憲法20条 信教の自由

第20条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
 
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
 
3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。


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神戸高専剣道実技拒否事件、エホバ剣道実技事件

cf. 最判平8・3・8(平成7(行ツ)74 進級拒否処分取消、退学命令処分等取消) 全文

判示事項
 信仰上の理由により剣道実技の履修を拒否した市立高等専門学校の学生に対する原級留置処分及び退学処分が裁量権の範囲を超える違法なものであるとされた事例

裁判要旨
 市立高等専門学校の校長が、信仰上の理由により剣道実技の履修を拒否した学生に対し、必修である体育科目の修得認定を受けられないことを理由として二年連続して原級留置処分をし、さらに、それを前提として退学処分をした場合において、右学生は、信仰の核心部分と密接に関連する真しな理由から履修を拒否したものであり、他の体育種目の履修は拒否しておらず、他の科目では成績優秀であった上、右各処分は、同人に重大な不利益を及ぼし、これを避けるためにはその信仰上の教義に反する行動を採ることを余儀なくさせるという性質を有するものであり、同人がレポート提出等の代替措置を認めて欲しい旨申し入れていたのに対し、学校側は、代替措置が不可能というわけでもないのに、これにつき何ら検討することもなく、右申入れを一切拒否したなど判示の事情の下においては、右各処分は、社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を超える違法なものというべきである。

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自衛官護国神社合祀事件

cf. 最大判昭63・6・1(昭和57(オ)902 自衛隊らによる合祀手続の取消等請求事件) 全文

判示事項
 一 私的団体が護国神社に対し殉職自衛隊員の合祀を申請する過程において自衛隊職員のした行為が憲法二〇条三項にいう宗教的活動に当たらないとされた事例
 二 死去した配偶者の追慕、慰霊等に関して私人がした宗教上の行為によつて信仰生活の静謐が害された場合と法的利益の侵害の有無

裁判要旨
 一 社団法人E会のF支部連合会がa県護国神社に対して殉職自衛隊員の合祀を申請する過程において、自衛隊Aiの職員が合祀実現により自衛隊員の社会的地位の向上と士気の高揚を図る意図、目的の下に右連合会に協力して、他のAiに対し殉職自衛隊員の合祀状況等を照会し、その回答を右連合会会長に閲覧させるなどした行為は、宗教とのかかわり合いが間接的で、職員の宗教的意識もどちらかといえば希薄であり、その行為の態様からして国又はその機関として特定の宗教への関心を呼び起こし、あるいはこれを援助、助長、促進し、又は他の宗教に圧迫、干渉を加える効果をもつものと一般人かち評価される行為とは認められず、憲法二〇条三項にいう宗教的活動に当たらない。
 二 死去した配偶者の追慕、慰霊等に関して私人がした宗教上の行為によつて信仰生活の静謐が害されたとしても、それが信教の自由の侵害に当たり、その態様、程度が社会的に許容し得る限度を超える場合でない限り、法的利益が侵害されたとはいえない。
(一、二につき補足意見、反対意見がある。)

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宗教法人オウム真理教解散命令事件

cf. 最決平8・1・30(平成8(ク)8 宗教法人解散命令に対する抗告棄却決定に対する特別抗告) 全文

判示事項
 宗教法人法八一条一項一号及び二号前段に規定する事由があるとしてされた宗教法人の解散命令が憲法二〇条一項に違反しないとされた事例

裁判要旨
 大量殺人を目的として計画的、組織的にサリンを生成した宗教法人について、宗教法人法八一条一項一号及び二号前段に規定する事由があるとしてされた解散命令は、専ら宗教法人の世俗的側面を対象とし、宗教団体や信者の精神的・宗教的側面に容かいする意図によるものではなく、右宗教法人の行為に対処するには、その法人格を失わせることが必要かつ適切であり、他方、解散命令によって宗教団体やその信者らが行う宗教上の行為に何らかの支障を生ずることが避けられないとしても、その支障は解散命令に伴う間接的で事実上のものにとどまるなど判示の事情の下においては、必要でやむを得ない法的規制であり、憲法二〇条一項に違反しない。

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首相靖国神社参拝事件

cf. 最判平18・6・23(平成17(受)2184 靖国参拝違憲確認等請求事件) 全文

判示事項
 内閣総理大臣の地位にある者が靖國神社に参拝した行為による法的利益の侵害の有無

裁判要旨
 内閣総理大臣の地位にある者が靖國神社に参拝した行為によって個人の心情ないし宗教上の感情が害されたとしても,損害賠償の対象となり得るような法的利益の侵害があったとはいえない。
(補足意見がある。)

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津地鎮祭事件

cf. 最大判昭52・7・13(昭和46(行ツ)69 行政処分取消等) 全文

判示事項
 一、憲法における政教分離原則
 二、憲法二〇条三項にいう宗教的活動の意義
 三、市が主催し神式に則り挙行された市体育館の起工式が憲法二〇条三項にいう宗教的な活動にあたらないされた事例

裁判要旨
 一、憲法の政教分離原則は、国家が宗教的に中立であることを要求するものではあるが、国家が宗教とのかかわり合いをもつことを全く許さないとするものではなく、宗教とのかかわり合いをもたらす行為目的及び効果にかんがみ、そのかかわり合いがわが国の社会的・文化的諸条件に照らし信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものと認められる場合にこれを許さないとするものである。
 二、憲法二〇条三項にいう宗教的活動とは、国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いをもつすべての行為を指すものではなく、当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいう。
 三、市が主催し神式に則り挙行された市体育館の起工式は、宗教とかかわり合いをもつものであることを否定することはできないが、その目的が建築着工に際し土地の平安堅固、工事の無事安全を願い、社会の一般的慣習に従つた儀礼を行うという専ら世俗的なものと認められ、その効果が神道を援助、助長、促進し又は他の宗教に圧迫、干渉を加えるものとは認められない判示の事情のもとにおいては、憲法二〇条三項にいう宗教的活動にあたらない。

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愛媛県玉串料事件

cf. 最大判平9・4・2(平成4(行ツ)156 損害賠償代位) 全文

判示事項
 一 県がD神社又はE神社の挙行した例大祭、みたま祭又は慰霊大祭に際し玉串料、献灯料又は供物料を県の公金から支出して奉納したことが憲法二〇条三項、八九条に違反するとされた事例
 二 委任又は専決により県の補助職員らが公金支出を処理した場合において知事は指揮監督上の義務に違反したものであり過失があったが補助職員らは判断を誤ったけれども重大な過失があったということはできないとされた事例
 三 複数の住民が提起する住民訴訟と類似必要的共同訴訟
 四 複数の住民が共同訴訟人として提起した住民訴訟において共同訴訟人の一部の者がした上訴又は上訴の取下げの効力

裁判要旨
 一 愛媛県が、宗教法人D神社の挙行した恒例の宗教上の祭祀である例大祭に際し玉串料として九回にわたり各五〇〇〇円(合計四万五〇〇〇円)を、同みたま祭に際し献灯料として四回にわたり各七〇〇〇円又は八〇〇〇円(合計三万一〇〇〇円)を、宗教法人愛媛県E神社の挙行した恒例の宗教上の祭祀である慰霊大祭に際し供物料として九回にわたり各一万円(合計九万円)を、それぞれ県の公金から支出して奉納したことは、一般人がこれを社会的儀礼にすぎないものと評価しているとは考え難く、その奉納者においてもこれが宗教的意義を有する者であるという意識を持たざるを得ず、これにより県が特定の宗教団体との間にのみ意識的に特別のかかわり合いを持ったことを否定することができないのであり、これが、一般人に対して、県が当該特定の宗教団体を特別に支援しており右宗教団体が他の宗教団体とは異なる特別のものであるとの印象を与え、特定の宗教への関心を呼び起こすものといわざるを得ないなど判示の事情の下においては、憲法二〇条三項、八九条に違反する。
 二 愛媛県が憲法二〇条三項八九条に違反して宗教法人D神社等に玉串料等を県の公金から支出して奉納したことにつき、右支出の権限を法令上本来的に有する知事は、委任を受け又は専決することを任された補助職員らが右支出を処理した場合であっても、同神社等に対し、右補助職員らに玉串料等を持参させるなどしてこれを奉納したと認められ、当該支出には憲法に違反するという重大な違法があり、地方公共団体が特定の宗教団体に玉串料等の支出をすることについて、文部省自治省等が、政教分離原則に照らし、慎重な対応を求める趣旨の通達、回答をしてきたなどの事情の下においては、その指揮監督上の義務に違反したものであり、過失があったというのが相当であるが、右補助職員らは、知事の右のような指揮監督の下でこれを行い、右支出が憲法に違反するか否かを極めて容易に判断することができたとまではいえないという事情の下においては、その判断を誤ったものであるが、重大な過失があったということはできない。
 三 複数の住民が提起する住民訴訟は、類似必要的共同訴訟と解すべきである。
 四 複数の住民が共同訴訟人として提起した住民訴訟において、共同訴訟人の一部の者が上訴すれば、それによって原判決の確定が妨げられ、当該訴訟は全体として上訴審に移審し、上訴の判決の効力は上訴をしなかった共同訴訟人にも及ぶが、上訴をしなかった共同訴訟人は、上訴人にはならず、上訴をした共同訴訟人のうちの一部の者が上訴を取り下げた場合は、その者は上訴人ではなくなる。
(一につき、補足意見、意見及び反対意見がある。)

