民法192条 即時取得

第192条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。


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cf. 民法186条 占有の態様等に関する推定

cf. 民法188条 占有物について行使する権利の適法の推定
 
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  • 相手が制限行為能力者や無権代理人であるときは、本条は適用されません。
     
    即時取得は、無権利者との取引を有効にするもので、無権代理の場合は表見代理の制度、制限行為能力者は催告等の制度があり、場面を異にします。

民法193条 盗品又は遺失物の回復

第193条 前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。


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本条の対象となるのはあくまでも「盗品又は遺失物」なので,占有物が横領した物である場合は、本条は適用されません。

cf. 民法192条 即時取得

民法194条 代価弁償

第194条 占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。


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物の返還と占有者が支払った代価の弁償は同時履行の関係に立つので、代価の弁償を受けるまでは物の返還はしなくてもよいということになります。

cf. 民法533条 同時履行の抗弁
もう一歩先へ
本条では、被害者又は遺失者は、取引の安全を考慮し、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができませんが、古物商や質屋の場合には、相応の注意義務が課され、1年間は無償で返還に応じなければならないとする規定があります。

cf. 古物営業法20条 盗品及び遺失物の回復
cf. 質屋営業法22条 盗品及び遺失物の回復

会社法915条 変更の登記

第915条 会社において第九百十一条第三項各号又は前三条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。
 
2 前項の規定にかかわらず、第百九十九条第一項第四号の期間を定めた場合における株式の発行による変更の登記は、当該期間の末日現在により、当該末日から二週間以内にすれば足りる。
 
3 第一項の規定にかかわらず、次に掲げる事由による変更の登記は、毎月末日現在により、当該末日から二週間以内にすれば足りる。
 一 新株予約権の行使
 二 第百六十六条第一項の規定による請求(株式の内容として第百七条第二項第二号ハ若しくはニ又は第百八条第二項第五号ロに掲げる事項についての定めがある場合に限る。)


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もう一歩先へ 1項:
募集株式の払込期日が休日に当たる場合であっても、休日の翌日に伸長されることはないので、原則どおり、払込期日から2週間以内に変更の登記をしなければなりません。
罰則 1項:
e.g.役員について退任等の変更があったときは2週間以内にその登記をしないときは、会社を代表すべき者(取締役会設置会社では代表取締役)は、100万円以下の過料に処せられます。

cf. 会社法911条3項13号 株式会社の設立の登記

cf. 会社法976条1号 過料に処すべき行為

民法179条 混同

第179条 同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。
 
2 所有権以外の物権及びこれを目的とする他の権利が同一人に帰属したときは、当該他の権利は、消滅する。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
 
3 前二項の規定は、占有権については、適用しない。


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cf. 民法520条 混同

もう一歩先へ 1項:
土地を賃借して建物を建てている者が、土地の所有権を取得した場合は、賃借権と所有権を併存させておく必要がないため、賃借権は混同により消滅します。しかしながら、賃借権に劣後する抵当権が設定されている場合には、賃借権は消滅しません。抵当権に優先する賃借権が存続していれば、抵当権の実行後も土地の賃借を継続することができます。

意味のないものは混同により消滅しますが、残しておく意味のあるものは消滅しません。

 
もう一歩先へ 1項:
cf. 最判昭46・10・14(昭和46(オ)582  建物収去土地明渡請求) 全文
 
判示事項
 一、競売期日の公告に記載されなかつた賃借権とその対抗力
 二、執行裁判所の取調に対して申出のなかつた賃借権とその効力
 三、土地の所有権と賃借権とが混同しても賃借権が消滅しない場合

裁判要旨
 一、建物保護に関する法律一条による対抗要件を具備した土地の賃借権は、競売期日の公告に記載されなかつたとしても、その対抗力が消滅するものではない。
 二、執行裁判所の取調に対して土地の賃借権者が賃借権の申出をしなかつたとしても、その賃借権の効力に影響を及ぼすものではない。
 三、特定の土地につき所有権と賃借権とが同一人に帰属するに至つた場合であつても、その賃借権が対抗要件を具備したものであり、かつ、その対抗要件を具備したのちに右土地に抵当権が設定されていたときは、民法一七九条一項但書の準用により、賃借権は消滅しないものと解すべきであり、このことは、賃借権の対抗要件が建物保護に関する法律一条によるものであるときでも同様である。

国籍法10条 帰化の許可

第10条 法務大臣は、帰化を許可したときは、官報にその旨を告示しなければならない。
 
2 帰化は、前項の告示の日から効力を生ずる。


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もう一歩先へ 2項:
帰化の効力は告示の日の午前0時から効力が生じると解されています。

