第88条 勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、保釈の請求をすることができる。
2 第八十二条第三項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。
刑事訴訟法89条 必要的保釈
第89条 保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき。
二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える拘禁刑に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三 被告人が常習として長期三年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき。
四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。
刑事訴訟法90条 職権保釈
第90条 裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。
刑事訴訟法91条 不当に長い拘禁と勾留の取消し・保釈
第91条 勾留による拘禁が不当に長くなつたときは、裁判所は、第八十八条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。
2 第八十二条第三項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。
刑事訴訟法92条 保釈と検察官の意見
第92条 裁判所は、保釈を許す決定又は保釈の請求を却下する決定をするには、検察官の意見を聴かなければならない。
2 検察官の請求による場合を除いて、勾留を取り消す決定をするときも、前項と同様である。但し、急速を要する場合は、この限りでない。
刑事訴訟法93条 保証金、保釈の条件
第93条 保釈を許す場合には、保証金額を定めなければならない。
2 保証金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない。
3 保釈を許す場合には、被告人の住居を制限し、その他適当と認める条件を付することができる。
4 裁判所は、前項の規定により被告人の住居を制限する場合において、必要と認めるときは、裁判所の許可を受けないでその指定する期間を超えて当該住居を離れてはならない旨の条件を付することができる。
5 前項の期間は、被告人の生活の状況その他の事情を考慮して指定する。
6 第四項の許可をする場合には、同項の住居を離れることを必要とする理由その他の事情を考慮して、当該住居を離れることができる期間を指定しなければならない。
7 裁判所は、必要と認めるときは、前項の期間を延長することができる。
8 裁判所は、第四項の許可を受けた被告人について、同項の住居を離れることができる期間として指定された期間の終期まで当該住居を離れる必要がなくなつたと認めるときは、当該期間を短縮することができる。
刑事訴訟法94条 保釈の手続
第94条 保釈を許す決定は、保証金の納付があつた後でなければ、これを執行することができない。
2 裁判所は、保釈請求者でない者に保証金を納めることを許すことができる。
3 裁判所は、有価証券又は裁判所の適当と認める被告人以外の者の差し出した保証書を以て保証金に代えることを許すことができる。
刑事訴訟法95条 勾留の執行停止
第95条 裁判所は、適当と認めるときは、決定で、勾留されている被告人を親族、保護団体その他の者に委託し、又は被告人の住居を制限して、勾留の執行を停止することができる。この場合においては、適当と認める条件を付することができる。
2 前項前段の決定をする場合には、勾留の執行停止をする期間を指定することができる。
3 前項の期間を指定するに当たつては、その終期を日時をもつて指定するとともに、当該日時に出頭すべき場所を指定しなければならない。
4 裁判所は、必要と認めるときは、第二項の期間を延長することができる。この場合においては、前項の規定を準用する。
5 裁判所は、期間を指定されて勾留の執行停止をされた被告人について、当該期間の終期として指定された日時まで勾留の執行停止を継続する必要がなくなつたと認めるときは、当該期間を短縮することができる。この場合においては、第三項の規定を準用する。
6 第九十三条第四項から第八項までの規定は、第一項前段の規定により被告人の住居を制限する場合について準用する。
刑事訴訟法95条の2 勾留執行停止期間満了後の被告人の不出頭に対する罰則
第95条の2 期間を指定されて勾留の執行停止をされた被告人が、正当な理由がなく、当該期間の終期として指定された日時に、出頭すべき場所として指定された場所に出頭しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。
刑事訴訟法95条の3 保釈等をされた被告人の制限住居離脱に対する罰則
第95条の3 裁判所の許可を受けないで指定された期間を超えて制限された住居を離れてはならない旨の条件を付されて保釈又は勾留の執行停止をされた被告人が、当該条件に係る住居を離れ、当該許可を受けないで、正当な理由がなく、当該期間を超えて当該住居に帰着しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。
2 前項の被告人が、裁判所の許可を受けて同項の住居を離れ、正当な理由がなく、当該住居を離れることができる期間として指定された期間を超えて当該住居に帰着しないときも、同項と同様とする。