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箕面忠魂碑慰霊祭事件

cf. 最判平5・2・16(昭和62(行ツ)148 運動場一部廃止決定無効確認等、同附帯及び慰霊祭支出差止) 全文

判示事項
 一 市が忠魂碑の存する公有地の代替地を買い受けて右忠魂碑の移設・再建をした行為及び右忠魂碑を維持管理する地元の戦没者遺族会に対しその敷地として右代替地を無償貸与した行為が憲法二〇条三項により禁止される宗教的活動には当たらないとされた事例
 二 財団法人D会及びその支部と憲法二〇条一項後段にいう「宗教団体」及び憲法八九条にいう「宗教上の組織若しくは団体」
 三 市の教育長が地元の戦没者遺族会が忠魂碑前で神式又は仏式で挙行した各慰霊祭に参列した行為が憲法上の政教分離原則及び憲法二〇条、八九条に違反しないとされた事例
 四 自己の権限に属する財務会計上の行為を吏員に委任した普通地方公共団体の長と地方自治法二四二条の二第一項四号にいう「当該職員」
 五 自己の権限に属する財務会計上の行為を吏員に委任した普通地方公共団体の長の損害賠償責任

裁判要旨
 一 市が忠魂碑の存する公有地の代替地を買い受けて右忠魂碑の移設、再建をした行為及び右忠魂碑を維持管理する地元の戦没者遺族会に対しその敷地として右代替地を無償貸与した行為は、右忠魂碑が、元来、戦没者記念碑的性格のものであり、特定の宗教とのかかわりが少なくとも戦後においては希薄であること、右戦没者遺族会が宗教的活動をすることを本来の目的とする団体ではないこと、市が右移設、再建等を行つた目的が、右忠魂碑の存する公有地を学校用地として利用することを主眼とするもので、専ら世俗的なものであることなど判示の事情の下においては、いずれも憲法二〇条三項により禁止される宗教的活動には当たらない。
 二 財団法人D会及びその支部は、憲法二〇条一項後段にいう「宗教団体」、憲法八九条にいう「宗教上の組織若しくは団体」に該当しない。
 三 市の教育長が地元の戦没者遺族会が忠魂碑前で神式又は仏式で挙行した各慰霊祭に参列した行為は、右忠魂碑が、元来、戦没者記念碑的性格のものであること、右戦没者遺族会が宗教的活動をすることを本来の目的とする団体ではないこと、右参列の目的が戦没者遺族に対する社会的儀礼を尽くすという専ら世俗的なものであることなど判示の事情の下においては、憲法上の政教分離原則及び憲法二〇条、八九条に違反しない。
 四 普通地方公共団体の長は、その権限に属する財務会計上の行為をあらかじめ特定の吏員に委任している場合であつても、右委任により処理された財務会計上の行為の適否が問題とされている代位請求住民訴訟において、地方自治法二四二条の二第一項四号にいう「当該職員」に該当する。
 五 普通地方公共団体の長の権限に属する財務会計上の行為を、委任を受けた吏員が処理した場合は、長は、右吏員が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し、故意又は過失により右吏員が財務会計上の違法行為をすることを阻止しなかつたときに限り、普通地方公共団体が被つた損害につき賠償責任を負う。
(一、三につき補足意見がある。)

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富平神社事件、砂川政教分離訴訟

cf. 最大判平(平成19(行ツ)334 財産管理を怠る事実の違法確認請求事件) 全文

判示事項
 市が町内会に対し無償で神社施設の敷地としての利用に供していた市有地を同町内会に譲与したことが憲法20条3項,89条に違反しないとされた事例

裁判要旨
 市が町内会に対し無償で神社施設の敷地としての利用に供していた市有地を同町内会に譲与したことは,次の(1)〜(3)など判示の事情の下では,憲法20条3項,89条に違反しない。
(1) 上記神社施設は明らかに神道の神社施設であり,そこでは神道の方式にのっとった宗教的行事が行われており,上記のような市有地の提供行為をそのまま継続することは,一般人の目から見て,市が特定の宗教に対して特別の便益を提供し,これを援助していると評価されるおそれがあった。
(2) 上記譲与は,市が,監査委員の指摘を考慮し,上記(1)のような憲法の趣旨に適合しないおそれのある状態を是正解消するために行ったものである。
(3) 上記市有地は,もともと上記町内会の前身の団体から戦前に小学校の教員住宅用地として寄附されたが,戦後,上記教員住宅の取壊しに伴いその用途が廃止されたものである。

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空知太神社事件、砂川政教分離訴訟

cf. 最大判平22・1・20(平成19(行ツ)260、財産管理を怠る事実の違法確認請求事件) 全文

判示事項
 1 市が連合町内会に対し市有地を無償で神社施設の敷地としての利用に供している行為が憲法89条,20条1項後段に違反するとされた事例
 2 市が連合町内会に対し市有地を無償で神社施設の敷地としての利用に供している行為が憲法の定める政教分離原則に違反し,市長において同施設の撤去及び土地明渡しを請求しないことが違法に財産の管理を怠るものであるとして,市の住民が怠る事実の違法確認を求めている住民訴訟において,上記行為が違憲と判断される場合に,その違憲性を解消するための他の合理的で現実的な手段が存在するか否かについて審理判断せず,当事者に対し釈明権を行使しないまま,上記怠る事実を違法とした原審の判断に違法があるとされた事例

裁判要旨
 1 市が連合町内会に対し市有地を無償で建物(地域の集会場等であるが,その内部に祠が設置され,外壁に神社の表示が設けられている。),鳥居及び地神宮の敷地としての利用に供している行為は,次の(1),(2)など判示の事情の下では,上記行為がもともとは小学校敷地の拡張に協力した地元住民に報いるという世俗的,公共的な目的から始まったものであるとしても,一般人の目から見て,市が特定の宗教に対して特別の便益を提供し,これを援助していると評価されてもやむを得ないものであって,憲法89条,20条1項後段に違反する。
(1) 鳥居,地神宮,神社と表示された建物入口から祠に至る上記各物件は,一体として神道の神社施設に当たるもので,そこで行われている諸行事も,このような施設の性格に沿って宗教的行事として行われている。
(2) 上記各物件を管理し,祭事を行っている氏子集団は,祭事に伴う建物使用の対価を連合町内会に支払うほかは,上記各物件の設置に通常必要とされる対価を支払うことなく,その設置に伴う便益を長期間にわたり継続的に享受しており,前記行為は,その直接の効果として,宗教団体である氏子集団が神社を利用した宗教的活動を行うことを容易にするものである。
 2 市が連合町内会に対し市有地を無償で神社施設の敷地としての利用に供している行為が憲法の定める政教分離原則に違反し,市長において同施設の撤去及び土地明渡しを請求しないことが違法に財産の管理を怠るものであるとして,市の住民が怠る事実の違法確認を求めている住民訴訟において,上記行為が違憲と判断される場合に,次の(1)〜(3)など判示の事情の下では,その違憲性を解消するための他の合理的で現実的な手段が存在するか否かについて審理判断せず,当事者に対し釈明権を行使しないまま,上記怠る事実を違法とした原審の判断には,違法がある。
(1) 上記神社施設を直ちに撤去させるべきものとすることは,氏子集団の同施設を利用した宗教的活動を著しく困難なものにし,その構成員の信教の自由に重大な不利益を及ぼすものとなる。
(2) 神社施設の撤去及び土地明渡請求以外に,例えば土地の譲与,有償譲渡又は適正な対価による貸付け等,上記行為の違憲性を解消するための他の手段があり得ることは,当事者の主張の有無にかかわらず明らかである。
(3) 原審は,当事者がほぼ共通する他の住民訴訟の審理を通じて,上記行為の違憲性を解消するための他の手段が存在する可能性があり,市長がこうした手段を講ずる場合があることを職務上知っていた。
(1,2につき補足意見,意見及び反対意見がある。)

