民法478条 受領権者としての外観を有する者に対する弁済

第478条 受領権者(債権者及び法令の規定又は当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者をいう。以下同じ。)以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。


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改正前民法478条 債権の準占有者に対する弁済

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表見代理が成立していない場合であっても、債権の準占有者に対してした弁済は有効となる場合があります。

cf. 最判昭37・8・21(納品代金請求) 全文

判示事項
 一 債権者の代理人と称して債権を行使する者に対する民法第四七八条の適用の有無
 二 債権の準占有者に対する弁済と弁済者の善意無過失

裁判要旨
 一 債権者の代理人と称して債権を行使する者についても民法第四七八条が適用される。
 二 債権の準占有者に対する弁済が有効とされるためには、弁済者が善意かつ無過失であることを要する。

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cf. 最判平15・4・8(預託金返還請求事件) 全文

判示事項
 1 現金自動入出機による預金の払戻しと民法478条の適用の有無
 2 無権限者が預金通帳又はキャッシュカードを使用し暗証番号を入力して現金自動入出機から預金の払戻しを受けた場合に銀行が無過失であるというための要件
 3 無権限者が預金通帳を使用し暗証番号を入力して現金自動入出機から預金の払戻しを受けたことについて銀行に過失があるとされた事例

裁判要旨
 1 現金自動入出機による預金の払戻しについても民法478条が適用される。
 2 無権限者が預金通帳又はキャッシュカードを使用し暗証番号を入力して現金自動入出機から預金の払戻しを受けた場合に銀行が無過失であるというためには,銀行において,上記方法により預金の払戻しが受けられる旨を預金者に明示すること等を含め,現金自動入出機を利用した預金の払戻しシステムの設置管理の全体について,可能な限度で無権限者による払戻しを排除し得るよう注意義務を尽くしていたことを要する。
 3 預金通帳を使用し暗証番号を入力すれば現金自動入出機から預金の払戻しを受けられるシステムになっているのに,銀行がそのことを預金規定等に規定して預金者に明示することを怠っていたなど判示の事実関係の下では,銀行は,真正な預金通帳が使用され,入力された暗証番号が届出暗証番号と一致することが機械的に確認された場合であっても,無権限者が現金自動入出機から預金の払戻しを受けたことについて過失がある。

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cf. 最判昭61・4・11(昭和57(オ)272 運送代金) 全文

判示事項
 一 上告審における被告の破産と破産債権確定訴訟への訴えの変更
 二 指名債権が二重に譲渡された場合に対抗要件を後れて具備した譲受人に対してされた弁済と民法四七八条の適用
 三 二重に譲渡された指名債権の債務者が対抗要件を後れて具備した譲受人に対してした弁済について過失がないというための要件

裁判要旨
 一 給付訴訟の上告審係属中に被告が破産宣告を受け破産管財人が訴訟手続を受継した場合には、原告は、上告審において、右給付の訴えを破産債権確定の訴えに変更することができる。
 二 指名債権が二重に譲渡された場合に、民法四六七条二項所定の対抗要件を後れて具備した譲受人に対してされた弁済についても、同法四七八条の適用がある。
 三 二重に譲渡された指名債権の債務者が民法四六七条二項所定の対抗要件を後れて具備した譲受人を真の債権者であると信じてした弁済について過失がないというためには、対抗要件を先に具備した譲受人の債権譲受又は対抗要件に瑕疵があるためその効力を生じないと誤信してもやむを得ない事情があるなど対抗要件を後れて具備した譲受人を真の債権者であると信ずるにつき相当な理由があることを要する。

民法769条 離婚による復氏の際の権利の承継

第769条 婚姻によって氏を改めた夫又は妻が、第八百九十七条第一項の権利を承継した後、協議上の離婚をしたときは、当事者その他の関係人の協議で、その権利を承継すべき者を定めなければならない。
 
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所がこれを定める。


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民法479条 受領権者以外の者に対する弁済

第479条 前条の場合を除き、受領権者以外の者に対してした弁済は、債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ、その効力を有する。


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改正前民法479条 受領する権限のない者に対する弁済
 

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民法766条 離婚後の子の監護に関する事項の定め等

第766条 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
 
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
 
3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
 
4 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。


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人事訴訟法2条 定義

第2条 この法律において「人事訴訟」とは、次に掲げる訴えその他の身分関係の形成又は存否の確認を目的とする訴え(以下「人事に関する訴え」という。)に係る訴訟をいう。
 
一 婚姻の無効及び取消しの訴え、離婚の訴え、協議上の離婚の無効及び取消しの訴え並びに婚姻関係の存否の確認の訴え
 
二 嫡出否認の訴え、認知の訴え、認知の無効及び取消しの訴え、民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百七十三条の規定により父を定めることを目的とする訴え並びに実親子関係の存否の確認の訴え
 
三 養子縁組の無効及び取消しの訴え、離縁の訴え、協議上の離縁の無効及び取消しの訴え並びに養親子関係の存否の確認の訴え


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人事訴訟法24条 人事訴訟の確定判決の効力が及ぶ者の範囲

第24条 人事訴訟の確定判決は、民事訴訟法第百十五条第一項の規定にかかわらず、第三者に対してもその効力を有する。
 
2 民法第七百三十二条の規定に違反したことを理由として婚姻の取消しの請求がされた場合におけるその請求を棄却した確定判決は、前婚の配偶者に対しては、前項の規定にかかわらず、その前婚の配偶者がその請求に係る訴訟に参加したときに限り、その効力を有する。


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もう一歩先へ 1項:
XがYを被告として離婚の訴えを提起し、Xの請求を棄却する判決が確定した場合に、この判決の効力は、第三者にも及びます。
 
この趣旨は、身分関係は当事者間のみならず、社会関係においても重要だからです。

戸籍法10条 戸籍謄本等の請求

第10条 戸籍に記載されている者(その戸籍から除かれた者(その者に係る全部の記載が市町村長の過誤によつてされたものであつて、当該記載が第二十四条第二項の規定によつて訂正された場合におけるその者を除く。)を含む。)又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、その戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「戸籍謄本等」という。)の交付の請求をすることができる。
 
2 市町村長は、前項の請求が不当な目的によることが明らかなときは、これを拒むことができる。
 
3 第一項の請求をしようとする者は、郵便その他の法務省令で定める方法により、戸籍謄本等の送付を求めることができる。


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