第203条 占有権は、占有者が占有の意思を放棄し、又は占有物の所持を失うことによって消滅する。ただし、占有者が占有回収の訴えを提起したときは、この限りでない。
もう一歩先へ 1項:
所持の喪失
- 劇場内の売店を、再三の督促にもかかわらず使用しないまま2年8か月が経過した場合には、その場所の所持を失うものと判示されています(最判昭30.11.18)。
- 借地人が、地上の自己所有の建物を賃貸している場合には、建物が滅失したならば、借家人は建物の所持を失い、土地について借地人の自己占有となる(大判昭3.6.11)。
もう一歩先へ ただし書き:
占有者は、占有回収の訴えを提起して勝訴し、現実にその物の占有を回復したときは、現実に占有しなかった間も占有を失わず、占有が継続していたものと擬制されます。
「占有回収の訴えを提起」というためには、単に訴えを提起しただけでは足りず、①勝訴し、かつ、②その後、現実に占有を回復することも必要です(最判昭44.12.2)。