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鹿児島県知事大嘗祭参列事件

cf. 最判平14・7・11(平成11(行ツ)93 住民訴訟請求事件) 全文

判示事項
 知事が大嘗祭に参列した行為が憲法20条3項に違反しないとされた事例

裁判要旨
 知事が大嘗祭に参列した行為は,大嘗祭が皇位継承の際に通常行われてきた皇室の伝統儀式であること,他の参列者と共に参列して拝礼したにとどまること,参列が公職にある者の社会的儀礼として天皇の即位に祝意を表する目的で行われたことなど判示の事情の下においては,憲法20条3項に違反しない。

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大阪地蔵訴訟

cf. 最判平4・11・16(平成3(行ツ)147 大阪地蔵像違憲) 全文

判示事項
 市が町会に対して地蔵像の建立あるいは移設のため市有地の無償使用を承認するなどした行為が憲法二〇条三項、八九条に違反しないとされた事例

裁判要旨
 市が町会に対して地蔵像の建立あるいは移設のため市有地の無償使用を承認するなどした行為は、右承認等の意図、目的が市営住宅建替事業の円滑な進行を図る等の何ら宗教的意義を帯びないものであって、右地蔵像の帯有する宗教性が希薄なものとなっており、また、町会が宗教的活動を目的とする団体でなく、右地蔵像の維持運営に関する行為も伝統的習俗的行事にとどまっているなど判示の事情の下では、憲法二〇条三項、八九条に違反しない。

憲法21条 集会・結社・表現の自由、通信の秘密

第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
 
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。


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八幡製鉄事件

cf. 最大判昭45・6・24(昭和41(オ)444 取締役の責任追及請求) 全文

判示事項
 一、政治資金の寄附と会社の権利能力
 二、会社の政党に対する政治資金の寄附の自由と憲法三章
 三、商法二五四条ノ二の趣旨
 四、取締役が会社を代表して政治資金を寄附する場合と取締役の忠実義務

裁判要旨
 一、会社による政治資金の寄附は、客観的、抽象的に観察して、会社の社会的役割を果たすためになされたものと認められるかぎり、会社の権利能力の範囲に属する行為である。
 二、憲法三章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものであるから、会社は、公共の福祉に反しないかぎり、政治的行為の自由の一環として、政党に対する政治資金の寄附の自由を有する。
 三、商法二五四条ノ二の規定は、同法二五四条三項、民法六四四条に定める善管義務をふえんし、かつ、一層明確にしたにとどまり、通常の委任関係に伴う善管義務とは別個の、高度な義務を規定したものではない。
 四、取締役が会社を代表して政治資金を寄附することは、その会社の規模、経営実績その他社会的経済的地位および寄附の相手方など諸般の事情を考慮して、合理的な範囲内においてなされるかぎり、取締役の忠実義務に違反するものではない。

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岐阜県青少年保護育成条例事件

cf. 最判平1・9・19(昭和62(あ)1462 岐阜県青少年保護育成条例違反) 全文

判示事項
 岐阜県青少年保護育成条例六条二項、六条の六第一項本文、二一条五号の規定と憲法二一条一項(補足意見がある)

裁判要旨
 有害図書の自動販売機への収納を禁止処罰する岐阜県青少年保護育成条例六条二項、六条の六第一項本文、二一条五号の規定は、憲法二一条一項に違反しない。

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寺西事件

cf. 最大決平10・12・1(平成10(分ク)1 裁判官分限事件の決定に対する即時抗告) 全文

判示事項
 一 裁判所法五二条一号にいう「積極的に政治運動をすること」の意義
 二 裁判官が積極的に政治運動をすることを禁止する裁判所法五二条一号と憲法二一条一項
 三 裁判官が積極的に政治運動をしたとされた事例
 四 裁判官が積極的に政治運動をしたことがその職務上の義務に違反するとして当該裁判官に対し戒告がされた事例
 五 裁判官分限事件への憲法八二条一項の適用の有無
 六 民事訴訟又は非訟の手続において期日に立ち会う代理人の数を制限することの可否

裁判要旨
 一 裁判所法五二条一号にいう「積極的に政治運動をすること」とは、組織的、計画的又は継続的な政治上の活動を能動的に行う行為であって裁判官の独立及び中立・公正を害するおそれがあるものをいい、具体的行為の該当性を判断するに当たっては、行為の内容、行為の行われるに至った経緯、行われた場所等の客観的な事情のほか、行為をした裁判官の意図等の主観的な事情をも総合的に考慮して決するのが相当である。
 二 裁判官が積極的に政治運動をすることを禁止する裁判所法五二条一号の規定は、憲法二一条一項に違反しない。
 三 裁判官が、その取扱いが政治的問題となっていた法案を廃案に追い込もうとする党派的な運動の一環として開かれた集会において、会場の一般参加者席から、裁判官であることを明らかにした上で、「当初、この集会において、盗聴法と令状主義というテーマのシンポジウムにパネリストとして参加する予定であったが、事前に所長から集会に参加すれば懲戒処分もあり得るとの警告を受けたことから、パネリストとしての参加は取りやめた。自分としては、仮に法案に反対の立場で発言しても、裁判所法に定める積極的な政治運動に当たるとは考えないが、パネリストとしての発言は辞退する。」との趣旨の発言をした行為は、判示の事実関係の下においては、右集会の参加者に対し、右法案が裁判官の立場からみて令状主義に照らして問題のあるものであり、その廃案を求めることは正当であるという同人の意見を伝えるものというべきであり、右集会の開催を決定し右法案を廃案に追い込むことを目的として共同して行動している諸団体の組織的、計画的、継続的な反対運動を拡大、発展させ、右目的を達成させることを積極的に支援しこれを推進するものであって、裁判所法五二条一号が禁止している「積極的に政治運動をすること」に該当する。
 四 裁判官が積極的に政治運動をしたことは、裁判所法四九条所定の懲戒事由である職務上の義務違反に該当し、当該行為の内容、その後の態度等判示の事情にかんがみれば、当該裁判官を戒告することが相当である。
 五 裁判官分限事件には、憲法八二条一項は適用されない。
 六 民事訴訟又は非訟の手続を主宰する裁判所は、その手続を円滑に進行させるために与えられた指揮権に基づいて、期日を開く場所の収容能力、当該期日に予定されている手続の内容、裁判所の法廷警察権ないし指揮権行使の難易等を考慮して、必要かつ相当な場合には、期日に立ち会う代理人の数を合理的と認められる限度にまで制限することができる。

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cf. 最判平18・3・23(平成15(オ)422 損害賠償請求事件) 全文

判示事項
 1 監獄法46条2項と憲法21条,14条1項
 2 刑務所長が受刑者の新聞社あての信書の発信を不許可としたことが国家賠償法1条1項の適用上違法となるとされた事例

