民法501条 弁済による代位の効果

第501条 前二条の規定により債権者に代位した者は、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。

 
2 前項の規定による権利の行使は、債権者に代位した者が自己の権利に基づいて債務者に対して求償をすることができる範囲内(保証人の一人が他の保証人に対して債権者に代位する場合には、自己の権利に基づいて当該他の保証人に対して求償をすることができる範囲内)に限り、することができる。
 
3 第一項の場合には、前項の規定によるほか、次に掲げるところによる。
 
 一 第三取得者(債務者から担保の目的となっている財産を譲り受けた者をいう。以下この項において同じ。)は、保証人及び物上保証人に対して債権者に代位しない。
 二 第三取得者の一人は、各財産の価格に応じて、他の第三取得者に対して債権者に代位する。
 三 前号の規定は、物上保証人の一人が他の物上保証人に対して債権者に代位する場合について準用する。
 四 保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。
 五 第三取得者から担保の目的となっている財産を譲り受けた者は、第三取得者とみなして第一号及び第二号の規定を適用し、物上保証人から担保の目的となっている財産を譲り受けた者は、物上保証人とみなして第一号、第三号及び前号の規定を適用する。


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改正前民法501条 弁済による代位の効果

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代位弁済は、代位弁済者の債務者に対する求償権を確保するために、法の規定によって弁済により消滅するはずの原債権及び担保権を代位弁済者に移転させ、代位弁済者が求償権の範囲内で原債権及び担保権を行使することを認める制度であるとし、したがって、担保権の被担保債権は原債権であり、代位弁済者が優先弁済を受けるのは、求償権ではなく、原債権であるとする

cf. 最判昭59・5・29(昭和55(オ)351 配当異議) 全文

判示事項
 一 保証人と債務者との間に成立した求償権につき約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約と民法五〇一条所定の代位の範囲
 二 保証人と物上保証人との間に成立した民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約の第三者に対する効力

裁判要旨
 一 保証人と債務者との間に求償権について法定利息と異なる約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人及び当該物件の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、債権者の有していた債権及び担保権につき、右特約に基づく遅延損害金を含む求償権の総額を上限として、これを行使することができる。
 二 保証人と物上保証人との間に民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、右特約の割合に応じて債権者が物上保証人に対して有していた抵当権等の担保権を代位行使することができる。

 
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代位弁済者が原債権及び担保権を行使して訴訟においてその給付又は確認を請求する場合には、それによつて確保されるべき求償権の成立、債権の内容を主張立証しなければならない

cf. 最判昭61・2・20(昭和58(オ)881  求償債務履行) 全文

判示事項
 代位弁済者の債権者から代位取得した原債権又はその連帯保証債権の給付請求を認容する場合と判決主文における求償権の表示

裁判要旨
 代位弁済者が債権者から代位取得した原債権又はその連帯保証債権の給付を求める訴訟において、裁判所が請求を認容する場合には、求償権の額が原債権の額を常に上回るものと認められる特段の事情のない限り、主文において、請求を認容する限度として求償権を表示すべきである。

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cf. 最判昭61・11・27(昭和57(オ)749 配当異議) 全文

判示事項
 保証人・物上保証人の両資格を兼ねる者と弁済による代位の割合

裁判要旨
 保証人又は物上保証人とその両資格を兼ねる者との間の弁済による代位の割合は、両資格を兼ねる者も一人として、全員の頭数に応じた平等の割合であると解するのが相当である。

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cf. 最判平9.12.18(平成5(オ)1128  求償金) 全文

判示事項
 担保権の設定された物件が弁済までの間に共同相続により共有となった場合における民法五〇一条五号にいう「頭数」の意義

裁判要旨
 民法五〇一条五号にいう「頭数」は、単独所有であった物件に担保権が設定された後、これが弁済までの間に共同相続により共有となった場合には、弁済の時における物件の共有持分権者をそれぞれ一名として数えるべきである。

(反対意見がある。)

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cf. 最判昭59.5.29(昭和55(オ)351 配当異議) 全文

判示事項
 一 保証人と債務者との間に成立した求償権につき約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約と民法五〇一条所定の代位の範囲
 二 保証人と物上保証人との間に成立した民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約の第三者に対する効力

裁判要旨
 一 保証人と債務者との間に求償権について法定利息と異なる約定利率による遅延損害金を支払う旨の特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人及び当該物件の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、債権者の有していた債権及び担保権につき、右特約に基づく遅延損害金を含む求償権の総額を上限として、これを行使することができる。
 二 保証人と物上保証人との間に民法五〇一条但書五号所定の代位の割合と異なる特約がある場合には、代位弁済をした右保証人は、物上保証人の後順位担保権者等の利害関係人に対する関係において、右特約の割合に応じて債権者が物上保証人に対して有していた抵当権等の担保権を代位行使することができる。

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cf. 最判昭60・1・22(昭和53(オ)883 配当異議) 全文

判示事項
 代位弁済をした保証人に対して債務者のした内入金の支払と求償権及び原債権に対する弁済関係

裁判要旨
 保証人が債権者に代位弁済をしたのちに、債務者から保証人に対して内入金の支払がされたときは、保証人が代位弁済によつて取得した求償権と債権者に代位した原債権とのそれぞれにつき内入弁済があつたものと解すべきである。

