第245条 この章の罪については、電気は、財物とみなす。
改正前刑法246条 詐欺
第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
cf.
刑法246条 詐欺
判示事項
誤った振込みがあることを知った受取人がその情を秘して預金の払戻しを受けた場合と詐欺罪の成否
裁判要旨
誤った振込みがあることを知った受取人が,その情を秘して預金の払戻しを請求し,その払戻しを受けた場合には,詐欺罪が成立する。
所持金なく代金支払いの意思がないのに払うように装って宿泊・飲食等をした後、自動車で帰宅する知人を見送ると欺いて逃走した行為について刑法246条2項の詐欺利得罪の成立を認めたことは「債権者を欺罔して債務免除の意思表示をなさしめること」がないため誤っているが、宿泊・飲食した時点で刑法246条1項の詐欺罪が既遂に達したものと認められるとしています。
cf. 最決昭30・7・7(昭和30(あ)478 詐欺) 全文判示事項
刑法第二四六条第二項の詐欺罪において債務の支払を免れたとするための要件
裁判要旨
刑法第二四六条第二項の詐欺罪において、財産上不法の利益が、債務の支払を免れたことであるとするには、相手方たる債権者を欺罔して債務免除の意思表示をさせることを要し、単に逃走して事実上支払をしなかつただけで足りるものではない。
窃取した郵便貯金通帳を利用して郵便局員から払戻名目で金銭を騒取した事案につき、窃盗罪と詐欺罪 の成立を認める。そして、両罪は併合罪になるとする。
cf. 最判昭25・2・24(昭和24(れ)2852 偽造公文書行使、公文書偽造、公文書毀棄、偽造私文書行使、私文書偽造、詐欺、窃盗) 全文判示事項
窃取または騙取した郵便貯金通帳を利用して預金を引出した行爲と詐欺罪の成立
裁判要旨
論旨は窃取しまたは騙取した郵便貯金通帳を利用して預金を引出す行爲は賍物の處分行爲として罪とならないと主張するのである。しかし賍物を處分することは財産罪に伴う事後處分に過ぎないから別罪を構成しないことは勿論であるが窃取または騙取した郵便貯金通帳を利用して郵便局係員を欺罔し眞實名儀人において貯金の拂戻を請求するものと誤信せしめて貯金の拂戻名儀の下に金員を騙取することは更に新法益を侵害する行爲であるからここに亦犯罪の成立を認むべきであつてこれをもつて賍物の單なる事後處分と同視することはできないのである。然らば原審が所論郵便貯金通帳を利用して預金を引出した行爲に對し詐欺罪をもつて問疑したことは正常であるから論旨は理由がない。
判示事項
1 街頭募金詐欺について包括一罪と解することができるとされた事例
2 包括一罪を構成する街頭募金詐欺について,その罪となるべき事実の特定に欠けるところはないとされた事例
裁判要旨
1 街頭募金の名の下に通行人から現金をだまし取ろうと企てた者が,約2か月間にわたり,事情を知らない多数の募金活動員を通行人の多い複数の場所に配置し,募金の趣旨を立看板で掲示させるとともに,募金箱を持たせて寄付を勧誘する発言を連呼させ,これに応じた通行人から現金をだまし取ったという本件街頭募金詐欺については,(1)不特定多数の通行人一般に対し一括して同一内容の定型的な働き掛けを行って寄付を募るという態様のものであること,(2)1個の意思,企図に基づき継続して行われた活動であること,(3)被害者が投入する寄付金を個々に区別して受領するものではないことなどの特徴(判文参照)にかんがみると,これを一体のものと評価して包括一罪と解することができる。
2 包括一罪を構成する判示のような街頭募金詐欺の罪となるべき事実については,募金に応じた多数人を被害者とした上,被告人の行った募金の方法,その方法により募金を行った期間,場所及びこれにより得た総金額を摘示することをもってその特定に欠けるところはない。
判示事項
窃盗犯人が賍物を自己の所有物として第三者より金員を騙取した場合と詐欺罪の成否。
裁判要旨
窃盗犯人が賍物を自己の所有物と詐り第三者を欺罔して金員を騙取した場合においては、窃盗罪のほかに詐欺罪が成立する。
判示事項
いわゆる闇取引と詐欺罪
裁判要旨
被害者が本件綿糸を處分したことが統制法規に違反する所謂闇行爲であるとしてもそれによつて被告人の詐欺罪の成立に消長を來たすいわれはない。けだし欺罔手段によつて相手方の財物に對する支配權を侵害した以上、たとい相手方の財物交付が不法の原因に基いたものであつて民法上其返還又は損害賠償を請求することができない場合であつても詐欺罪の成立をさまたげるものではないからである。
判示事項