裁判要旨
 1 監獄法46条2項は,具体的事情の下で,受刑者のその親族でない者との間の信書の発受を許すことにより監獄内の規律及び秩序の維持,受刑者の身柄の確保,受刑者の改善,更生の点において放置することのできない程度の障害が生ずる相当のがい然性があると認められるときに限り,この障害の発生防止のために必要かつ合理的な範囲においてのみ上記信書の発受の制限が許されることを定めたものとして,憲法21条,14条1項に違反しない。
 2 刑務所長が受刑者の新聞社あての信書の発信を不許可としたことは,刑務所長が,具体的事情の下で,上記信書の発信を許すことにより刑務所内の規律及び秩序の維持,受刑者の身柄の確保,受刑者の改善,更生の点において放置することのできない程度の障害が生ずる相当のがい然性があるかどうかについて考慮していないこと,上記信書が,国会議員に対して送付済みの請願書等の取材等を求める旨の内容を記載したものであり,その発信を許すことによって刑務所内に上記の障害が生ずる相当のがい然性があるということができないことなど判示の事情の下においては,裁量権の範囲を逸脱し,又は裁量権を濫用したものとして,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。

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猿払事件

cf. 最大判昭49・11・6(昭和44(あ)1501 国家公務員法違反) 全文

判示事項
 一、国家公務員法一〇二条一項、人事院規則一四―七・五項三号、六項一三号による特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止と憲法二一条
 二、国家公務員法一一〇条一項一九号の罰則と憲法三一条
 三、国家公務員法一一〇条一項一九号の罰則と憲法二一条
 四、国家公務員法一〇二条一項における人事院規則への委任の合憲性
 五、国家公務員法一〇二条一項、人事院規則一四―七・五項三号、六項一三号の禁止に違反する文書の掲示又は配布に同法一一〇条一項一九号の罰則を適用することが憲法二一条、三一条に違反しないとされた事例

裁判要旨
 一、国家公務員法一〇二条一項、人事院規則一四―七・五項三号、六項一三号による特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止は、憲法二一条に違反しない。
 二、国家公務員法一一〇条一項一九号の罰則は、憲法三一条に違反しない。
 三、国家公務員法一一〇条一項一九号の罰則は、憲法二一条に違反しない。
 四、国家公務員法一〇二条一項における人事院規則への委任は、同法八二条による懲戒処分及び同法一一〇条一項一九号による刑罰の対象となる政治的行為の定めを一様に人事院規則に委任しているからといって、憲法に違反する立法の委任ということはできない。
 五、国家公務員法一〇二条一項、人事院規則一四―七・五項三号、六項一三号の禁止に違反する本件の文書の掲示又は配布(判文参照)に同法一一〇条一項一九号の罰則を適用することは、たとえその掲示又は配布が、非管理職の現業公務員であって、その職務内容が機械的労務の提供にとどまるものにより、勤務時間外に、国の施設を利用することなく、職務を利用せず又はその公正を害する意図なく、かつ、労働組合活動の一環として行われた場合であつても、憲法二一条、三一条に違反しない。

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堀越事件

cf. 最判平24・12・7(平成22(あ)762 国家公務員法違反被告事件) 全文

判示事項
 1 国家公務員法102条1項にいう「政治的行為」の意義
 2 人事院規則14−7第6項7号,13号に掲げる政治的行為の意義
 3 国家公務員法(平成19年法律第108号による改正前のもの)110条1項19号,国家公務員法102条1項,人事院規則14−7第6項7号,13号による政党の機関紙の配布及び政治的目的を有する文書の配布の禁止と憲法21条1項,31条
 4 国家公務員法102条1項,人事院規則14−7第6項7号,13号により禁止された政党の機関紙の配布及び政治的目的を有する文書の配布に当たらないとされた事例

裁判要旨
 1 国家公務員法102条1項の「政治的行為」とは,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが,観念的なものにとどまらず,現実的に起こり得るものとして実質的に認められる政治的行為をいう。
 2 人事院規則14−7第6項7号,13号に掲げる政治的行為は,それぞれが定める行為類型に文言上該当する行為であって,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められるものをいう。
 3 国家公務員法(平成19年法律第108号による改正前のもの)110条1項19号,国家公務員法102条1項,人事院規則14−7第6項7号,13号による政党の機関紙の配布及び政治的目的を有する文書の配布の禁止は,憲法21条1項,31条に違反しない。
 4 管理職的地位になく,その職務の内容や権限に裁量の余地のない一般職国家公務員が,職務と全く無関係に,公務員により組織される団体の活動としての性格を有さず,公務員による行為と認識し得る態様によることなく行った本件の政党の機関紙及び政治的目的を有する文書の配布は,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められるものとはいえず,国家公務員法102条1項,人事院規則14−7第6項7号,13号により禁止された行為に当たらない。
(1〜4につき補足意見,1,2,4につき意見がある。)

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宇治橋事件

cf. 最判平24・12・7(平成22(あ)957  国家公務員法違反被告事件) 全文

判示事項
 1 国家公務員法(平成19年法律第108号による改正前のもの)110条1項19号,国家公務員法102条1項,人事院規則14−7第6項7号による政党の機関紙の配布の禁止と憲法21条1項,15条,19条,31条,41条,73条6号
 2 国家公務員法102条1項,人事院規則14−7第6項7号により禁止された政党の機関紙の配布に当たるとされた事例

裁判要旨
 1 国家公務員法(平成19年法律第108号による改正前のもの)110条1項19号,国家公務員法102条1項,人事院規則14−7第6項7号による政党の機関紙の配布の禁止は,憲法21条1項,15条,19条,31条,41条,73条6号に違反しない。
 2 管理職的地位にあり,その職務の内容や権限に裁量権のある一般職国家公務員が行った本件の政党の機関紙の配布は,それが,勤務時間外に,国ないし職場の施設を利用せず,公務員としての地位を利用することなく,公務員により組織される団体の活動としての性格を有さず,公務員による行為と認識し得る態様によることなく行われたものであるとしても,当該公務員及びその属する行政組織の職務の遂行の政治的中立性が損なわれるおそれが実質的に認められ,国家公務員法102条1項,人事院規則14−7第6項7号により禁止された行為に当たる。
(1,2につき補足意見,2につき反対意見がある。)

憲法28条 勤労者の団結権

第28条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。


e-Gov 憲法

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国労広島地本事件

cf. 最判昭50・11・28(昭和48(オ)498 組合費請求) 全文

判示事項
 一、労働組合の組合費が月額で定めらている場合と月の途中で脱退した組合員の納付義務の範囲
 二、公共企業体等の労働組合が公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為の実施費用として徴収する臨時組合費と組合員の納付義務
 三、公共企業体等の労働組合が公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為により不利益処分を受けた組合員の救援費用として徴収する臨時組合費と組合員の納付義務

裁判要旨
 一、労働組合の組合費が月を単位として月額で定められている場合には、月の途中で脱退した組合員は、特別の規定又は慣行等のないかぎり、その月の組合費の全額を納付する義務を免れない。
 二、公共企業体等の労働組合が公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為実施の費用として臨時組合費の徴収を決定しても、原則として組合員を拘束するものではないが、右徴収決定の時点において単に将来の情況いかんによつては違法な争議行為の費用にあてられるかも知れないという程度の未必的可能性があるにとどまる場合、又は違法な争議行為が組合の行う闘争活動の一部にすぎず、闘争全体としては違法性のない行為を主に計画、遂行されるものであつて、その闘争費用が一体として徴収される場合には、組合員はこれを納付する義務を負う。
 三、公共企業体等の労働組合がその実施した公共企業体等労働関係一七条一項違反の争議行為により民事上又は刑事上の不利益処分を受けた組合員を救援する費用として徴収する臨時組合費については、組合員はこれを納付する義務を負う。

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全農林警職法事件

cf. 最大判昭48・4・25(昭和43(あ)2780 国家公務員法違反) 全文

判示事項
 一、国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)九八条五項、一一〇条一項一七号の合憲性
 二、国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)一一〇条一項一七号にいう「あおり」および「企て」の意義
 三、国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)九八条五項、一一〇条一項一七号の法意
 四、政治的目的のための争議行為と憲法二八条

