刑法108条 現住建造物等放火

第108条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。


e-Gov 刑法

 

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cf. 最判昭33・9・9(昭和31(あ)3929   放火) 全文

判示事項
 不作為による放火罪の成立する事例。

裁判要旨
 自己の過失により事務室内の炭火が机に引火し、燃焼しはじめているのを仮睡から醒めて発見した者が、そのまま放置すれば右事務所を焼燬するに至ることを認識しながら、自己の失策の発覚をおそれる等のため、右結果の発生を認容して何らの措置をすることなくその場から逃げ去つたときは、不作為による放火の責任を負うべきである。

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cf. 最判昭25・12・4(昭和25(れ)1403 強盗殺人、住居侵入) 全文

判示事項
 一 疊建具と刑法第一〇八条にいわゆる「建造物」放火未遂罪の成立
 二 強盗の機会に人を殺害した所為と強盗殺人罪の成立

裁判要旨
 一 疊建具その他家屋の従物が建造物たる家屋の一部を構成するものと認めるには、該物件が家屋の一部に建付けられているだけでは足りず更らにこれを毀損しなければ取り外すことができない状態にあることを必要とするものである。従つて、判示布団は勿論判示疊のごときは未だ家屋と一体となつてこれを構成する建造物の一部といえないこと多言を要しないから、原判決の前示判示は、建造物の放火既遂の犯罪事実を認定判示したものではなく、その放火未遂の認定判示であるといわなければならない。
 二 強盗の機会に人を殺害すれば、刑法第二四〇条後段の「強盗人ヲ死ニ致シタルトキ」にあたる。

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cf. 最判昭25・5・25(昭和25(れ)373 放火) 全文

判示事項
 放火罪における燒燬の意義

裁判要旨
 證人Aの原審における供述豫審における供述記載その他原判決舉示の證據を綜合すれば、A及びその家族の現に居住する本件家屋の一部たる三疉間の床板約一尺四方竝びに押入床板及び上段各約三尺四方を燒燬したる原判示事實の認定を肯認することができる。そして原判決は右のごとき現に人の居住する家屋の一部を判示程度に燒燬したと判示した以上被告人の放火が判示媒介物を離れて判示家屋の部分に燃え移り獨立して燃燒する程度に達したこと明らかであるから、人の現在する建造物を燒燬した判示として欠くるところはないものといわなければならない。

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cf. 最判昭32・6・21(昭和29(あ)805 放火、詐欺、横領) 全文

判示事項
 刑法第一〇八条にいう「人」の意義

裁判要旨
 刑法第一〇八条にいう「人」とは、犯人以外の者を指称する。

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cf. 最決平1・7・7(昭和63(あ)1257 現住建造物等放火) 全文

判示事項
 エレベーターのかごの側壁の一部を燃焼した行為につき現住建造物等放火罪が成立するとされた事例

裁判要旨
 なし

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cf. 最決平1・7・14(昭和63(あ)664 爆発物取締罰則違反、傷害、現住建造物等放火) 全文

判示事項
 複数の建物が廻廊等により接続されていた神宮社殿が一個の現住建造物に当たるとされた事例

裁判要旨
 本殿、拝殿、社務所等の建物が廻廊等により接続され、夜間も神職等が社務所等で宿直していた本件平安神宮社殿は、全体として一個の現住建造物に当たる。

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cf. 最判昭23・11・2(昭和23(れ)707 放火) 全文

判示事項
 一 違法の第一審手續と第二審判決に及ぼす影響
 二 第一審手續の違法と三審制
 三 放火罪の既遂の時期
 四 情状論と上告理由

裁判要旨
 一 現行刑事訴訟法における控訴審は覆審であつて、訴訟手續の全部を更新するのであるから、第一審の訴訟手續についてたとえ所論のような違法(辯護人に關する公判調書の誤記及び辯護人に對し公判期日を通知しなかつたこと)があつたとしても、その違法は控訴審の判決に影響を及ぼすものではない。
 二 所論のような違法は第一審の訴訟手續を違法ならしめるだけで、その手續の存在を失わしめて無効とするものでないから、所論のように控訴審が第一審となり被告人から三審制の利益を奪うものではない。
 三 原判決はその舉示する證據を綜合して、被告人が原判示家屋の押入内壁紙にマツチで放火したため火は天井に燃え移り右家屋の天井板約一尺四方を燒毀した事實を認定しているのであるから、右の事實自體によつて、火勢は放火の媒介物を離れて家屋が獨立燃燒する程度に達したことが認められるので、原判示の事實は放火既遂罪を構成する事實を充たしたものというべきである。されば、原判決が右の事實に對し刑法第一〇八條を適用して放火既遂罪として處斷したのは相當である。
 四 論旨は被告人に利益な情状を述べて原判決の破毀を求めているが、かかる事情の開陳は上告の適法な理由ではないから採用することができない。

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cf. 最決平9・10・21(平成8(あ)1154 現住建造物等放火、詐欺未遂) 全文

判示事項
 競売手続の妨害目的で従業員を交替で泊まり込ませていた家屋につき放火前に右従業員を旅行に連れ出していても刑法(平成七年法律第九一号による改正前のもの)一〇八条にいう「現ニ人ノ居住ニ使用」する建造物に当たるとされた事例

裁判要旨
 競売手続の妨害目的で自己の経営する会社の従業員を交替で泊まり込ませていた家屋につき放火を実行する前に右従業員らを旅行に連れ出していても、同家屋に日常生活上必要な設備、備品があり、従業員らが犯行前の約一箇月半の間に十数回交替で宿泊し、旅行から帰れば再び交替で宿泊するものと認識していたなど判示の事実関係の下においては、右家屋は、刑法(平成七年法律第九一号による改正前のもの)一〇八条にいう「現ニ人ノ居住ニ使用」する建造物に当たる。