民法710条 財産以外の損害の賠償

第710条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。


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cf. 最大判昭42・11・1(昭和38(オ)1408 慰藉料請求) 全文

判示事項
 不法行為による慰藉料請求権は相続の対象となるか

裁判要旨
 不法行為による慰藉料請求権は、被害者が生前に請求の意思を表明しなくても、相続の対象となる。

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もし、右事実が真実であることが証明されなくても、その行為者においてその事実を真実と信ずるについて相当の理由があるときは、右行為には故意もしくは過失がなく、結局、不法行為は成立しないものと解するのが相当である(このことは、刑法230条の2の規定の趣旨から十分窺うことができる。)。

cf. 最判昭41・6・23(昭和37(オ)815 名誉および信用毀損による損害賠償および慰藉料請求) 全文

判示事項
 公共の利害に関する事実の摘示と名誉毀損の成否

裁判要旨
 名誉毀損については、当該行為が公共の利害に関する事実に係りもつぱら公益を図る目的に出た場合において、摘示された事実が真実であることが証明されたときは、その行為は、違法性を欠いて、不法行為にならないものというべきである。

会社法93条 設立時取締役等による調査

第93条 設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査役設置会社である場合にあっては、設立時取締役及び設立時監査役。以下この条において同じ。)は、その選任後遅滞なく、次に掲げる事項を調査しなければならない。
 一 第三十三条第十項第一号又は第二号に掲げる場合における現物出資財産等(同号に掲げる場合にあっては、同号の有価証券に限る。)について定款に記載され、又は記録された価額が相当であること。
 二 第三十三条第十項第三号に規定する証明が相当であること。
 三 発起人による出資の履行及び第六十三条第一項の規定による払込みが完了していること。
 四 前三号に掲げる事項のほか、株式会社の設立の手続が法令又は定款に違反していないこと。
 
2 設立時取締役は、前項の規定による調査の結果を創立総会に報告しなければならない。
 
3 設立時取締役は、創立総会において、設立時株主から第一項の規定による調査に関する事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。


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募集設立のみ

もう一歩先へ 2項:
設立時取締役は、募集設立では創立総会に報告することになりますが、発起設立の場合は発起人に通知します。

cf. 会社法46条2項 設立時取締役等による調査

会社法94条 設立時取締役等が発起人である場合の特則

第94条 設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査役設置会社である場合にあっては、設立時取締役及び設立時監査役)の全部又は一部が発起人である場合には、創立総会においては、その決議によって、前条第一項各号に掲げる事項を調査する者を選任することができる。
 
2 前項の規定により選任された者は、必要な調査を行い、当該調査の結果を創立総会に報告しなければならない。


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もう一歩先へ 2項:
設立登記の申請書に、この者の調査報告書等を添付する規定はありません。
 
cf. 商業登記法47条 設立の登記

商業登記法47条 設立の登記

第47条 設立の登記は、会社を代表すべき者の申請によつてする。
 
2 設立の登記の申請書には、法令に別段の定めがある場合を除き、次の書面を添付しなければならない。
 一 定款
 二 会社法第五十七条第一項の募集をしたときは、同法第五十八条第一項に規定する設立時募集株式の引受けの申込み又は同法第六十一条の契約を証する書面
 三 定款に会社法第二十八条各号に掲げる事項についての記載又は記録があるときは、次に掲げる書面
  イ 検査役又は設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査役設置会社である場合にあつては、設立時取締役及び設立時監査役)の調査報告を記載した書面及びその附属書類
  ロ 会社法第三十三条第十項第二号に掲げる場合には、有価証券(同号に規定する有価証券をいう。以下同じ。)の市場価格を証する書面
  ハ 会社法第三十三条第十項第三号に掲げる場合には、同号に規定する証明を記載した書面及びその附属書類
 四 検査役の報告に関する裁判があつたときは、その謄本 “商業登記法47条 設立の登記” の続きを読む

会社法32条 設立時発行株式に関する事項の決定

第32条 発起人は、株式会社の設立に際して次に掲げる事項(定款に定めがある事項を除く。)を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
一 発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数
二 前号の設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額
三 成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項
 