裁判要旨
 一 国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)九八条五項、一一〇条一項一七号は憲法二八条に、国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)一一〇条一項一七号は憲法一八条、二一条、三一条に違反しない。
 二 国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)一一〇条一項一七号にいう「あおり」とは、同法九八条五項前段に規定する違法行為を実行させる目的をもつて、他人に対し、その行為を実行する決意を生じさせるような、または、すでに生じている決意を助長させるような勢いのある刺激を与えることをいい、「企て」とは、右違法行為を共謀し、そそのかし、または、あおる行為の遂行を計画準備することであつて、違法行為発生の危険性が具体的に生じたと認めうる状態に達したものをいう。
 三 国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)九八条五項、一一〇条一項一七号は、公務員の争議行為のうち同法によつて違法とされるものとされないものとを区別し、さらに違法とされる争議行為についても違法性の強いものと弱いものとを区別したうえ、刑事制裁を科さるのはそのうち違法性の強い争議行為に限るものとし、あるいは、あおり行為等につき、争議行為の企画、共謀、説得、慫慂、指令等を争議行為にいわゆる通常随伴するものとして争議行為自体と同一視し、これを刑事制裁の対象から除くものとする趣旨ではない。
 四 私企業の労働者であると、公務員を含むその他の勤労者であるとを問わず、使用者に対する経済的地位の向上の要請とは直接関係のない警察官職務執行法の改正に対する反対のような政治的目的のために争議行為を行なうことは、憲法二八条とは無関係なものである。

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岩手教組学テ事件

cf. 最大判昭51・5・21(昭和44(あ)1275 地方公務員法違反、道路交通法違反) 全文

判示事項
 一、地方公務員法三七条一項、六一条四号の合憲性
 二、地方公務員法六一条四号の法意
 三、昭和三六年度全国中学校一せい学力調査実施のため中学校に赴こうとするテスト立会人らを道路上で阻止した行為につき道路交通法一二〇条一項九号、七六条四項二号の罪の成立を否定した原判決が刑訴法四一一条一号にあたるとされた事例

裁判要旨
 一、地方公務員法三七条一項は憲法二八条に、地方公務員法六一条四号は憲法一八条、二八条に違反しない。
 二、地方公務員法六一条四号は、地方公務員の争議行為に違法性の強いものと弱いものとを区別して前者のみが右法条にいう争議行為にあたるものとし、また、右争議行為の遂行を共謀し、そそのかし、又はあおる等の行為のうちいわゆる争議行為に通常随伴する行為を刑事制裁の対象から除外する趣旨と解すべきではない。
 三、昭和三六年度全国中学校一せい学力調査実施のため中学校に赴こうとするテスト立会人らを道路上で阻止した本件行為(判文参照)につき、道路交通法一二〇条一項九号、七六条四項二号に該当するとしながら、正当な団体行動権の行使にあたることを理由に違法性が阻却されるとした原判決は、法令の解釈適用を誤り、かつ、これを破棄しなければ著しく正義に反する場合にあたる。

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全逓名古屋中郵事件

cf. 最大判昭52・5・4(昭和44(あ)2571 郵便法違反幇助、建造物侵入、公務執行妨害) 全文

判示事項
 一、公共企業体等労働関係法一七条一項と憲法二八条
 二、公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為と労働組合法一条二項の適用
 三、公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為と刑事法上の処罰阻却
 四、郵政職員の争議行為に参加を呼びかけた行為が郵便法七九条一項の罪の幇助罪による処罰を阻却されないとされた事例
 五、公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為に際しこれに付随して行われた犯罪構成要件該当行為について違法性阻却事由の有無を判断する一般的基準
 六、公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為に際しこれに付随して行われた建造物侵入行為が刑法上の違法性を欠くものではないとされた事例

裁判要旨
 一 公共企業体等労働関係法一七条一項は、憲法二八条に違反しない。
 二 公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為には、労働組合法一条二項の適用はない。
 三 公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為が犯罪構成要件に該当し、違法性があり、責任がある場合であつても、それが同盟罷業、怠業その他単なる労務不提供のような不作為を内容とするものであつて、同条項が存在しなければ正当な争議行為として処罰を受けることのないようなものであるときには、争議行為の単純参加者に限り、その罰則による処罰を阻却される。
 四 郵政職員が争議行為として行つた勤務時間内二時間の職場大会に参加を呼びかけた本件行為は、郵便法七九条一項の罪の幇助罪による処罰を阻却されない。
 五 公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為に際しこれに付随して行われた犯罪構成要件該当行為について違法性阻却事由の有無を判断するにあたつては、その行為が同条項違反の争議行為に際しこれに付随して行われたものであるという事実を含めて、行為の具体的状況その他諸般の事情を考慮に入れ、それが法秩序全体の見地から許容されるべきものであるか否かを考察しなければならない。
 六 公共企業体等労働関係法一七条一項違反の争議行為に参加を呼びかけるため行われた本件建造物侵入行為は、刑法上の違法性を欠くものではない。

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全逓東京中郵事件

cf. 最大判昭41・10・26(昭和39(あ)296 郵便法違反教唆) 全文

判示事項
 一 公共企業体等労働関係法第一七条第一項の合憲性
 二 公共企業体等労働関係法第一七条第一項違反の争議行為と労働組合法第一条第二項の適用

裁判要旨
 一 公共企業体等労働関係法第一七条第一項は、憲法第一一条、第一四条、第一八条、第二五条、第二八条、第三一条、第九八条に違反しない。
 二 公共企業体等労働関係法第一七条第一項に違反してなされた争議行為にも、労働組合法第一条第二項の適用がある。

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都教組事件

cf. 最大判昭44・4・2(昭和41(あ)401 地方公務員法違反) 全文

判示事項
 一 地方公務員法三七条六一条四号の合憲性
 二 地方公務員法六一条四号の適用が許されないとされた事例

裁判要旨
 一 地方公務員法三七条は憲法二八条に、地方公務員法六一条四号は憲法二八条、三一条、一八条に違反しない。
 二 A教職員組合が、文部省の企図した公立学校教職員に対する勤務評定の実施に反対するため、一日の一せい休暇闘争を行なうにあたり、被告人らが組合の幹部としてした闘争指令の配布、趣旨伝達等、争議行為に通常随伴する行為に対しては、地方公務員法六一条四号所定の刑事罰をもつてのぞむことは許されない。

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全司法仙台事件

cf. 最大判昭44・4・2(昭和41(あ)1129 国家公務員法違反、住居侵入) 全文

判示事項
 一 国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの、以下同じ)九八条五項一一〇条一項一七号の合憲性
 二 国家公務員法一一〇条一項一七号にいう同法九八条五項前段の違法な行為の遂行をあおつた罪が成立するとされた事例
 三 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三五年六月二三日条約第六号、以下新安保条約という)は違憲であることが明白か

裁判要旨
 一 国家公務員法九八条五項、一一〇条一項一七号は憲法二八条、前文、一一条、九七条、一八条に、国家公務員法一一〇条一項一七号は憲法二一条、三一条に違反しない。
 二 A労組B支部が、新安保条約に反対するため、勤務時間内にくいこむ職場大会を開催するにあたり、裁判所職員でなく、かつまた裁判所職員の団体に関係もない被告人甲らと、裁判所職員であり、同支部執行委員長の職にあつた被告人乙とが共謀のうえ、同支部分会役員に対し右職場大会への参加協力を要求し、または裁判所職員に対し右職場大会への参加をしようようしたときは、甲らおよび乙は、いずれも国家公務員法一一〇条一項一七号にいう同法九八条五項前段に規定する違法な行為の遂行をあおつた者にあたる。
 三 新安保条約は、憲法九条、九八条二項および前文の趣旨に反して違憲であることが明白であるとは認められない。

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cf. 最判平12・3・17(平成7(行ツ)132 懲戒処分取消請求事件) 全文

判示事項
 人事院勧告の完全実施等の要求を掲げて行われたストライキに関与したことを理由としてされた農林水産省職員らに対する停職六月ないし三月の各懲戒処分が裁量権の範囲を逸脱したものとはいえないとされた事例

