第192条 破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき商法又は会社法の規定による留置権がある場合において、当該財産が第三十六条の規定により継続されている事業に必要なものであるとき、その他当該財産の回復が破産財団の価値の維持又は増加に資するときは、破産管財人は、留置権者に対して、当該留置権の消滅を請求することができる。
2 前項の規定による請求をするには、同項の財産の価額に相当する金銭を、同項の留置権者に弁済しなければならない。
3 第一項の規定による請求及び前項に規定する弁済をするには、裁判所の許可を得なければならない。
4 前項の許可があった場合における第二項に規定する弁済の額が第一項の財産の価額を満たすときは、当該弁済の時又は同項の規定による請求の時のいずれか遅い時に、同項の留置権は消滅する。
5 前項の規定により第一項の留置権が消滅したことを原因とする同項の財産の返還を求める訴訟においては、第二項に規定する弁済の額が当該財産の価額を満たさない場合においても、原告の申立てがあり、当該訴訟の受訴裁判所が相当と認めるときは、当該受訴裁判所は、相当の期間内に不足額を弁済することを条件として、第一項の留置権者に対して、当該財産を返還することを命ずることができる。
破産法188条 買受けの申出
第188条 被申立担保権者は、第百八十六条第一項の申立てにつき異議があるときは、前条第一項の期間内に、破産管財人に対し、当該被申立担保権者又は他の者が第百八十六条第三項第一号の財産を買い受ける旨の申出(以下この節において「買受けの申出」という。)をすることができる。
2 買受けの申出は、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 第百八十六条第三項第一号の財産を買い受けようとする者(以下この節において「買受希望者」という。)の氏名又は名称
二 破産管財人が第百八十六条第三項第一号の財産の売却によって買受希望者から取得することができる金銭の額(売買契約の締結及び履行のために要する費用のうち破産財団から現に支出し又は将来支出すべき実費の額並びに当該財産の譲渡に課されるべき消費税額等に相当する額であって、当該売買契約において買受希望者の負担とされるものに相当する金銭を除く。以下この節において「買受けの申出の額」という。)
三 第百八十六条第三項第一号の財産が複数あるときは、買受けの申出の額の各財産ごとの内訳の額
3 買受けの申出の額は、申立書に記載された第百八十六条第三項第二号の売得金の額にその二十分の一に相当する額を加えた額以上でなければならない。
4 第百八十六条第三項第一号の財産が複数あるときは、第二項第三号の買受けの申出の額の各財産ごとの内訳の額は、当該各財産につき、同条第三項第二号の売得金の額の各財産ごとの内訳の額を下回ってはならない。
5 買受希望者は、買受けの申出に際し、最高裁判所規則で定める額及び方法による保証を破産管財人に提供しなければならない。
6 前条第三項の規定は、買受けの申出について準用する。
7 買受けの申出をした者(その者以外の者が買受希望者である場合にあっては、当該買受希望者)は、前条第一項の期間内は、当該買受けの申出を撤回することができる。
8 破産管財人は、買受けの申出があったときは、前条第一項の期間が経過した後、裁判所に対し、第百八十六条第三項第一号の財産を買受希望者に売却する旨の届出をしなければならない。この場合において、買受けの申出が複数あったときは、最高の買受けの申出の額に係る買受希望者(最高の買受けの申出の額に係る買受けの申出が複数あった場合にあっては、そのうち最も先にされたものに係る買受希望者)に売却する旨の届出をしなければならない。
9 前項の場合においては、破産管財人は、前条第一項の期間内にされた買受けの申出に係る第二項の書面を裁判所に提出しなければならない。
10 買受けの申出があったときは、破産管財人は、第百八十六条第一項の申立てを取り下げるには、買受希望者(次条第一項の許可の決定が確定した後にあっては、同条第二項に規定する買受人)の同意を得なければならない。
破産法221条 破産手続廃止後又は破産手続終結後の破産債権者表の記載の効力
第221条 第二百十七条第一項若しくは第二百十八条第一項の規定による破産手続廃止の決定が確定したとき、又は前条第一項の規定による破産手続終結の決定があったときは、確定した破産債権については、破産債権者表の記載は、破産者に対し、確定判決と同一の効力を有する。この場合において、破産債権者は、確定した破産債権について、当該破産者に対し、破産債権者表の記載により強制執行をすることができる。