2 設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、前項第一号の設立時発行株式が第百八条第三項前段の規定による定款の定めがあるものであるときは、発起人は、その全員の同意を得て、当該設立時発行株式の内容を定めなければならない。


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発起設立 募集設立  
 
cf. 会社法445条1項~3項 資本金の額及び準備金の額
 
cf. 会社法911条3項9号 株式会社の設立の登記
 
cf. 商業登記法47条3項 設立の登記

cf. 会社法27条 定款の記載又は記録事項

民法709条 不法行為による損害賠償

第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。


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cf. 最判昭37・9・4(昭和34(オ)117  損害賠償請求) 全文

判示事項
 一 通行人の死亡による損害が国道管理の瑕疵のため生じたものと認められた事例
 二 不法行為に基づく損害賠償債務の遅滞の時期

裁判要旨
 一 原動機付自転車に乗つた通行人が夜間国道上を通行中、暗渠新設工事のため同国道上に横たえられた枕木に激突、転倒し、死亡した場合において右枕木の位置およびその付近の夜間照明等について原判決認定のような事情(原判決理由参照)があるときは、右通行人が多少酒気を帯びており、右工事が同国道の管理者の許可を受けない等違法のものであつても、同管理者があらかじめ右工事を中止させて国道を原状に回復させ、これを常時安全良好な状態において維持しなかつたかぎり、右死亡による損害は同国道の管理に瑕疵があつたため生じたものというべきである。
 二 不法行為に基づく損害賠償債務は、なんらの催告を要することなく、損害の発生と同時に遅滞に陥るものと解すべきである。

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cf. 最判平8・5・31(平成5(オ)1958  損害賠償) 全文

判示事項
 一 交通事故の被害者がその後に第二の交通事故により死亡した場合に最初の事故の後遺障害による財産上の損害の額の算定に当たり被害者の死亡を考慮することの許否
 二 交通事故の被害者が事故後に死亡した場合に後遺障害による財産上の損害の額の算定に当たり死亡後の生活費を控除することの許否

裁判要旨
 一 交通事故の被害者がその後に第二の交通事故により死亡した場合、最初の事故の後遺障害による財産上の損害の額の算定に当たっては、死亡の事実は就労可能期間の算定上考慮すべきものではない。
 二 交通事故の被害者が事故後に死亡した場合、後遺障害による財産上の損害の額の算定に当たっては、事故と被害者の死亡との間に相当因果関係がある場合に限り、死亡後の生活費を控除することができる。

cf. 民法416条 損害賠償の範囲
 
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cf. 最判昭30・4・19(昭和28(オ)625  農地委員会解散命令無効確認並に慰藉料請求) 全文

判示事項
 国家賠償と賠償責任の負担者

裁判要旨
 公権力の行使に当る公務員の職務行為に基く損害については、国または公共団体が賠償の責に任じ、職務の執行に当つた公務員は、行政機関としての地位においても、個人としても、被害者に対しその責任を負担するものではない。

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cf. 最判昭39・9・25(損害賠償請求) 全文

判示事項
 不法行為による死亡に基づく損害賠償額から生命保険金を控除することの適否。

裁判要旨
 生命保険金は、不法行為による死亡に基づく損害賠償額から控除すべきでない。

cf. 民法422条の2 代償請求権

民法708条 不法原因給付

第708条 不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。


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cf. 民法90条 公序良俗

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cf. 最判昭46・10・28(昭和45(オ)10  建物所有権移転登記手続等請求) 全文

判示事項
 民法七〇八条にいう給付と既登記建物の贈与に基づく引渡

裁判要旨
 不法の原因により既登記建物を贈与した場合、その引渡をしただけでは、民法七〇八条にいう給付があつたとはいえない。

 
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cf. 最判昭28・1・22(昭和24(オ)179 約束手形金請求) 全文

判示事項
 一 不法原因給付の返還の特約の効力
 二 不法原因給付の返還の特約に基く返還義務の履行のため振り出された手形の請求と民法第七〇八条

裁判要旨
 一 不法原因給付の返還の特約は、有効である
 二 不法原因給付の返還の特約に基く返還義務の履行のため振り出された手形の請求には、民法七〇八条は適用がない。