裁判要旨
 昭和五七年度の人事院勧告の不実施を契機としてその完全実施等の要求を掲げて行われたストライキに関与したことを理由としてされた農林水産省職員らに対する停職六月ないし三月の各懲戒処分は、右ストライキが当局の事前警告を無視して二度にわたり敢行された大規模なものであり、右職員らが、右ストライキを指令した労働組合の幹部としてその実施に指導的な役割を果たし、過去に停職、減給等の懲戒処分を受けた経歴があるなどの原判示の事実関係の下においては、著しく妥当性を欠き懲戒権者の裁量権の範囲を逸脱したものとはいえない。
(補足意見がある。)

憲法15条 公務員選定罷免権、公務員の本質、普通選挙の保障、秘密投票の保障

第15条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
 
2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
 
3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
 
4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。


e-Gov 憲法

Un pas de plus ! もう一歩先へ 1項:
cf. 最判平7・2・28(平成5(行ツ)163 選挙人名簿不登録処分に対する異議の申出却下決定取消) 全文

判示事項
 日本国民たる住民に限り地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有するものとした地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項と憲法一五条一項、九三条二項

裁判要旨
 日本国民たる住民に限り地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有するものとした地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項は、憲法一五条一項、九三条二項に違反しない。

Un pas de plus ! もう一歩先へ 2項:

政令201号事件、弘前機関区事件

cf. 最大判昭28・4・8(昭和24(れ)685 昭和二三年政令第二〇一号違反) 全文

判示事項
 一 昭和二〇年勅令第五四二号と日本国憲法との関係
 二 昭和二三年政令第二〇一号は昭和二〇年勅令第五四二号に基く命令か
 三 (イ)昭和二三年七月二二日付連合国最高司令官の内閣総理大臣宛書簡は連合国最高司令官の要求といえるか。
 四 (ロ)昭和二〇年勅令第五四二号に基く命令を発し得るのは国会の議決を求めるいとまのない場合に限るか。
 五 (ハ)書簡にいわゆる公務員の意義。
 六 (ニ)政令第二〇一号が当時係属中の国又は地方公共団体を当事者とする労働争議の斡旋、調停または仲裁に関する手続を中止したことは書簡の要求範囲を逸脱したものといえるか。
 七 (ホ)政令第二〇一号が公務員の団体交渉権を禁止しながらその労働条件の改善について別途の措置を講ずるとしたことは書簡の要求範囲を逸脱したものといえるか。
 八 昭和二三年政令第二〇一号と憲法第二八条。
 九 昭和二三年政令第二〇一号と憲法第一八条。
 一〇 昭和二三年政令第二〇一号と憲法第二五条。
 一一 昭和二三年政令第二〇一号第二条第一項にいわゆる争議手段にあたる一事例。
 一二 昭和二三年政令第二〇一号と労働組合法、労働関係調整法との関係。
 一三 昭和二三年一二月三日法律第二二二号国家公務員法の一部を改正する法律附則第八条の意味。
 一四 昭和二三年政令第二〇一号にいわゆる業務の運営能率を阻害する行為の意義。

裁判要旨
 一 昭和二〇年勅令第五四二号は日本国憲法にかかわりなく憲法外において法的効力を有する。
 二 昭和二三年政令第二〇一号は昭和二〇年勅令第五四二号に基く命令である。
 三 (イ)書簡は連合国最高司令官の要求である。
 四 (ロ)昭和二〇年勅令第五四二号に基く命令を発し得るのは国会の議決に求めるいとものない場合に限らない。
 五 (ハ)書簡にいわゆる公務員とは高級官僚のみならず下級官僚及び現場官庁従業員をも意味する。
 六 (ニ)政令第二〇一号が当時係属中の国または地方公共団体を当事者とする労働争議の斡旋、調停または仲裁に関する手続を中止すると規定しても書簡の要求範囲を逸脱したものではない。
 七 (ホ)政令第二〇一号が公務員の団体交渉権を禁止しながらその労働条件の改善について別途の措置を講ずるとしたことは書簡の要求範囲を逸脱したものではない。
 八 昭和二三年政令第二〇一号は憲法第二八条に違反しない。
 九 昭和二三年政令第二〇一号は憲法第一八条に違反しない。
 一〇 公務員がその争議行為を禁止されたからとてその当然の結果として健康で文化的な最低限度の生活を営むことができなくなるというわけのものではないから、本件政令が憲法二五条に違反するという主張も採用し難い。
 一一 被告人等の所属するA組合B支部C機関区分会が国家公務員法反対、五二〇〇円ベース即時実施、芦田内閣打倒等の項目を掲げて闘争方針を定めかつ又機関区の職員が庫内手や機関車乗務員の劣悪な待遇の改善に関する政府の冷淡な態度に対し被告人等の当然の権利を奪還するため、あるいは憲法、ポツダム宣言に違反し団体交渉権を奪う政令第二〇一号の無効なものであるとの主張を掲げ、政府に対し右主張を貫徹するため、その闘争手段として、職場を離脱した場合は政令第二〇一号第二条第一項の争議手段にあたる。
 一二 昭和二三年政令第二〇一号は労働組合法、労働関係調整法にかかわりなく有効である。
 一三 昭和二三年法律第二二二号国家公務員法の一部を改正すう法律附則第八条は、国鉄従業員が日本国有鉄道法、公共企業体労働関係法が施行され国鉄従業員が公務員たる身分を喪い且つその争議行為について罰則の規定がなくなつても国家公務員たる身分を有していた当時の政令第二〇一号第一項違反行為に対する罰則の適用については依然として同令第三条によるという意味である。
 一四 昭和二三年政令第二〇一号に業務の運営能率を阻害する行為というのは具体的結果の発生を必要とするものでなく争議手段としてなされた行為が国または地方公共団体の業務の運営能率を阻害する危験性あるものであれば足りる。

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全農林警職法事件

cf. 最大判昭48・4・25(昭和43(あ)2780 国家公務員法違反) 全文

判示事項
 一、国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)九八条五項、一一〇条一項一七号の合憲性
 二、国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)一一〇条一項一七号にいう「あおり」および「企て」の意義
 三、国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)九八条五項、一一〇条一項一七号の法意
 四、政治的目的のための争議行為と憲法二八条

裁判要旨
 一 国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)九八条五項、一一〇条一項一七号は憲法二八条に、国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)一一〇条一項一七号は憲法一八条、二一条、三一条に違反しない。
 二 国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)一一〇条一項一七号にいう「あおり」とは、同法九八条五項前段に規定する違法行為を実行させる目的をもつて、他人に対し、その行為を実行する決意を生じさせるような、または、すでに生じている決意を助長させるような勢いのある刺激を与えることをいい、「企て」とは、右違法行為を共謀し、そそのかし、または、あおる行為の遂行を計画準備することであつて、違法行為発生の危険性が具体的に生じたと認めうる状態に達したものをいう。
 三 国家公務員法(昭和四〇年法律第六九号による改正前のもの)九八条五項、一一〇条一項一七号は、公務員の争議行為のうち同法によつて違法とされるものとされないものとを区別し、さらに違法とされる争議行為についても違法性の強いものと弱いものとを区別したうえ、刑事制裁を科さるのはそのうち違法性の強い争議行為に限るものとし、あるいは、あおり行為等につき、争議行為の企画、共謀、説得、慫慂、指令等を争議行為にいわゆる通常随伴するものとして争議行為自体と同一視し、これを刑事制裁の対象から除くものとする趣旨ではない。
 四 私企業の労働者であると、公務員を含むその他の勤労者であるとを問わず、使用者に対する経済的地位の向上の要請とは直接関係のない警察官職務執行法の改正に対する反対のような政治的目的のために争議行為を行なうことは、憲法二八条とは無関係なものである。

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特別権力関係理論によって公務員の人権に対する制約を正当化した最高裁判所の判決

cf. 最判昭32・5・10(昭和29(オ)973 懲戒免職処分取消請求) 全文

判示事項
 公務員の懲戒処分と懲戒権者の裁量権

裁判要旨
 公務員の懲戒権者が懲戒処分を発動するかどうか、懲戒処分のうちいずれの処分を選ぶべきかを決定することは、その処分が全く事実上の根拠に基かないと認められる場合であるか、もしくは社会観念上著しく妥当を欠き懲戒権者に任された裁量権の範囲を超えるものと認められる場合を除き、懲戒権者の裁量に任されているものと解するのが相当である。