価格相当の商品の提供と詐欺罪の成立。
裁判要旨
真実を告知するときは相手方が金員を交付しないような場合において、商品の効能などにつき真実に反する誇大な事実を告知してその旨相手方を誤信させ、金員の交付を受けた場合は、たとえ価格相当の商品を提供したとしても詐欺罪が成立する。
判示事項
一 詐欺罪の成立と財産的処分行為の要否
二 被欺罔者と財産上の被害者が同一人でない場合の詐欺罪の成立要件
三 いわゆる訴訟詐欺の事案につき詐欺罪が成立しないとされた事例
裁判要旨
一 詐欺罪が成立するためには、被欺罔者が錯誤によつてなんらかの財産的処分行為をすることを要する。
二 被欺罔者と財産上の被害者とが同一人でない場合に詐欺罪が成立するためには、被欺罔者において被害者のためその財産を処分しうる権能または地位のあることを要する。
三 被告人が、抵当権実行により債権者甲の所有、占有に帰した家屋の奪回を企て、依然として自己が所有、占有しているかのように装い、簡易裁判所に対し、すでに失効した他の債権者乙との間の和解調書正本につき執行文付与の申請をし、同裁判所書記官補をその旨誤信させて執行文の付与を受け、更に執行吏に対し右執行文を提出して同様誤信させ、同執行吏をして、右家屋の占有を被告人から乙に移転する強制執行をさせても(判文参照)、右家屋に対する詐欺罪は成立しない。
預金通帳は,刑法246条1項の財物に当たる。
cf. 最決平14・10・21(平成13(あ)1277 住居侵入,窃盗,有印私文書偽造,同行使,詐欺,建造物侵入被告事件) 全文判示事項
他人に成り済まして預金口座を開設し銀行窓口係員から預金通帳の交付を受ける行為と刑法246条1項の詐欺罪の成否
裁判要旨
他人に成り済まして預金口座を開設し,銀行窓口係員から預金通帳の交付を受ける行為は,刑法246条1項の詐欺罪に当たる。
判示事項
刑法第二四六条第二項の詐欺罪が成立するとされた事例
裁判要旨
いわゆる詐欺賭博の方法により、賭客となつた者を欺罔し、寺銭および賭銭名義のもとに、金員を支払うべき債務を負担させたときは、刑法第二四六条第二項の詐欺罪が成立する。
判示事項
横領または詐欺でなく窃盗と認めた事例
裁判要旨
犯人が古着商の店頭において、顧客のように装い主人に対し「上衣を見せてくれ」と申し、これに応じ主人の出して見せた上衣の着用を試みているうち「一寸小便にいつて来る」と言つて、これを着たまま表へ出て逃走した場合においては、横領または詐欺でなく、窃盗罪を構成する。
判示事項
甲が乙を欺いて金員を交付させるに当たり甲及び乙が別途丙を欺いて丙から甲に上記金員を交付させた場合と甲の乙に対する詐欺罪の成否
裁判要旨
甲が乙から儀式料名下に金員を詐取するに当たり,甲の意を受けた乙において,甲から商品を購入したように仮装して信販業者丙との間で立替払契約を締結し,同契約に基づき商品購入代金として丙から甲に金員を交付させる方法により儀式料を支払った場合には,甲及び乙の丙に対する行為が詐欺罪を構成するかどうかにかかわらず,甲の乙に対する行為は詐欺罪を構成する。
判示事項
県知事を欺罔して未墾地の売渡しを受けた行為が詐欺罪にあたるとされた事例
裁判要旨
農地法の規定により国が所有する未墾地の売渡事務をつかさどる県知事を欺罔し、売渡処分名下に右土地の所有権を取得した本件行為(判文参照)は、それが農業生産力の推進という農業政策上の国家的法益の侵害に向けられた側面を有するものであるとしても、刑法二四六条一項の詐欺罪にあたる。
賃借人が勤務先等を偽って賃貸物件の引き渡しを受けた場合を詐欺利得罪とした。
cf. 札幌地判平19・3・1(平成18(わ)1196 詐欺,偽造有印公文書行使,有印私文書偽造,同行使,詐欺未遂被告事件) 全文判示事項
商品買受の注文と作為による欺罔行為
裁判要旨
代金を支払える見込もその意思もないのに商品買受の注文をしたときは、その注文の行為自体を作為による欺罔行為と解すべきであつて、不作為による欺罔行為に必要な告知義務の有無を論ずる必要はない。
判示事項
他の者を搭乗させる意図を秘し,航空会社の搭乗業務を担当する係員に外国行きの自己に対する搭乗券の交付を請求してその交付を受けた行為が,詐欺罪に当たるとされた事例
裁判要旨
外国行きの自己に対する搭乗券を他の者に渡してその者を搭乗させる意図であるのにこれを秘し,航空会社の搭乗業務を担当する係員に対し乗客として自己の氏名が記載された航空券を呈示して搭乗券の交付を請求し,その交付を受けた行為は,搭乗券の交付を請求する者が航空券記載の乗客本人であることについて厳重な確認が行われていたなどの本件事実関係の下では,刑法246条1項の詐欺罪に当たる。
