第258条 公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、三月以上七年以下の拘禁刑に処する。cf. 改正前刑法258条 公用文書等毀棄
判示事項
1 郵便送達報告書の受領者の押印又は署名欄に他人の氏名を冒書する行為と有印私文書偽造罪の成否
2 他人あての送達書類を廃棄するだけの意図で他人を装って受領する行為について詐欺罪における不法領得の意思が認められないとされた事例
裁判要旨
1 郵便送達報告書の受領者の押印又は署名欄に他人である受送達者本人の氏名を冒書する行為は,同人名義の受領書を偽造したものとして,有印私文書偽造罪を構成する。
2 支払督促の債務者を装い郵便配達員を欺いて支払督促正本を受領することにより,送達が適式にされたものとして支払督促の効力を生じさせ,債務者から督促異議申立ての機会を奪ったまま確定させて,その財産を差し押さえようとしたが,支払督促正本はそのまま廃棄するだけで外に何らかの用途に利用,処分する意思がなかったという判示の事実関係の下では,支払督促正本に対する詐欺罪における不法領得の意思を認めることはできない。
判示事項
公務員の作成中の文書と刑法二五八条にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」
裁判要旨
公務員が公務所の作用として職務権限に基づいて作成中の文書は、それが文書としての意味、内容を備えるに至つた以上、刑法二五八条にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」にあたる。
判示事項
一 未完成の弁解録取書は刑法第二五八条の「公務所ノ用ニ供スル文書」にあたるか
二 公文書毀棄罪の成立する一事例
裁判要旨
司法警察員が刑訴二〇三条に基き被疑者に対し被疑事実の要旨および弁護人を選任し得る旨を告げ、被疑者がこれに対する供述をしたので、その旨を記載した弁解録取書原本を執筆し、これを読み聞かせ誤の有無を問うたところ被疑者が黙秘したため、司法警察員がその旨の文言の一部を末尾に記載した場合においては、いまだ被疑者および司法警察員の署名押印がなくても、右弁解録取書は、刑法第二五八条にいわゆる「公務所ノ用ニ供スル文書」と解すべきである。
