民法621条 賃借人の原状回復義務

第621条 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。


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改正前民法621条 損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限

 
改正前民法616条 使用貸借の規定の準用改正前民法598条 使用貸借の借主による収去
 

民法1035条 居住建物の返還等

第1035条 配偶者は、配偶者居住権が消滅したときは、居住建物の返還をしなければならない。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物の所有者は、配偶者居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができない。
 
2 第五百九十九条第一項及び第二項並びに第六百二十一条の規定は、前項本文の規定により配偶者が相続の開始後に附属させた物がある居住建物又は相続の開始後に生じた損傷がある居住建物の返還をする場合について準用する。


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施行日 配偶者居住権の制度は2020(令和2)年4月1日以後に開始した相続について適用されます。

cf. 改正相続法附則10条 配偶者の居住の権利に関する経過措置

民法616条の2 賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了

第616条の2 賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する。


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新設

 
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賃借物の一部滅失等により、その目的を達することができないときには、賃借人は契約を解除することができます。

cf. 民法611条2項 賃借物の一部滅失等による賃料の減額等

民法612条 賃借権の譲渡及び転貸の制限

第612条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
 
2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。


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cf. 最判昭28・9・25(建物収去土地明渡請求) 全文

判示事項
 賃借人が賃貸人の承諾なく第三者に賃借物を使用させたときは賃貸人は常に契約を解除しうるか

裁判要旨
 賃借人が賃貸人の承諾なく第三者をして賃借物の使用または収益をなさしめた場合でも、賃借人の当該行為を賃貸人に対する背信的行為と認めるにたらない本件の如き特段の事情があるときは、賃貸人は民法第六一二条第二項により契約を解除することはできない。(少数意見および補足意見がある。)

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cf. 最判昭41・1・27(建物収去土地明渡請求) 全文

判示事項
 無断転貸を背信行為と認めるに足りないとする特段の事情の存否に関する主張・立証責任。

裁判要旨
 賃借地の無断転貸を賃貸人に対する背信行為と認めるに足りないとする特段の事情は、その存在を賃借人において主張・立証すべきである。

民法1038条 配偶者による使用

第1038条 配偶者(配偶者短期居住権を有する配偶者に限る。以下この節において同じ。)は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用をしなければならない。
 
2 配偶者は、居住建物取得者の承諾を得なければ、第三者に居住建物の使用をさせることができない。
 
3 配偶者が前二項の規定に違反したときは、居住建物取得者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者短期居住権を消滅させることができる。


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施行日 配偶者居住権の制度は2020(令和2)年4月1日以後に開始した相続について適用されます。

cf. 改正相続法附則10条 配偶者の居住の権利に関する経過措置
もう一歩先へ 1項・2項:
配偶者短期居住権は、建物を無償で使用することができる権利であるため、使用貸借とその性質が類似していることから、使用貸借に関する594条1項・2項と同様の趣旨の規定となっています。

cf. 民法594条 使用貸借の借主による使用及び収益
もう一歩先へ 3項
配偶者短期居住権の消滅請求については、使用貸借に関する594条3項と同じく、無催告ですることができます。

cf. 民法594条 使用貸借の借主による使用及び収益

配偶者居住権の消滅請求については、配偶者に対する是正の催告を必要なものとしています。
これは配偶者は自らの具体的相続分において配偶者居住権をしていることと、配偶者居住権は審判での設定も認められているなど、必ずしも当事者間の信頼関係に基づくものとはいえないこと等を考慮したものです。

cf. 民法1032条4項 配偶者による使用及び収益

民法88条 天然果実及び法定果実

第88条 物の用法に従い収取する産出物を天然果実とする。
 
2 物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実とする。


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果実を生み出す物を元物(げんぶつ)と言います。

cf. 民法89条 果実の帰属

牛乳やくだもののように、自然法則に従って生み出される物を天然果実、当事者間の契約や法律の定めによって発生する利益を法定果実と言います。

民法89条 果実の帰属

第89条 天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する。
 
2 法定果実は、これを収取する権利の存続期間に応じて、日割計算によりこれを取得する。


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もう一歩先へ 2項:
cf. 最判平17.9.8(共同相続に係る不動産から生ずる賃料債権の帰属と後にされた遺産分割の効力) 全文
裁判要旨
相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し,その帰属は,後にされた遺産分割の影響を受けない。

民法601条 賃貸借

第601条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。


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改正前民法601条 賃貸借

民法1030条 配偶者居住権の存続期間

第1030条 配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによる。


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改正前民法1030条 遺留分の算定に関する贈与

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施行日 配偶者居住権の制度は2020(令和2)年4月1日以後に開始した相続について適用されます。

cf. 改正相続法附則10条 配偶者の居住の権利に関する経過措置
もう一歩先へ ただし書:
配偶者居住権の存続期間が定められた場合には、その延長や更新をすることができるとする規定はありません。

しかしながら、期間満了時に、当事者間で改めて賃貸者契約や使用貸借契約を締結することはできます。
 
cf. 民法601条 賃貸借
cf. 民法593条 使用貸借
 
配偶者居住権の存続期間について別段の定めをした場合でも、その期間中に配偶者が死亡した場合は、その時点で終了します。

cf. 民法1036条->民法597条3項 使用貸借及び賃貸借の規定の準用
 
配偶者の死亡より配偶者居住権が消滅した場合の登記は、居住建物の所有者が単独で申請することができます。

cf. 不動産登記法69条 死亡又は解散による登記の抹消
もう一歩先へ 配偶者居住権の登記申請書記載例@法務局: