第235条の2 他人の不動産を侵奪した者は、十年以下の懲役に処する。
刑法236条 強盗
第236条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
判示事項
犯行現場での逮捕と強盜既遂罪の成立
裁判要旨
被告人等第在宅の家人五人全部を縛り上げ目隠をした後一時間に亘り家内の金品を取出し現金をポケツトに入れ衣類等或は行李、リツクサツクにつめ込み、或は風呂敷に包み、或は着込み又は懐中したときは金品を自己の実力支配内においたことは明らかであるから被告人等が右金品を戸外に持出す前現場で逮捕されたことは強盜既遂罪の成立に影響がない。
刑法237条 強盗予備
第237条 強盗の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。
刑法238条 事後強盗
第238条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
判示事項
窃盜未遂犯人による準強盜行爲を準強盜の既遂をもつて問擬した擬律錯誤の違法と刑法第二四三條
裁判要旨
原判示二の事實につき、原判決の確定したるところは、窃盜は未遂(障碍未遂)に終つたものであること明らかである。しからば、窃盜未遂犯人による準強盜行爲の場合は、準強盜の未遂を以つて問擬すべきものであることは當然であるにかかわらず、原審はその擬律において刑法第二三八條同第二三六條を適用し、以つて準強盜の既遂をもつて問擬したのは違法である、けだし窃盜未遂犯人による準強盜は、財物を得なかつた點において、恰かも強盜の未遂と同一の犯罪態様を有するに過ぎないものである。しからば、強盜未遂の場合には刑法第二四三條の適用があるにかかわらず、これと同一態様の窃盜未遂の準強盜を強盜の既遂をもつて論ずるときは、右刑法第二四三條の適用は排除せられることとなり彼此極めて不合理の結果を生ずるに至るからである。したがつて、論旨は正に理由あり、原判決はこの點において破毀を免がれない。
刑法239条 昏 酔強盗
第239条 人を昏 酔させてその財物を盗取した者は、強盗として論ずる。
刑法240条 強盗致死傷
第240条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
原審が採用した相当因果関係説(折衷説)を採用せず、行為者や被害者の認識を不要としました。
cf. 最判昭46・6・17(昭和45(あ)1070 強盗、私文書偽造、同行使、詐欺) 全文判示事項
暴行と致死の結果との間の因果関係
裁判要旨
致死の原因たる暴行は、必ずしもそれが死亡の唯一の原因または直接の原因であることを要するものではなく、たまたま被害者の身体に高度の病変があつたため、これとあいまつて死亡の結果を生じた場合であつても、右暴行による致死の罪の成立を妨げない。
刑法241条 強盗・不同意性交等及び同致死
刑法242条 他人の占有等に係る自己の財物
第242条 自己の財物であっても、他人が占有し、又は公務所の命令により他人が看守するものであるときは、この章の罪については、他人の財物とみなす。
