こころうき ~ ことばの道しるべ

こころうき
 
年にも有るかな
 
廿日あまり
 
ここぬかと伝ふに
 
春のくれぬる
 
     藤原 長能

 
 

この歌は 平安時代の歌会で詠まれた
 一首なんですね。
「今年は なんと悲しい年であることよ。
29日というのに 春が終わってしまうとは」
 という意味なんですが。
この年は3月が暦上 1日早い
 29日で終わってしまう年だった。

だけれども
 歌会の場に居合わせた主催者であり
歌壇のトップである藤原公任きんとうという人が
この歌の意味を
 ちょっと勘違いしてしまって
春が30日しかないということも
 なかろうというふうに つぶやいた。
1月から3月まで ずっと春の期間じゃ
 ないかというふうに言ったんですね。
作者の長能ながとう
歌壇のお偉いさん トップの公任に
 批判されてしまったっていうので
とてもショックを受けて
そのあと
 ごはんが食べられなくなってしまって
最終的には死んでしまったという歌。


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