2 前項の規定は、破産者(第百二十一条第三項ただし書の代理人を含む。)が第百十八条第二項、第百十九条第五項、第百二十一条第四項(同条第六項(同条第七項又は第百二十二条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第七項又は第百二十二条第二項において準用する場合を含む。)又は第百二十三条第一項の規定による異議を述べた場合には、適用しない。
破産法166条 支払の停止を要件とする否認の制限
第166条 破産手続開始の申立ての日から一年以上前にした行為(第百六十条第三項に規定する行為を除く。)は、支払の停止があった後にされたものであること又は支払の停止の事実を知っていたことを理由として否認することができない。
破産法260条 否認の登記
第260条 登記の原因である行為が否認されたときは、破産管財人は、否認の登記を申請しなければならない。登記が否認されたときも、同様とする。
2 登記官は、前項の否認の登記に係る権利に関する登記をするときは、職権で、次に掲げる登記を抹消しなければならない。
一 当該否認の登記
二 否認された行為を登記原因とする登記又は否認された登記
三 前号の登記に後れる登記があるときは、当該登記
3 前項に規定する場合において、否認された行為の後否認の登記がされるまでの間に、同項第二号に掲げる登記に係る権利を目的とする第三者の権利に関する登記(破産手続の関係において、その効力を主張することができるものに限る。)がされているときは、同項の規定にかかわらず、登記官は、職権で、当該否認の登記の抹消及び同号に掲げる登記に係る権利の破産者への移転の登記をしなければならない。
4 裁判所書記官は、第一項の否認の登記がされている場合において、破産者について、破産手続開始の決定の取消し若しくは破産手続廃止の決定が確定したとき、又は破産手続終結の決定があったときは、職権で、遅滞なく、当該否認の登記の抹消を嘱託しなければならない。破産管財人が、第二項第二号に掲げる登記に係る権利を放棄し、否認の登記の抹消の嘱託の申立てをしたときも、同様とする。
破産法167条 否認権行使の効果
第167条 否認権の行使は、破産財団を原状に復させる。
2 第百六十条第三項に規定する行為が否認された場合において、相手方は、当該行為の当時、支払の停止等があったこと及び破産債権者を害することを知らなかったときは、その現に受けている利益を償還すれば足りる。
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破産法165条 執行行為の否認
第165条 否認権は、否認しようとする行為について執行力のある債務名義があるとき、又はその行為が執行行為に基づくものであるときでも、行使することを妨げない。
破産法161条 相当の対価を得てした財産の処分行為の否認
第161条 破産者が、その有する財産を処分する行為をした場合において、その行為の相手方から相当の対価を取得しているときは、その行為は、次に掲げる要件のいずれにも該当する場合に限り、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。
一 当該行為が、不動産の金銭への換価その他の当該処分による財産の種類の変更により、破産者において隠匿、無償の供与その他の破産債権者を害することとなる処分(以下「隠匿等の処分」という。)をするおそれを現に生じさせるものであること。
二 破産者が、当該行為の当時、対価として取得した金銭その他の財産について、隠匿等の処分をする意思を有していたこと。
三 相手方が、当該行為の当時、破産者が前号の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたこと。
2 前項の規定の適用については、当該行為の相手方が次に掲げる者のいずれかであるときは、その相手方は、当該行為の当時、破産者が同項第二号の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたものと推定する。
一 破産者が法人である場合のその理事、取締役、執行役、監事、監査役、清算人又はこれらに準ずる者
二 破産者が法人である場合にその破産者について次のイからハまでに掲げる者のいずれかに該当する者
イ 破産者である株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者
ロ 破産者である株式会社の総株主の議決権の過半数を子株式会社又は親法人及び子株式会社が有する場合における当該親法人
ハ 株式会社以外の法人が破産者である場合におけるイ又はロに掲げる者に準ずる者
三 破産者の親族又は同居者
cf.
