第1035条 配偶者は、配偶者居住権が消滅したときは、居住建物の返還をしなければならない。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物の所有者は、配偶者居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができない。
2 第五百九十九条第一項及び第二項並びに第六百二十一条の規定は、前項本文の規定により配偶者が相続の開始後に附属させた物がある居住建物又は相続の開始後に生じた損傷がある居住建物の返還をする場合について準用する。
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第92条 法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。
第616条の2 賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する。
新設
第612条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
判示事項
賃借人が賃貸人の承諾なく第三者に賃借物を使用させたときは賃貸人は常に契約を解除しうるか
裁判要旨
賃借人が賃貸人の承諾なく第三者をして賃借物の使用または収益をなさしめた場合でも、賃借人の当該行為を賃貸人に対する背信的行為と認めるにたらない本件の如き特段の事情があるときは、賃貸人は民法第六一二条第二項により契約を解除することはできない。(少数意見および補足意見がある。)
判示事項
無断転貸を背信行為と認めるに足りないとする特段の事情の存否に関する主張・立証責任。
裁判要旨
賃借地の無断転貸を賃貸人に対する背信行為と認めるに足りないとする特段の事情は、その存在を賃借人において主張・立証すべきである。
第1038条 配偶者(配偶者短期居住権を有する配偶者に限る。以下この節において同じ。)は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用をしなければならない。
2 配偶者は、居住建物取得者の承諾を得なければ、第三者に居住建物の使用をさせることができない。
3 配偶者が前二項の規定に違反したときは、居住建物取得者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者短期居住権を消滅させることができる。
配偶者居住権の消滅請求については、配偶者に対する是正の催告を必要なものとしています。
これは配偶者は自らの具体的相続分において配偶者居住権をしていることと、配偶者居住権は審判での設定も認められているなど、必ずしも当事者間の信頼関係に基づくものとはいえないこと等を考慮したものです。
第88条 物の用法に従い収取する産出物を天然果実とする。
2 物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実とする。
牛乳やくだもののように、自然法則に従って生み出される物を天然果実、当事者間の契約や法律の定めによって発生する利益を法定果実と言います。
第89条 天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する。
2 法定果実は、これを収取する権利の存続期間に応じて、日割計算によりこれを取得する。
第601条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
第1030条 配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによる。
しかしながら、期間満了時に、当事者間で改めて賃貸者契約や使用貸借契約を締結することはできます。
cf.
民法601条 賃貸借
cf.
民法593条 使用貸借
配偶者居住権の存続期間について別段の定めをした場合でも、その期間中に配偶者が死亡した場合は、その時点で終了します。
第87条 物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。
2 従物は、主物の処分に従う。
従物の判断基準
原則は土地と建物のように独立の物は、それぞれ別個に処分の対象になります。土地を売った場合、建物はついてきません。
cf. 民法86条 不動産及び動産主物と従物の場合は法的運命を共にします。スニーカーを購入した場合、通常、それに付属の靴紐の権利も移転します。主物の所有者が変わったら従物の所有者も変わります。主物が質に入れられたら従物も質に入ります。
単に近くにあるからといって独立した物の権利は移転しません。
87条2項は従物だけでなく、ある物の価値を高めるような、従たる権利についても主物と法律的運命を共にさせた方が妥当な場合には類推して適用できます。
e.g. 建物を購入した場合、その土地の賃借権などの土地の利用権は従たる権利と言えます。