改正前民法502条 一部弁済による代位

第502条  債権の一部について代位弁済があったときは、代位者は、その弁済をした価額に応じて、債権者とともにその権利を行使する。
 
2  前項の場合において、債務の不履行による契約の解除は、債権者のみがすることができる。この場合においては、代位者に対し、その弁済をした価額及びその利息を償還しなければならない。

 
cf. 民法502条 一部弁済による代位

民法502条 一部弁済による代位

第502条 債権の一部について代位弁済があったときは、代位者は、債権者の同意を得て、その弁済をした価額に応じて、債権者とともにその権利を行使することができる。
 
2 前項の場合であっても、債権者は、単独でその権利を行使することができる。
 
3 前二項の場合に債権者が行使する権利は、その債権の担保の目的となっている財産の売却代金その他の当該権利の行使によって得られる金銭について、代位者が行使する権利に優先する。
 
4 第一項の場合において、債務の不履行による契約の解除は、債権者のみがすることができる。この場合においては、代位者に対し、その弁済をした価額及びその利息を償還しなければならない。


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改正前民法502条 一部弁済による代位

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もう一歩先へ 1項:
cf. 最判平17・1・27(平成16(受)1019  更生担保権優先関係確認請求事件) 全文

判示事項
 不動産を目的とする1個の抵当権が数個の債権を担保しそのうちの1個の債権のみについての保証人が当該債権に係る残債務全額につき代位弁済した場合において当該抵当不動産の換価による売却代金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りないときの上記売却代金からの弁済受領額

裁判要旨
 不動産を目的とする1個の抵当権が数個の債権を担保し,そのうちの1個の債権のみについての保証人が当該債権に係る残債務全額につき代位弁済した場合において,当該抵当不動産の換価による売却代金が被担保債権のすべてを消滅させるに足りないときには,債権者と保証人は,両者間に上記売却代金からの弁済の受領についての特段の合意がない限り,上記売却代金につき,債権者が有する残債権額と保証人が代位によって取得した債権額に応じて案分して弁済を受ける。

民法503条 債権者による債権証書の交付等

第503条 代位弁済によって全部の弁済を受けた債権者は、債権に関する証書及び自己の占有する担保物を代位者に交付しなければならない。
 
2 債権の一部について代位弁済があった場合には、債権者は、債権に関する証書にその代位を記入し、かつ、自己の占有する担保物の保存を代位者に監督させなければならない。


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民法260条 共有物の分割への参加

第260条 共有物について権利を有する者及び各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加することができる。
 
2 前項の規定による参加の請求があったにもかかわらず、その請求をした者を参加させないで分割をしたときは、その分割は、その請求をした者に対抗することができない。


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改正前民法504条 債権者による担保の喪失等

第504条  第五百条の規定により代位をすることができる者がある場合において、債権者が故意又は過失によってその担保を喪失し、又は減少させたときは、その代位をすることができる者は、その喪失又は減少によって償還を受けることができなくなった限度において、その責任を免れる。

 
cf. 民法504条 債権者による担保の喪失等

民法504条 債権者による担保の喪失等

第504条 弁済をするについて正当な利益を有する者(以下この項において「代位権者」という。)がある場合において、債権者が故意又は過失によってその担保を喪失し、又は減少させたときは、その代位権者は、代位をするに当たって担保の喪失又は減少によって償還を受けることができなくなる限度において、その責任を免れる。その代位権者が物上保証人である場合において、その代位権者から担保の目的となっている財産を譲り受けた第三者及びその特定承継人についても、同様とする。
 
2 前項の規定は、債権者が担保を喪失し、又は減少させたことについて取引上の社会通念に照らして合理的な理由があると認められるときは、適用しない。


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改正前民法504条 債権者による担保の喪失等

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cf. 最判平7・6・23(平成6(オ)1835 建物根抵当権設定登記抹消登記) 全文

判示事項
 一 債権者が物上保証人に対して担保保存義務免除特約の効力を主張することが信義則に違反せず権利の濫用にも当たらないとされた事例
 二 担保保存義務免除特約の効力により物上保証人について民法五〇四条による免責の効果が生じなかった場合にその後物上保証人から担保物件の譲渡を受けた第三取得者が債権者に対して免責の効果を主張することの可否

裁判要旨
 一 債権者甲の債務者乙に対する債権を担保するために所有不動産に根抵当権を設定した丙が甲との間に民法五〇四条に規定する担保保存義務を免除する旨の特約をしていた場合に、甲が、右担保に追加して乙所有の不動産に設定を受けた根抵当権を放棄した上、丙に対し右特約の効力を主張することは、乙から設定を受けた右追加担保が甲の乙に対する追加融資の額に見合うものであり、甲が乙からその弁済を受けるのに伴って右追加担保を放棄したものであるなど判示の事実関係の下においては、信義則に違反せず、権利の濫用にも当たらない。
 二 債権者甲の債務者乙に対する債権を担保するために所有不動産に根抵当権を設定した丙が甲との間に民法五〇四条に規定する担保保存義務を免除する旨の特約をしていた場合に、甲が乙から設定を受けた担保を喪失し、又は減少させた時に右特約の効力により丙について同条による免責の効果が生じなかったときは、その後丙から右不動産の譲渡を受けた丁は、甲に対し、同条による免責の効果を主張することはできない。

民法927条 相続債権者及び受遺者に対する公告及び催告

第927条 限定承認者は、限定承認をした後五日以内に、すべての相続債権者(相続財産に属する債務の債権者をいう。以下同じ。)及び受遺者に対し、限定承認をしたこと及び一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
 
2 前項の規定による公告には、相続債権者及び受遺者がその期間内に申出をしないときは弁済から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、限定承認者は、知れている相続債権者及び受遺者を除斥することができない。
 
3 限定承認者は、知れている相続債権者及び受遺者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
 
4 第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。


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