したがって、帰化者の子が告示の日に出生した場合には、その子は日本国民の子ということになります。

帰化を許可された者は、公法上も私法上も生来の日本人と何らの違いはありません。

cf. 旧国籍法16条 帰化人の権利制限
もう一歩先へ
帰化申請が許可されると法務局から「帰化者の身分証明書」が交付されます。

「帰化者の身分証明書」を添付して帰化の届を帰化者の所在地の市区町村役場にする事で、日本の戸籍が編製されます。新本籍地に届出することもできます。

cf. 戸籍法25条 届出地

記載事項は共通する事項のほか、帰化届に特有の事項がさだめられています。

cf. 戸籍法29条 届書に共通する記載事項
cf. 戸籍法102条の2 帰化の届出
もう一歩先へ
行政不服審査法は、帰化に関する処分を不服申立ての対象から外しています。

cf. 行政不服審査法7条1項10号 適用除外

国籍法8条 帰化の条件(日本国民の子等)

第8条 次の各号の一に該当する外国人については、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号、第二号及び第四号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
 
 一 日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの
 
 二 日本国民の養子で引き続き一年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であつたもの
 
 三 日本の国籍を失つた者(日本に帰化した後日本の国籍を失つた者を除く。)で日本に住所を有するもの
 
 四 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き三年以上日本に住所を有するもの


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もう一歩先へ
住所条件、能力条件及び生計条件が緩和されます。

cf. 国籍法5条1号、2号及び4号 帰化の条件
もう一歩先へ 1号:
「日本国民の子」とは、帰化申請の時点で、父又は母が日本国民であればかまいません。その父又は母が死亡している場合には、死亡時に日本国民であった場合も含まれます。

「日本国民であった者の子」である場合は、国籍法6条1号が適用されます。この場合には、引き続き三年以上日本に住所又は居所があることが条件となります。

cf. 国籍法6条1号 帰化の条件(現に日本に住所を有するもの)

共に外国籍の父母の20歳未満の子が帰化申請をする場合は、能力条件を満たしませんが、父母について帰化が認められれば、その子は日本国民の子となるため、本号により住所条件、能力条件及び生計条件を備えていなくてもよいことなります。

cf. 国籍法5条1項2号 帰化の条件
もう一歩先へ 2号:
養子縁組後に養親が日本国籍を取得した場合も含まれます。
もう一歩先へ 3号:
cf. 国籍法11条 国籍の喪失

「日本の国籍を失つた者」には、サンフランシスコ平和条約の発効(昭和27(1952)年4月28日)によって、日本国籍を失った生来の朝鮮人や台湾人は含まれません。
婚姻や認知等の身分行為によって内地籍から朝鮮籍や台湾籍になったことにより日本国籍を失った者は含まれます。

もう一歩先へ 4号:
日本で出生した無国籍者についての簡易帰化の規定です。

国籍法7条 帰化の条件(日本国民の配偶者)

第7条 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号及び第二号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するものについても、同様とする。


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もう一歩先へ
住所条件及び能力条件が緩和されます。

cf. 国籍法5条1項1号・2号 帰化の条件
もう一歩先へ 前段:
婚姻期間の長短を問いません。
もう一歩先へ 後段:
婚姻期間が3年を経過していれば、居住期間が3年を経過していなくても、引き続き一年以上住所があれば、帰化を許可することができます。

国籍法6条 帰化の条件(現に日本に住所を有するもの)

第6条 次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が前条第一項第一号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
 
 一 日本国民であつた者の子(養子を除く。)で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有するもの
 
 二 日本で生まれた者で引き続き三年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの
 
 三 引き続き十年以上日本に居所を有する者


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もう一歩先へ
住所条件が緩和されます。

引き続き5年以上日本に住所を有しなくても、法務大臣は帰化を許可することができます。

cf. 国籍法5条1項1号 帰化の条件
もう一歩先へ 1号:
「日本国民であった者」とは、過去に日本国籍をもっていた者で、現在は日本国籍を喪失している者です。

次の国籍の喪失原因によって日本国籍を喪失した者が「日本国民であった者」です。

国籍の喪失原因

意思表示よるもの

 
意思表示によらないもの

また、サンフランシスコ平和条約の発効(昭和27(1952)年4月28日)によって、日本国籍を失った生来の朝鮮人や台湾人は「日本国民であった者」に含まれませんが、婚姻や認知等の身分行為によって内地籍から朝鮮籍や台湾籍になったことにより日本国籍を失った者は含まれます。

もう一歩先へ 3号:
日本に住所がなかった場合に適用されますが、帰化申請時には住所を有していなければなりません。