民法176条 物権の設定及び移転

第176条 物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。


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物権変動の原因

  1. 法律行為 e.g. 契約の締結、法律行為の取消
  2. 法律の規定 e.g. 時効完成
  3. 事実行為 e.g. 山菜や魚などの採取
  4. 自然法則 e.g. 果実が木になる、火災で家が燃える。

物権発生の態様

  1. 原始取得 e.g. 時効取得、無主物先占
  2. 承継取得 e.g. 前主の権利を前提として権利を取得する場合
    ⇒その権利の瑕疵や負担を合わせて承継します。いわば、シミのついたままで権利を取得します。
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cf. 最判平33・6・20(不動産所有権移転登記手続等請求) 全文

判示事項
 特定物の売買と所有権移転の時期

裁判要旨
 売主の所有に属する特定物を目的とする売買においては、特にその所有権の移転が将来なされるべき約旨に出たものでないかぎり、買主に対し直ちに所有権移転の効力を生ずるものと解するを相当とする

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cf. 最判昭40・11・19(昭和40(オ)614  第三者異議) 全部

判示事項
 特定物の売買後売主が物件の所有権を取得したときと買主への所有権移転の時期・方法。

裁判要旨
 売主が第三者所有の特定物を売り渡した後右物件の所有権を取得した場合には、買主への所有権移転の時期・方法について特段の約定がないかぎり、右物件の所有権は、なんらの意思表示がなくても、売主の所有権取得と同時に買主に移転する。

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代物弁済による債務消滅の効果は、単に当事者がその意思表示をするだけでは足りず、第三者に対する対抗要件を具備したときでなければ生じないものの、そのことは、代物弁済による所有権移転の効果が原則として当事者間の代物弁済契約の意思表示によって生ずることを妨げるものではないとしています。

cf. 最判昭57・6・4(昭和57(オ)111 所有権移転登記抹消登記手続) 全文

判示事項
 不動産を目的とする代物弁済と該不動産所有権移転の時期

裁判要旨
 不動産を目的とする代物弁済契約の意思表示がされたときは、これにより該不動産の所有権移転の効果が生ずる。

cf. 民法482条 代物弁済

民法438条 連帯債務者の一人との間の更改

第438条 連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。


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改正前民法435条 連帯債務者の一人との間の更改

改正前民法436条 連帯債務者の一人による相殺等

第436条  連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。
 
2  前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分についてのみ他の連帯債務者が相殺を援用することができる。

 
cf. 民法439条 連帯債務者の一人による相殺等

民法439条 連帯債務者の一人による相殺等

第439条 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
 
2 前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分の限度において、他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。


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改正前民法436条 連帯債務者の一人による相殺等

改正前民法437条 連帯債務者の一人に対する免除

第437条  連帯債務者の一人に対してした債務の免除は、その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者の利益のためにも、その効力を生ずる。

 

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改正前は、連帯債務者の一人に対する債務の免除を絶対的効力事由としていましたが、本条文を廃止し、これを相対的効力事由としています。

cf. 民法441条 相対的効力の原則

民法398条の12 根抵当権の譲渡

第398条の12 元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができる。
 
2 根抵当権者は、その根抵当権を二個の根抵当権に分割して、その一方を前項の規定により譲り渡すことができる。この場合において、その根抵当権を目的とする権利は、譲り渡した根抵当権について消滅する。
 
3 前項の規定による譲渡をするには、その根抵当権を目的とする権利を有する者の承諾を得なければならない。


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もう一歩先へ 1項:
登記原因の日付が元本の確定前であっても、確定後においては受理されません。

cf. 民法398条の14第1項ただし書き 根抵当権の共有

民法440条 連帯債務者の一人との間の混同

第440条 連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、弁済をしたものとみなす。


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改正前民法438条 連帯債務者の一人との間の混同

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施行日 令和2(2020)年4月1日

条文番号が変わりました。

cf. 改正債権法附則1条 施行期日

参考 民法(債権関係)改正法の施行期日について@法務省

改正前民法439条 連帯債務者の一人についての時効の完成

第439条  連帯債務者の一人のために時効が完成したときは、その連帯債務者の負担部分については、他の連帯債務者も、その義務を免れる。

 

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改正前は、連帯債務者の一人についての時効の完成を絶対的効力事由としていましたが、本条文を廃止し、これを相対的効力事由としています。

cf. 民法441条 相対的効力の原則