民事再生法127条の2 相当の対価を得てした財産の処分行為の否認
破産法198条 破産債権の除斥等
第198条 異議等のある破産債権(第百二十九条第一項に規定するものを除く。)について最後配当の手続に参加するには、当該異議等のある破産債権を有する破産債権者が、前条第一項の規定による公告が効力を生じた日又は同条第三項の規定による届出があった日から起算して二週間以内に、破産管財人に対し、当該異議等のある破産債権の確定に関する破産債権査定申立てに係る査定の手続、破産債権査定異議の訴えに係る訴訟手続又は第百二十七条第一項の規定による受継があった訴訟手続が係属していることを証明しなければならない。
2 停止条件付債権又は将来の請求権である破産債権について最後配当の手続に参加するには、前項に規定する期間(以下この節及び第五節において「最後配当に関する除斥期間」という。)内にこれを行使することができるに至っていなければならない。
3 別除権者は、最後配当の手続に参加するには、次項の場合を除き、最後配当に関する除斥期間内に、破産管財人に対し、当該別除権に係る第六十五条第二項に規定する担保権によって担保される債権の全部若しくは一部が破産手続開始後に担保されないこととなったことを証明し、又は当該担保権の行使によって弁済を受けることができない債権の額を証明しなければならない。
4 第百九十六条第三項前段(同条第四項において準用する場合を含む。)の規定により配当表に記載された根抵当権によって担保される破産債権については、最後配当に関する除斥期間内に当該担保権の行使によって弁済を受けることができない債権の額の証明がされた場合を除き、同条第三項後段(同条第四項において準用する場合を含む。)の規定により配当表に記載された最後配当の手続に参加することができる債権の額を当該弁済を受けることができない債権の額とみなす。
5 第三項の規定は、準別除権者について準用する。
破産法214条 配当額の寄託
第214条 中間配当を行おうとする破産管財人は、次に掲げる破産債権に対する配当額を寄託しなければならない。
一 異議等のある破産債権であって、第二百二条第一号に規定する手続が係属しているもの
二 租税等の請求権又は罰金等の請求権であって、第二百十一条の規定による配当率の通知を発した時に第二百二条第二号に規定する手続が終了していないもの
三 中間配当に関する除斥期間内に第二百十条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)の規定による証明及び疎明があった債権のうち、当該疎明があった額に係る部分
四 停止条件付債権又は将来の請求権である破産債権
五 解除条件付債権である破産債権であって、第二百十二条第一項の規定による担保が供されていないもの
六 第百十一条第一項第四号及び第百十三条第二項の規定による届出をしなかった破産債権者が有する破産債権
2 前項第一号又は第二号の規定により当該各号に掲げる破産債権に対する配当額を寄託した場合において、第二百二条第一号又は第二号の規定により当該破産債権に対する配当額を供託するときは、破産管財人は、その寄託した配当額をこれを受けるべき破産債権者のために供託しなければならない。
3 第一項第三号又は第四号の規定により当該各号に掲げる破産債権に対する配当額を寄託した場合において、当該破産債権を有する破産債権者又は別除権者(準別除権者を含む。)が第百九十八条第二項の規定に適合しなかったこと又は同条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)に規定する事項につき証明をしなかったことにより最後配当の手続に参加することができなかったときは、破産管財人は、その寄託した配当額の最後配当を他の破産債権者に対してしなければならない。
4 第一項第五号の規定により同号に掲げる破産債権に対する配当額を寄託した場合において、当該破産債権の条件が最後配当に関する除斥期間内に成就しないときは、破産管財人は、その寄託した配当額を当該破産債権を有する破産債権者に支払わなければならない。
5 第一項第六号の規定により同号に掲げる破産債権に対する配当額を寄託した場合における第二百一条第五項の規定の適用については、同項中「その定めた配当額が同号に」とあるのは「その定めた配当額及び破産管財人が第二百十四条第一項第六号の規定により寄託した同号に掲げる破産債権に対する配当額の合計額が第百十一条第一項第四号に」と、「当該配当額」とあるのは「当該合計額」とする。