破産法160条 破産債権者を害する行為の否認

第160条 次に掲げる行為(担保の供与又は債務の消滅に関する行為を除く。)は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。
 一 破産者が破産債権者を害することを知ってした行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、破産債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
 二 破産者が支払の停止又は破産手続開始の申立て(以下この節において「支払の停止等」という。)があった後にした破産債権者を害する行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、支払の停止等があったこと及び破産債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
 
2 破産者がした債務の消滅に関する行為であって、債権者の受けた給付の価額が当該行為によって消滅した債務の額より過大であるものは、前項各号に掲げる要件のいずれかに該当するときは、破産手続開始後、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分に限り、破産財団のために否認することができる。
 
3 破産者が支払の停止等があった後又はその前六月以内にした無償行為及びこれと同視すべき有償行為は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。


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cf. 民事再生法127条 再生債権者を害する行為の否認

もう一歩先へ 1項:
詐害行為否認

破産者が債権者を害することを知りながら破産前にした行為(詐害行為)で、受益者も悪意である場合には否認できるとするものです。

例外的に、支払停止又は破産手続き開始申立て後の詐害行為である場合に限り、破産者の詐害意思は要件となりません。

もう一歩先へ 2項:
偏頗行為否認

危機時期において、偏頗行為をした場合、破産者の主観的要件なしに受益者の悪意だけで否認できます。

cf. 民法424条の4 過大な代物弁済等の特則
 
もう一歩先へ 3項:
無償否認

主観的要件なしに、否認できます。危機時期の前後に、無償行為を行うことはそれだけで債権者に対する詐害性は十分であるという考え方に基づきます。