判示事項
所有権が売主に留保されている物件の月賦購入と詐欺罪の成立
裁判要旨
売主を欺罔し、よつて物品の引渡しを受けたものである以上、それが月賦購入の約定によるため物品の所有権が売主に留保されていても、詐欺罪を構成する。
判示事項
国民健康保険被保険者証の詐取と詐欺罪の成否
裁判要旨
なし
判示事項
登記簿上他人名義で登記されている不動産の所有者が、その他人の承諾なくして、これを自己に売渡を受けた旨虚偽の登記申請をなし、その旨登記簿原本に記載させる行為と刑法第一五七条第一項の罪。
裁判要旨
たとい不動産の真実の所有者であつても、登記簿上他人名義で登記されている不動産につき、その印鑑を保管しているのを奇貨としてこれを使用し、その承諾がないのに、該不動産を同人から自己に売却した旨の売渡証書を作成し、これを原因としかつ自ら作成した同人名義の委任状を利用し、自己に所有権の移転を受けた旨虚偽の登録申請をなし、登録原本にその旨の記載をさせたときは、刑法第一五七条第一項の罪が成立する。
判示事項
一 詐欺罪と背任行為
二 控訴裁判所が第一審判決には法令の適用に誤がありとしてこれを破棄した場合と控訴審における訴因変更の要否
裁判要旨
一 他人の事務を処理する者が自己の利益を図り任務に関して本人を欺き財物を交付せしめたときは、詐欺罪が成立し、別に背任罪を構成しない。
二 第一審裁判所が、基礎状記載の訴因と同一の背任罪を認定して刑法第二四七条を適用したが、背任罪として判示したのは法令の誤解であつて判示自体により詐欺の事実が確定されているものと認められる場合には、控訴裁判所は第一審判決を破棄した上、法令適用の誤を正すべきであつて、控訴審において背任の訴因を詐欺の訴因に変更する手続を必要としない。
判示事項
クレジットカードの名義人に成り済まし同カードを利用して商品を購入する行為が詐欺罪に当たるとされた事例
裁判要旨
クレジットカードの規約上,会員である名義人のみがクレジットカードを利用できるものとされ,加盟店に対しクレジットカードの利用者が会員本人であることの確認義務が課されているなど判示の事実関係の下では,クレジットカードの名義人に成り済まし同カードを利用して商品を購入する行為は,仮に,名義人から同カードの使用を許されており,かつ,自らの使用に係る同カードの利用代金が規約に従い名義人において決済されるものと誤信していたとしても,詐欺罪に当たる。
判示事項
共犯者による欺罔行為後だまされたふり作戦開始を認識せずに共謀の上被害者から発送された荷物の受領行為に関与した者が詐欺未遂罪の共同正犯の責任を負うとされた事例
裁判要旨
共犯者による欺罔行為がされた後,だまされたふり作戦が開始されたことを認識せずに共犯者らと共謀の上,詐欺を完遂する上で欺罔行為と一体のものとして予定されていた被害者から発送された荷物の受領行為に関与したなどの本件事実関係(判文参照)の下では,だまされたふり作戦の開始いかんにかかわらず,被告人はその加功前の欺罔行為の点も含め詐欺未遂罪の共同正犯としての責任を負う。
判示事項
詐欺罪につき実行の着手があるとされた事例
裁判要旨
現金を被害者宅に移動させた上で,警察官を装った被告人に現金を交付させる計画の一環として述べられた嘘について,その嘘の内容が,現金を交付するか否かを被害者が判断する前提となるよう予定された事項に係る重要なものであり,被害者に現金の交付を求める行為に直接つながる嘘が含まれ,被害者にその嘘を真実と誤信させることが,被害者において被告人の求めに応じて即座に現金を交付してしまう危険性を著しく高めるといえるなどの本件事実関係(判文参照)の下においては,当該嘘を一連のものとして被害者に述べた段階で,被害者に現金の交付を求める文言を述べていないとしても,詐欺罪の実行の着手があったと認められる。
(補足意見がある。)
改正前刑法246条の2 電子計算機使用詐欺
第246条の2 前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。
改正前刑法247条 背任
改正前刑法248条 準詐欺
第248条 未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に乗じて、その財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得、若しくは他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。
cf.
