第23条 係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。
2 仮の地位を定める仮処分命令は、争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる。
3 第二十条第二項の規定は、仮処分命令について準用する。
4 第二項の仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。ただし、その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。
民事保全法25条の2 債務者を特定しないで発する占有移転禁止の仮処分命令
第25条の2 占有移転禁止の仮処分命令(係争物の引渡し又は明渡しの請求権を保全するための仮処分命令のうち、次に掲げる事項を内容とするものをいう。以下この条、第五十四条の二及び第六十二条において同じ。)であって、係争物が不動産であるものについては、その執行前に債務者を特定することを困難とする特別の事情があるときは、裁判所は、債務者を特定しないで、これを発することができる。
一 債務者に対し、係争物の占有の移転を禁止し、及び係争物の占有を解いて執行官に引き渡すべきことを命ずること。
二 執行官に、係争物の保管をさせ、かつ、債務者が係争物の占有の移転を禁止されている旨及び執行官が係争物を保管している旨を公示させること。
2 前項の規定による占有移転禁止の仮処分命令の執行がされたときは、当該執行によって係争物である不動産の占有を解かれた者が、債務者となる。
3 第一項の規定による占有移転禁止の仮処分命令は、第四十三条第二項の期間内にその執行がされなかったときは、債務者に対して送達することを要しない。この場合において、第四条第二項において準用する民事訴訟法第七十九条第一項の規定による担保の取消しの決定で第十四条第一項の規定により立てさせた担保に係るものは、裁判所が相当と認める方法で申立人に告知することによって、その効力を生ずる。
民事保全法20条 仮差押命令の必要性
第20条 仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。
2 仮差押命令は、前項の債権が条件付又は期限付である場合においても、これを発することができる。
もう一歩先へ 1項:
仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなる場合などに認められるのであり、所有権移転登記抹消登記請求権を被保全権利とすることはできません。
民事保全法13条 申立て及び疎明
第13条 保全命令の申立ては、その趣旨並びに保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を明らかにして、これをしなければならない。
2 保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は、疎明しなければならない。
民事保全法46条 民事執行法の準用
第46条 この章に特別の定めがある場合を除き、民事執行法第五条から第十四条まで、第十六条、第十八条、第二十三条第一項、第二十六条、第二十七条第二項、第二十八条、第三十条第二項、第三十二条から第三十四条まで、第三十六条から第三十八条まで、第三十九条第一項第一号から第四号まで、第六号及び第七号、第四十条並びに第四十一条の規定は、保全執行について準用する。
民事保全法56条 法人の代表者の職務執行停止の仮処分等の登記の嘱託
第56条 法人を代表する者その他法人の役員として登記された者について、その職務の執行を停止し、若しくはその職務を代行する者を選任する仮処分命令又はその仮処分命令を変更し、若しくは取り消す決定がされた場合には、裁判所書記官は、法人の本店又は主たる事務所の所在地(外国法人にあっては、各事務所の所在地)を管轄する登記所にその登記を嘱託しなければならない。ただし、これらの事項が登記すべきものでないときは、この限りでない。