会社法838条 認容判決の効力が及ぶ者の範囲

第838条 会社の組織に関する訴えに係る請求を認容する確定判決は、第三者に対してもその効力を有する。


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Y株式会社の株主Xが、Y株式会社の設立無効の訴えを提起し、その訴訟においてXの勝訴判決が確定すれば、XY間の訴訟に参加していなかった他の株主Zにも確定判決の効力は及びます(対世効)。

請求を棄却する確定判決については民事訴訟の原則(民事訴訟法115条1項)通りです。

cf. 民事訴訟法115条1項 確定判決等の効力が及ぶ者の範囲

民事訴訟法115条 確定判決等の効力が及ぶ者の範囲

第115条 確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。
 一 当事者
 二 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人
 三 前二号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人
 四 前三号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者
 
2 前項の規定は、仮執行の宣言について準用する。


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会社法853条 再審の訴え

第853条 責任追及等の訴えが提起された場合において、原告及び被告が共謀して責任追及等の訴えに係る訴訟の目的である株式会社等の権利を害する目的をもって判決をさせたときは、次の各号に掲げる者は、当該各号に定める訴えに係る確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。
 一 株主又は株式会社等 責任追及等の訴え
 二 適格旧株主 責任追及等の訴え(第八百四十七条の二第一項各号に掲げる行為の効力が生じた時までにその原因となった事実が生じた責任又は義務に係るものに限る。)
 三 最終完全親会社等の株主 特定責任追及の訴え
 
2 前条の規定は、前項の再審の訴えについて準用する。


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民法1046条 遺留分侵害額の請求

第1046条 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
 
2 遺留分侵害額は、第千四十二条の規定による遺留分から第一号及び第二号に掲げる額を控除し、これに第三号に掲げる額を加算して算定する。
 一 遺留分権利者が受けた遺贈又は第九百三条第一項に規定する贈与の価額
 二 第九百条から第九百二条まで、第九百三条及び第九百四条の規定により算定した相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額
 三 被相続人が相続開始の時において有した債務のうち、第八百九十九条の規定により遺留分権利者が承継する債務(次条第三項において「遺留分権利者承継債務」という。)の額


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施行日 2019年7月1日

cf. 改正相続法の施行期日

2019年7月1日以降に開始した相続に適用されます。遺留分を侵害する生前贈与が施行日以前に行われていたとしても、相続の開始が施行日以降であれば、本条文が適用されます。

施行日前に開始された相続については、改正前の制度である遺留分減殺請求の対象となります。

改正前民法1031条 遺贈又は贈与の減殺請求

改正前民法1042条 減殺請求権の期間の制限

もう一歩先へ
改正前民法では、遺留分減殺請求権の法的性質は物権的請求権であり、遺留分減殺請求権を行使することにより、生前贈与や遺贈の対象となる財産が共有関係になっていましたが、遺留分侵害額請求という債権的請求権に変更されたため、遺留分侵害に対しては金銭の支払を行えば足りることとなりました。
もう一歩先へ 形成権としての遺留分侵害額請求権の期間制限:
もう一歩先へ 遅延損害金:
遺留分侵害額請求権は、具体的な金額を示して請求をした場合に、発生した金銭債務については、期限の定めのない債務となり、履行を請求した時点から履行遅滞に陥ることになります。

cf. 民法412条3項 履行期と履行遅滞
cf. 民法1047条5項 受遺者又は受贈者の負担額
もう一歩先へ 遺留分侵害額請求権により生じた金銭債権の消滅時効:
改正債権法施行前においては10年間の消滅時効、

cf. 改正前民法167条1項 債権等の消滅時効
cf. 改正債権法附則10条4項 時効に関する経過措置

改正債権法施行後においては5年間の消滅時効にかかります。
(相続の開始が改正債権法の施行日前であっても、遺留分侵害額請求権(形成権)の行使が施行日後にされた場合には、改正債権法の規定が適用されて、時効期間が5年となります。)

cf. 民法166条1項1号 債権等の消滅時効

改正債権法の施行日は令和2(2020)年4月1日です。

cf. 改正債権法附則1条 施行期日
もう一歩先へ 1項:
遺留分侵害額請求権は、受遺者・受贈者に遺留分侵害額相当の金銭の支払請求を認めるものなので、転得者に対しての請求は認められません
もう一歩先へ 2項:

