例
裁判要旨
他人を殺傷する用具として利用する意図のもとに準備されたダンプカーであっても、他人を殺傷する用具として利用される外観を呈しておらず、社会通念に照らし、ただちに他人をして危険感をいだかせるに足りない場合には、刑法二〇八条の二にいう「兇器」にあたらない。