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三井美唄炭鉱労組事件

cf. 最大判昭43・12・4(昭和38(あ)974 公職選挙法違反) 全文

判示事項
 一 労働組合の統制権と憲法第二八条
 二 公職選挙への立候補の自由と憲法第一五条第一項
 三 労働組合の統制権と組合員の立候補の自由

裁判要旨
 一 労働組合は、憲法第二八条による労働者の団結権保障の効果として、その目的を達成するために必要であり、かつ、合理的な範囲内においては、その組合員に対する統制権を有する。
 二 公職の選挙に立候補する自由は、憲法第一五条第一項の保障する重要な基本的人権の一つと解すべきである。
 三 労働組合が、地方議会議員の選挙にあたり、いわゆる統一候補を決定し、組合を挙げて選挙運動を推進している場合において、統一候補の選にもれた組合員が、組合の方針に反して立候補しようとするときは、これを断念するよう勧告または説得することは許されるが、その域を超えて、立候補を取りやめることを要求し、これに従わないことを理由に統制違反者として処分することは、組合の統制権の限界を超えるものとして許されない。

憲法19条 思想及び良心の自由

第19条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。


e-Gov 憲法

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マクリーン事件

cf. 最大判昭53・10・4(昭和50(行ツ)120 在留期間更新不許可処分取消) 全文

判示事項
 一 外国人のわが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利と憲法の保障の有無
 二 出入国管理令二一条三項に基づく在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無の判断と法務大臣の裁量権
 三 出入国管理令二一条三項に基づく法務大臣の在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無についての判断と裁判所の審査の限界
 四 わが国に在留する外国人と政治活動の自由に関する憲法の保障
 五 外国人に対する憲法の基本的人権の保障と在留の許否を決する国の裁量に対する拘束の有無
 六 外国人の在留期間中の憲法の保障が及ばないとはいえない政治活動を斟酌して在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由がないとした法務大臣の判断が裁量権の範囲を超え又はその濫用があつたものということはできないとされた事例

裁判要旨
 一 外国人は、憲法上、わが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利を保障されていない。
 二 出入国管理令二一条三項に基づく在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無の判断は「法務大臣の裁量に任されているものであり、上陸拒否事由又は退去強制事由に準ずる事由に該当しない限り更新を不許可にすることが許されないものではない。
 三 裁判所は、出入国管理令二一条三項に基づく法務大臣の在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無の判断についてそれが違法となるかどうかを審査するにあたつては、右判断が法務大臣の裁量権の行使としてされたものであることを前提として、その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により右判断が全く事実の基礎を欠くかどうか、又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により右判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるかどうかについて審理し、それが認められる場合に限り、右判断が裁量権の範囲を超え又はその濫用があつたものとして違法であるとすることができる。
 四 政治活動の自由に関する憲法の保障は、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても及ぶ。
 五 外国人に対する憲法の基本的人権の保障は、在留の許否を決する国の裁量を拘束するまでの保障すなわち、在留期間中の憲法の基本的人権の保障を受ける行為を在留期間の更新の際に消極的な事情として斟酌されないことまでの保障を含むものではない。
 六 上告人の本件活動は、外国人の在留期間中の政治活動として直ちに憲法の保障が及ばないものであるとはいえないが、そのなかにわが国の出入国管理政策に対する非難行動あるいはわが国の基本的な外交政策を非難し日米間の友好関係に影響を及ぼすおそれがないとはいえないものが含まれており、法務大臣が右活動を斟酌して在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるものとはいえないと判断したとしても、裁量権の範囲を超え又はその濫用があつたものということはできない。

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南九州税理士会政治献金事件

cf. 最判平8・3・19(平成4(オ)1796 選挙権被選挙権停止処分無効確認等) 全文

判示事項
 一 政党など政治資金規正法上の政治団体に金員を寄付することと税理士会の目的の範囲
 二 政党など政治資金規正法上の政治団体に金員を寄付するために特別会費を徴収する旨の税理士会の総会決議の効力

裁判要旨
 一 税理士会が政党など政治資金規正法上の政治団体に金員を寄付することは、税理士会の目的の範囲外の行為である。
 二 政党など政治資金規正法上の政治団体に金員の寄付をするために会員から特別会費を徴収する旨の税理士会の総会決議は無効である。

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昭和女子大事件

cf. 最判昭49・7・19(昭和42(行ツ)59 身分確認請求) 全文

判示事項
 一、私立大学における学生の政治的活動に対する規制の合理性
 二、学生の退学処分と学長の裁量権
 三、私立大学の学生に対する退学処分の効力が是認された事例

裁判要旨
 一、私立大学において、その建学の精神に基づく校風と教育方針に照らし、学生が政治的目的の署名運動に参加し又は政治的活動を目的とする学外団体に加入するのを放任することは教育上好ましくないとする見地から、学則等により、学生の署名運動について事前に学校当局に届け出るべきこと及び学生の学外団体加入について学校当局の許可を受けるべきことを定めても、これをもつて直ちに学生の政治的活動の自由に対する不合理な規制ということはできない。
 二、学校教育法施行規則一三条三項四号により学生の退学処分を行うにあたり、当該学生に対して学校当局のとつた措置が本人に反省を促すための補導の面において欠けるところがあつたとしても、それだけで退学処分が違法となるものではなく、その点をも含めた諸般の事情を総合的に観察して、退学処分の選択が社会通念上合理性を認めることができないようなものでないかぎり、その処分は、学長の裁量権の範囲内にあるものというべきである。
 三、学生の思想の穏健中正を標榜する保守的傾向の私立大学の学生が、学則に違反して、政治的活動を目的とする学外団体に無許可で加入し又は加入の申込をし、かつ、無届で政治的目的の署名運動をした事案において、これに対する学校当局の措置が、学生の責任を追及することに急で、反省を求めるために説得に努めたとはいえないものであつたとしても、他方、右学生は、学則違反についての責任の自覚歩うすく、学外団体からの離脱を求める学校当局の要求に従う意思はなく、説諭に対して終始反発したうえ、週刊誌や学外集会等において公然と学校当局の措置を非難するような行動をしたなど判示の事情があるときは、学校教育法施行規則一三条三項四号により右学生に対してされた退学処分は、学長に認められた裁量権の範囲内にあるものとしてその効力を是認すべきである。

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謝罪広告強制事件

cf. 最大判昭31・7・4(昭和28(オ)1241 謝罪広告請求) 全文

判示事項
 一 謝罪広告を命ずる判決と強制執行
 二 右判決は憲法第一九条に反しないか

裁判要旨
 一 新聞紙に謝罪広告を掲載することを命ずる判決は、その広告の内容が単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明する程度のものにあつては、民訴第七三三条により代替執行をなし得る。
 二 右判決は憲法第一九条に反しない。

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君が代ピアノ伴奏拒否事件

cf. 最判平19・2・27(平成16(行ツ)328 戒告処分取消請求事件) 全文

判示事項
 市立小学校の校長が音楽専科の教諭に対し入学式における国歌斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏を行うよう命じた職務命令が憲法19条に違反しないとされた事例

裁判要旨
 市立小学校の校長が職務命令として音楽専科の教諭に対し入学式における国歌斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏を行うよう命じた場合において,(1)上記職務命令は「君が代」が過去の我が国において果たした役割に係わる同教諭の歴史観ないし世界観自体を直ちに否定するものとは認められないこと,(2)入学式の国歌斉唱の際に「君が代」のピアノ伴奏をする行為は,音楽専科の教諭等にとって通常想定され期待されるものであり,当該教諭等が特定の思想を有するということを外部に表明する行為であると評価することは困難であって,前記職務命令は前記教諭に対し特定の思想を持つことを強制したりこれを禁止したりするものではないこと,(3)前記教諭は地方公務員として法令等や上司の職務上の命令に従わなければならない立場にあり,前記職務命令は,小学校教育の目標や入学式等の意義,在り方を定めた関係諸規定の趣旨にかなうものであるなど,その目的及び内容が不合理であるとはいえないことなど判示の事情の下では,前記職務命令は,前記教諭の思想及び良心の自由を侵すものとして憲法19条に違反するということはできない。
(補足意見及び反対意見がある。)