遺留分侵害額 = 遺留分
 − 遺留分権利者の特別受益の額
 − 遺留分権利者が遺産分割において取得すべき財産の額
 + 遺留分権利者が相続によって負担する債務の額

cf. 民法1043条 遺留分を算定するための財産の価額

会社法330条 株式会社と役員等との関係

第330条 株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。


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cf. 民法644条 受任者の注意義務

cf. 民法651条 委任の解除

もう一歩先へ
「役員」とは、取締役、会計参与、監査役です。

cf. 会社法329条1項 役員及び会計監査人の選任
もう一歩先へ
清算株式会社と清算人との関係は委任に関する規定に従い(会社法478条8項)、清算人はいつでも辞任することができます(民法651条1項)。裁判所の選任した清算人も含みます。そして、清算人が辞任した場合には、清算人が辞任したことを証する書面を添付して、清算人の辞任による変更の登記を申請します(商業登記法74条2項)。清算人の権利義務を有する場合は除きます。

cf. 会社法478条8項 清算人の就任

cf. 民法651条1項 委任の解除

cf. 商業登記法74条2項 清算人に関する変更の登記
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裁判所の選任した清算人は辞任できますが、株主総会の決議によって解任することはできません(会社法479条1項かっこ書き)。

cf. 会社法479条1項かっこ書き 清算人の解任
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会社法331により単なる破産者は取締役の欠格事由ではなくなりましたが、民法の委任においては「破産」は委任の終了事由となっている(民法653条)ので、取締役が破産した場合は、会社との委任関係が終了し、取締役を退任することになります。欠格事由でないので再び選任することはできます。

cf. 会社法331条 取締役の資格等

cf. 民法653条 委任の終了事由

改正前民法907条 遺産の分割の協議又は審判等

第907条 共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
 
2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。
 
3 前項本文の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる


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改正前民法907条 遺産の分割の協議又は審判等

cf. 民法907条 遺産の分割の協議又は審判

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施行日 2019(令和元)年7月1日

cf. 改正相続法附則1条 施行期日

cf. 改正相続法の施行期日

2019(令和元)年7月1日以降に開始した相続に適用されます。

cf. 改正相続法附則2条 民法の一部改正に伴う経過措置の原則

もう一歩先へ 1項:
民法上、分割の時期は、「いつでも」できます。期限はありません。

遺産分割協議には、共同相続人全員が参加しなければなりません。また、遺産分割協議の解除も全員でする必要があります。

もう一歩先へ 2項:
裁判所への分割請求は消滅時効にかかりません。

cf. 家事事件手続法245条 管轄等

cf. 家事事件手続法191条 管轄

民法909条 遺産の分割の効力

第909条 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。


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もう一歩先へ
第三者と遺産分割の当事者の関係については、解除と同じように、遺産分割前は権利保護要件、遺産分割後は対抗要件の問題となります。

会社法21条 譲渡会社の競業の禁止

第21条 事業を譲渡した会社(以下この章において「譲渡会社」という。)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区又は総合区。以下この項において同じ。)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡した日から二十年間は、同一の事業を行ってはならない。
 
2 譲渡会社が同一の事業を行わない旨の特約をした場合には、その特約は、その事業を譲渡した日から三十年の期間内に限り、その効力を有する。
 
3 前二項の規定にかかわらず、譲渡会社は、不正の競争の目的をもって同一の事業を行ってはならない。


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cf. 商法16条 営業譲渡人の競業の禁止

改正相続法附則8条 遺言執行者の権利義務等に関する経過措置

第8条 新民法第千七条第二項及び第千十二条の規定は、施行日前に開始した相続に関し、施行日以後に遺言執行者となる者にも、適用する。
 
2 新民法第千十四条第二項から第四項までの規定は、施行日前にされた特定の財産に関する遺言に係る遺言執行者によるその執行については、適用しない。
 
3 施行日前にされた遺言に係る遺言執行者の復任権については、新民法第千十六条の規定にかかわらず、なお従前の例による。


衆議院 改正相続法

 

もう一歩先へ
「施行日」とは、2019(令和元)年7月1日です。

cf. 改正相続法附則1条 施行期日
 
もう一歩先へ 1項:
民法1007条2項及び民法1012条については、遺言執行者が就任したのが施行日以後である場合は、施行日前に開始した相続についても、改正後の規定が遡及的に適用されます(新法主義)。

施行日後に遺言執行者になった者であれば、改正後のルールを適用しても、遺言執行者の法的地位を不利益に変更することにならないと考えられたためです。

もう一歩先へ 2項:
民法1014条2項から4項までの規定については、相続が施行日以後に開始した場合でも、遺言の作成日が施行日前であれば適用されません(旧法主義)。この場合は遺言執行者は単独で登記等ができません。

いずれも新たな規定であり、施行日前にされる遺言は、一般的に、改正前の規定を前提として作成されるものと考えられるため、遡及的に適用することは相当ではないと考えられたためです。

もう一歩先へ 3項:
民法1016条について、遡及的に適用すると、遺言者の意思に反するおそれがあるため、旧法主義を採用しています。

改正前民法998条 不特定物の遺贈義務者の担保責任

第998条 不特定物を遺贈の目的とした場合において、受遺者がこれにつき第三者から追奪を受けたときは、遺贈義務者は、これに対して、売主と同じく、担保の責任を負う。
 
2 不特定物を遺贈の目的とした場合において、物に瑕疵があったときは、遺贈義務者は、瑕疵のない物をもってこれに代えなければならない。

 
 
cf. 民法998条 遺贈義務者の引渡義務