民法791条 子の氏の変更

第791条 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。
 
2 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏を称することができる。
 
3 子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前二項の行為をすることができる。
 
4 前三項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。


e-Gov 民法

民法789条 準正

第789条 父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。
 
2 婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。
 
3 前二項の規定は、子が既に死亡していた場合について準用する。


e-Gov 民法

 

もう一歩先へ
婚姻によって嫡出子になる場合を婚姻準正、認知によって嫡出子になる場合を認知準正といいます。
 
いずれにしろ、その順番にかかわらず認知と婚姻があったときに、嫡出子となります。嫡出子となる時期は、(民法789条2項に反しますが、)いずれの準正も婚姻時からとするのが通説のようです。
 
もう一歩先へ 2項:
認知準正について、父母が嫡出子出生の届出をしたときは、その届出は、認知の届出の効力を有します。
 
cf. 戸籍法62条 認知準正の届出

民法784条 認知の効力

第784条 認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない。


e-Gov 民法

 

もう一歩先へ
自然的には出生のときから親子関係が生じるのと同様に、認知により生じる親子(法律)関係も出生のときから生ずるようにしています。

もし、認知の効力に遡及効がないと、父の死後に認知された子供は、相続できないことになります。
 
cf. 民法787条 認知の訴え

もう一歩先へ
非嫡出子(婚外子)について、嫡出子としての出生届は、形式的には無効ですが、実子であることの届出の意味あり、認知の効力が認められます(判例)。

cf. 戸籍法52条 嫡出子等の出生の届出

非嫡出子について、養子縁組届をした場合は、実子を養子にするということであり、そのような届出は無効で、認知の効力も生じません(判例)。養子縁組については、無効行為の転換は認められません。

民法787条 認知の訴え

第787条 子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。


e-Gov 民法

 

もう一歩先へ ただし書き:
認知の訴えは、父の死後も3年間は、検察官を被告として提起することができます。

cf. 人事訴訟法42条1項 認知の訴えの当事者等

民法783条 胎児又は死亡した子の認知

第783条 父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。
 
2 父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、認知することができる。この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない。


e-Gov 民法

 

もう一歩先へ 1項:
母の承諾があれば胎児を認知することができますが、胎児側からの認知請求はできません。
 
cf. 民法787条 認知の訴え
もう一歩先へ 2項:
代襲相続ができるように、死亡した子でも、その直系卑属があるときは認知することができます。

cf. 民法887条2項 子及びその代襲者等の相続権

cf. 民法901条 代襲相続人の相続分
cf. 民法886 相続に関する胎児の権利能力

民法779条 認知

第779条 嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。


e-Gov 民法

 
cf. 民法781条 認知の方式

もう一歩先へ
嫡出でない子について、父が父子関係を生じさせる法律行為。母子関係については分娩の事実より明らかなので、母の認知は不要です。

cf. 民法772条 嫡出の推定

母の認知も必要ということになれば、母も父も認知しなければ、親のいないこ子が誕生することになり不都合なことになります。

もう一歩先へ
父が、嫡出でない子について嫡出子として出生の届出をし、それが受理された場合、その出生の届出は、認知の届出としての効力を有します。

民法780条 認知能力

第780条 認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意を要しない。


e-Gov 民法

 

もう一歩先へ
e.g.未成年者である父は単独で有効に認知をすることができるので、未成年者である父がその子を認知したときは、当該父の法定代理人はこれを取り消すことができません。