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君が代起立斉唱職務命令事件

cf. 最判平23・5・30(平成22(行ツ)54 再雇用拒否処分取消等請求事件) 全文

判示事項
 公立高等学校の校長が教諭に対し卒業式における国歌斉唱の際に国旗に向かって起立し国歌を斉唱することを命じた職務命令が憲法19条に違反しないとされた事例

裁判要旨
 公立高等学校の校長が教諭に対し卒業式における国歌斉唱の際に国旗に向かって起立し国歌を斉唱することを命じた職務命令は,次の(1)〜(3)など判示の事情の下では,当該教諭の思想及び良心の自由を侵すものとして憲法19条に違反するということはできない。
(1) 上記の起立斉唱行為は,学校の儀式的行事における慣例上の儀礼的な所作としての性質を有するものであり,「日の丸」や「君が代」が戦前の軍国主義等との関係で一定の役割を果たしたとする当該教諭の歴史観ないし世界観を否定することと不可分に結び付くものではなく,上記職務命令は,その歴史観ないし世界観それ自体を否定するものとはいえない。
(2) 上記の起立斉唱行為は,学校の儀式的行事における慣例上の儀礼的な所作として外部からも認識されるものであって,特定の思想又はこれに反する思想の表明として外部から認識されるものと評価することは困難であり,上記職務命令は,当該教諭に特定の思想を持つことを強制したり,これに反する思想を持つことを禁止したりするものではなく,特定の思想の有無について告白することを強要するものともいえない。
(3) 上記の起立斉唱行為は,国旗及び国歌に対する敬意の表明の要素を含む行為であり,上記(1)の歴史観ないし世界観を有する者がこれを求められることはその歴史観ないし世界観に由来する行動と異なる外部的行為を求められることとなる面があるところ,他方,上記職務命令は,高等学校教育の目標や卒業式等の儀式的行事の意義,在り方等を定めた関係法令等の諸規定の趣旨に沿い,かつ,地方公務員の地位の性質及びその職務の公共性を踏まえた上で,生徒等への配慮を含め,教育上の行事にふさわしい秩序の確保とともに当該式典の円滑な進行を図るものである。
(補足意見がある。)

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群馬司法書士会事件

cf. 最判平14・4・25(平成11(受)743 債務不存在確認請求事件) 全文

判示事項
 被災した他の司法書士会に金員を寄付するために特別に負担金を徴収する旨の司法書士会の総会決議の効力が同会の会員に対して及ぶとされた事例

裁判要旨
 阪神・淡路大震災により被災した兵庫県司法書士会に3000万円の復興支援拠出金を寄付することは群馬司法書士会の権利能力の範囲内の行為であり,そのために登記申請事件1件当たり50円の復興支援特別負担金を徴収する旨の同会の総会決議の効力は,同会の会員に対して及ぶ。
(反対意見がある。)

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破壊活動防止法違反、兇器準備集合、威力業務妨害被告事件

cf. 最判平2・9・28(昭和63(あ)1292 破壊活動防止法違反) 全文

判示事項
 破壊活動防止法三九条及び四〇条のせん動を処罰する規定と憲法二一条一項

裁判要旨
 破壊活動防止法三九条及び四〇条のせん動を処罰する規定は、憲法二一条一項に違反しない。

国際連盟規約15条 紛争解決手続

第15条 一 聯盟国間ニ国交断絶ニ至ルノ虞アル紛争発生シ、第一三条ニ依ル仲裁裁判又ハ司法的解決ニ付セラレサルトキハ、聯盟国ハ、当該事件ヲ聯盟理事会ニ付託スヘキコトヲ約ス。何レノ紛争当事国モ、紛争ノ存在ヲ事務総長ニ通告シ以テ前記ノ付託ヲ為スコトヲ得。事務総長ハ、之カ充分ナル取調及審理ニ必要ナル一切ノ準備ヲ為スモノトス。
 
二 此ノ目的ノ為、紛争当事国ハ、成ルヘク速ニ当該事件ニ関スル陳述書ヲ一切ノ関係事実及書類卜共ニ事務総長ニ提出スヘク、聯盟理事会ハ、直ニ其ノ公表ヲ命スルコトヲ得。
 
三 聯盟理事会ハ、紛争ノ解決ニ力ムヘク、其ノ努力効ヲ奏シタルトキハ、其ノ適当ト認ムル所ニ依リ、当該紛争ニ関スル事実及説明並其ノ解決条件ヲ記載セル調書ヲ公表スヘシ。
 
四 紛争解決ニ至ラサルトキハ、聯盟理事会ハ、全会一致又ハ過半数ノ表決ニ基キ当該紛争ノ事実ヲ述へ、公正旦適当ト認ムル勧告ヲ載セタル報告書ヲ作成シ之ヲ公表スヘシ。
 
五 聯盟理事会ニ代表セラルル聯盟国ハ、何レモ当該紛争ノ事実及之ニ関スル自国ノ決定ニ付陳述書ヲ公表スルコトヲ得。
 
六 聯盟理事会ノ報告書カ紛争当事国ノ代表者ヲ除キ他ノ聯盟理事会員全部ノ同意ヲ得タルモノナルトキハ、聯盟国ハ、該報告書ノ勧告ニ応スル紛争当事国ニ対シ戦争ニ訴ヘサルヘキコトヲ約ス。
 
七 聯盟理事会ニ於テ、紛争当事国ノ代表者ヲ除キ、他ノ聯盟理事会員全部ノ同意アル報告書ヲ得ルニ至ラサルトキハ、聯盟国ハ、正義公道ヲ維持スル為必要ト認ムル処置ヲ執ルノ権利ヲ留保ス。
 
八 紛争当事事国ノ一国ニ於テ、紛争カ国際法上専ラ該当事国ノ管轄ニ属スル事項ニ付生シタルモノナルコトヲ主張シ、聯盟理事会之ヲ是認シタルトキハ、聯盟理事会ハ、其ノ旨ヲ報告シ、且之カ解決ニ関シ何等ノ勧告ヲモ為ササルモノトス。
 
九 聯盟理事会ハ、本条ニ依ル一切ノ場合ニ於テ紛争ヲ聯盟総会ニ移スコトヲ得。紛争当事国一方ノ請求アリタルトキハ、亦之ヲ聯盟総会ニ移スヘシ。但シ右請求ハ、紛争ヲ聯盟理事会ニ付託シタル後一四日以内ニ之ヲ為スコトヲ要ス。
 
一〇 聯盟理事会ノ行動及権限ニ関スル本条及第一二条ノ規定ハ、聯盟総会ニ移シタル事件ニ関シ、総テ之ヲ聯盟総会ノ行動及権能ニ適用ス。但シ紛争当事国ノ代表者ヲ除キ聯盟理事会ニ代表セラルル聯盟各国代表者及爾余過半数聯盟国ノ代表者ノ同意ヲ得タル聯盟総会ノ報告書ハ、紛争当事国ノ代表者ヲ除キ他ノ聯盟理事会員全部ノ同意ヲ得タル聯盟理事会ノ報告書ト同一ノ効力ヲ有スヘキモノトス。


e-Gov 国際連盟規約

憲法37条 刑事被告人の権利

第37条 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
 
2 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
 
3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。


e-Gov 憲法

人事訴訟法33条 事実の調査

第33条 裁判所は、前条第一項の附帯処分についての裁判又は同条第三項の親権者の指定についての裁判をするに当たっては、事実の調査をすることができる。
 
2 裁判所は、相当と認めるときは、合議体の構成員に命じ、又は家庭裁判所若しくは簡易裁判所に嘱託して前項の事実の調査(以下単に「事実の調査」という。)をさせることができる。
 
3 前項の規定により受命裁判官又は受託裁判官が事実の調査をする場合には、裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。
 
4 裁判所が審問期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは、他の当事者は、当該期日に立ち会うことができる。ただし、当該他の当事者が当該期日に立ち会うことにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。
 
5 事実の調査の手続は、公開しない。ただし、裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。


e-Gov 人事訴訟法