刑法248条 準詐欺
改正前刑法249条 恐喝
第249条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
cf.
刑法249条 恐喝
判示事項
恐喝罪における交付の意義
裁判要旨
恐喝取財罪の本質は、被恐喝者の畏怖に因る瑕疵ある同意を利用する財物の領得行爲であると解すべきであるから、その領得行爲の形式が被恐喝者において自から財物を提供した場合は勿論、被恐喝者が畏怖して默認し居るに乗じ恐喝者において財物を奪取した場合においても亦本罪の成立を妨ぐるものではないと謂わねばならぬ。それ故本罪の正條たる刑法第二四九條第一項の「交付せしめ」との語義は以上の各場合を包含する趣旨と解するを正當とし、亦原判決事實摘示中の「交付せしめて之を喝取し」との用辭は、右刑法正條の用語例に從いたるものと解するを相當とする。
詐欺的手段と恐喝手段とが併用された場合、「その畏怖の結果として相手方が財物を交付するに至つた場合は詐欺罪ではなく恐喝罪となる」としている。
cf. 最判昭24・2・8(昭和23(れ)1241 恐喝) 全文判示事項
一 警察官を装うて他人の所持する盜品を取上げる行爲と恐喝罪
二 他人の所持する盜品に對する恐喝罪の成立
裁判要旨
一 他人が窃取した綿糸を運搬して來るところを、被告人が警察官を装うて之を畏怖させその綿糸を交付させた行爲は、恐喝罪をもつて問擬すべきである。被告人の施用した手段の中に虚僞の部分即ち警察官と稱した部分があつても、その部分も相手方に畏怖の念を生ぜしめる一材料となり、その畏怖の結果として相手方が財物を交付するに至つた場合は詐欺罪ではなく、恐喝罪となるのである。
二 本件において被害者Aの持つていた綿糸は盜品であるから、Aがそれについて正當な權利を有しないことは明らかである。しかし正當な権利を有しない者の所持であつても、その所持は所持として法律上の保護を受けるのであつて、例へば窃盜したものだからそれを強取しても處罰に値しないとはいえないのである。恐喝罪にしても同様であつて、賍物を所持する者に對し恐喝の手段を用いてその賍物を交付させた場合には矢張り恐喝罪となるのである。
判示事項
一 警察官を装うて他人の所持する盜品を取上げる行爲と恐喝罪
二 他人の所持する盜品に對する恐喝罪の成立
裁判要旨
一 他人が窃取した綿糸を運搬して來るところを、被告人が警察官を装うて之を畏怖させその綿糸を交付させた行爲は、恐喝罪をもつて問擬すべきである。被告人の施用した手段の中に虚僞の部分即ち警察官と稱した部分があつても、その部分も相手方に畏怖の念を生ぜしめる一材料となり、その畏怖の結果として相手方が財物を交付するに至つた場合は詐欺罪ではなく、恐喝罪となるのである。
二 本件において被害者Aの持つていた綿糸は盜品であるから、Aがそれについて正當な權利を有しないことは明らかである。しかし正當な権利を有しない者の所持であつても、その所持は所持として法律上の保護を受けるのであつて、例へば窃盜したものだからそれを強取しても處罰に値しないとはいえないのである。恐喝罪にしても同様であつて、賍物を所持する者に對し恐喝の手段を用いてその賍物を交付させた場合には矢張り恐喝罪となるのである。
刑法250条 未遂罪
第250条 この章の罪の未遂は、罰する。
刑法251条 準用
第251条 第二百四十二条、第二百四十四条及び第二百四十五条の規定は、この章の罪について準用する。
改正前刑法252条 横領
改正前刑法253条 業務上横領
第253条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。
cf.
刑法253条 業務上横領
