第28条 懲役又は禁錮に処せられた者に改悛しゆんの状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。
刑法30条 仮出場
第30条 拘留に処せられた者は、情状により、いつでも、行政官庁の処分によって仮に出場を許すことができる。
2罰金又は科料を完納することができないため留置された者も、前項と同様とする。
刑法31条 刑の時効
第31条 刑(死刑を除く。)の言渡しを受けた者は、時効によりその執行の免除を得る。
刑法32条 時効の期間
第32条 時効は、刑の言渡しが確定した後、次の期間その執行を受けないことによって完成する。一 無期の懲役又は禁錮については三十年
二 十年以上の有期の懲役又は禁錮については二十年
三 三年以上十年未満の懲役又は禁錮については十年
四 三年未満の懲役又は禁錮については五年
五 罰金については三年
六 拘留、科料及び没収については一年
刑法33条 時効の停止
第33条 時効は、法令により執行を猶予し、又は停止した期間内は、進行しない。
2 拘禁刑、罰金、拘留及び科料の時効は、刑の言渡しを受けた者が国外にいる場合には、その国外にいる期間は、進行しない。
刑法34条 時効の中断
第34条 懲役、禁錮及び拘留の時効は、刑の言渡しを受けた者をその執行のために拘束することによって中断する。
2 罰金、科料及び没収の時効は、執行行為をすることによって中断する。
刑法34条の2 刑の消滅
第34条の2 禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも、同様とする。
2 刑の免除の言渡しを受けた者が、その言渡しが確定した後、罰金以上の刑に処せられないで二年を経過したときは、刑の免除の言渡しは、効力を失う。
刑法35条 正当行為
第35条 法令又は正当な業務による行為は、罰しない。
刑法36条 正当防衛
第36条 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
判示事項
殺人未遂罪につき誤想過剰防衛が認められた事例。
裁判要旨
被告人の長男甲が乙に対し、乙がまだなんらの侵害行為に出ていないのに、これに対し所携のチエーンで殴りかかつた上、なお攻撃を加えることを辞さない意思をもつて、庖丁を擬した乙と対峙していた際に、甲の叫び声を聞いて表道路に飛び出した被告人は、右のごとき事情を知らず、甲が乙から一方的に攻撃を受けているものと誤信し、その侵害を排除するため乙に対し猟銃を発射し、散弾の一部を同人の右頸部前面鎖骨上部に命中させたものであること、その他原判決認定の事実関係(原判文参照)のもとにおいては、被告人の本件所為は、誤想防衛であるが、その防衛の程度を超えたものとして、刑法第三六条第二項により処断すべきものである。
判示事項
傷害致死につき誤想過剰防衛であるとされた事例
裁判要旨
空手三段の在日外国人が、酩酊した甲女とこれをなだめていた乙男とが揉み合ううち甲女が尻もちをついたのを目撃して、甲女が乙男から暴行を受けているものと誤解し、甲女を助けるべく両者の間に割つて入つたところ、乙男が防衛のため両こぶしを胸に前辺りに上げたのを自分に殴りかかつてくるものと誤信し、自己及び甲女の身体を防衛しようと考え、とつさに空手技の回し蹴りを乙男の顔面付近に当て、同人を路上に転倒させ、その結果後日死亡するに至らせた行為は、誤信にかかる急迫不正の侵害に対する防衛手段として相当性を逸脱し、誤想過剰防衛に当たる。
刑法37条 緊急避難
第37条 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
2 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。