第506条 相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。この場合において、その意思表示には、条件又は期限を付することができない。
2 前項の意思表示は、双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼってその効力を生ずる。
もう一歩先へ 1項:
cf.
最判昭32・7・19(昭和29(オ)723 転付金請求) 全文
判示事項
一 手形の「依頼返還」の効力
二 弁済期到来前の受働債権の譲渡または転付と債務者の相殺
三 受働債権の譲渡と債務者の相殺の意思表示の相手方
裁判要旨
一 手形交換所における手形の呈示後、手形振出人の依頼に基きこれをして取引停止処分を免れさせるため、手形持出銀行がその受入銀行から手形のいわゆる「依頼返還」を受けたとしても、そのために一たんなされた手形の呈示および支払拒絶の効力は失われない。
二 弁済期到来前に受働債権の譲渡または転付があつた場合でも、債務者が右の譲渡通知または転付命令送達の当時すでに弁済期の到来している反対債権を有する以上、右譲受または転付債権者に対し相殺をもつて対抗することができる。
三 債務者が受働債権の譲受人に対し相殺をもつて対抗する場合には、その相殺の意思表示はこれを右譲受人に対してなすべきである。
もう一歩先へ 1項:
cf.
最判平13・12・18(平成10(オ)730 否認権行使請求事件) 全文
判示事項
有価証券に表章された金銭債権を受働債権として相殺をするに当たって同有価証券を占有することの要否
裁判要旨
有価証券に表章された金銭債権の債務者は,同債権を受働債権として相殺をするに当たり,同有価証券を占有することを要しない。
もう一歩先へ 2項:
cf.
最判昭32・3・8(昭和30(オ)332 家屋明渡請求) 全文
判示事項
相殺の遡及効が契約解除に及ぼす影響の有無
裁判要旨
賃貸借契約が、賃料不払のため適法に解除された以上、たとえその後、賃借人の相殺の意思表示により右賃料債務が遡つて消滅しても、解除の効力に影響はなく、このことは、解除の当時、賃借人において自己が反対債権を有する事実を知らなかつたため、相殺の時期を失した場合であつても、異るところはない。