 
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cf. 最大判昭45・10・21(昭和41(オ)436  建物明渡等請求) 全文

判示事項
 一、不法の原因により未登記建物を贈与した贈与した場合その引渡は民法七〇八条にいう給付にあたるか
 二、所有権に基づく返還請求と民法七〇八条
 三、建物の所有者のした贈与に基づく履行行為が不法原因給付にあたる場合における右建物の所有権の帰すう
 四、建物の贈与が不法原因給付であつてその所有権が受贈者に帰属した場合における受贈者に対する登記手続請求の許否

裁判要旨
 一、不法の原因により未登記建物を贈与した場合、その引渡は、民法七〇八条にいう給付にあたる。
 二、建物の贈与に基づく引渡が不法原因給付にあたる場合に、贈与者は、目的物の所有権が自己にあることを理由として、右建物の返還を請求することはできない。
 三、建物の所有者のした贈与に基づく履行行為が不法原因給付にあたる場合には、贈与者において給付した物の返還を請求できないことの反射的効果として、右建物の所有権は、受贈者に帰属するに至ると解するのが相当である。
 四、未登記建物の贈与が不法原因給付であつてその所有権が受贈者に帰属した場合において、贈与者が右建物につき所有権保存登記を経由したときは、受贈者が贈与者に対し建物の所有権に基づいて右所有権保存登記の抹消登記手続を請求することは、不動産物権に関する法制の建前からいつて許されるものと解すべきである。

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民法七〇八条にいう不法の原因のための給付とは、その原因となる行為が、強行法規に違反した不適法なものであるのみならず、更にそれが、その社会において要求せられる倫理、道徳を無視した醜悪なものであることを必要とするとしています。
 
cf. 最判昭37・3・8(昭和32(オ)651  売掛代金請求) 全文

判示事項
 石油製品配給規則違反の給付と不法原因給付の成否

裁判要旨
 石油製品配給規則第一条、第一一条、第一二条に違反し配給割当公文書と引換でなしにされた揮発油の譲渡といえども、必ずしも民法第七〇八条にいわゆる不法原因給付に当るとはいえない。

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cf. 最判昭29・8・31(昭和27(オ)13 貸金請求) 全文

判示事項
 消費貸借成立のいきさつに不法の点があつた場合における貸金返還請求と民法第九〇条および第七〇八条の適用の有無

裁判要旨
 消費貸借成立のいきさつにおいて、貸主の側に多少の不法があつたとしても、借主の側にも不法の点があり、前者の不法性が後者のそれに比しきわめて微弱なものに過ぎない場合には、民法第九〇条および第七〇八条は適用がなく、貸主は貸金の返還を請求することができるものと解するのを相当とする。

民法189条 善意の占有者による果実の取得等

第189条 善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得する。
 
2 善意の占有者が本権の訴えにおいて敗訴したときは、その訴えの提起の時から悪意の占有者とみなす。


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もう一歩先へ
本条は、物に関する特則なので、物の占有が回復される場合に適用されます。物を返還できる場合は本条を適用し、物が滅失して返還できないような場合は民法703条で現存利益の範囲で返還義務を負います。

cf. 民法703条 不当利得の返還義務
 
もう一歩先へ 1項:
善意の占有者は自分の物だと思っているので、果実を費消するのが通常だからです。

悪意の占有者の場合は、すべての果実の返還義務があり、費消した果実がある場合は、その代価を償還しなければなりません。

cf. 民法190条 悪意の占有者による果実の返還等

民法704条 悪意の受益者の返還義務等

第704条 悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う


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cf. 民法190条 悪意の占有者による果実の返還等
 

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cf. 最判平21・11・9(平成21(受)247 不当利得金返還請求事件) 全文

判示事項
 民法704条後段の規定の趣旨

裁判要旨
 民法704条後段の規定は,悪意の受益者が不法行為の要件を充足する限りにおいて不法行為責任を負うことを注意的に規定したものにすぎず,悪意の受益者に対して不法行為責任とは異なる特別の責任を負わせたものではない。