第24条 裁判所は、更生手続開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、更生手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、次に掲げる手続又は処分の中止を命ずることができる。ただし、第二号に掲げる手続又は第六号に掲げる処分については、その手続の申立人である更生債権者等又はその処分を行う者に不当な損害を及ぼすおそれがない場合に限る。
一 開始前会社についての破産手続、再生手続又は特別清算手続
二 強制執行等(更生債権等に基づく強制執行、仮差押え、仮処分若しくは担保権の実行又は更生債権等を被担保債権とする留置権による競売をいう。)の手続で、開始前会社の財産に対して既にされているもの
三 開始前会社に対して既にされている企業担保権の実行手続
四 開始前会社の財産関係の訴訟手続
五 開始前会社の財産関係の事件で行政庁に係属しているものの手続
六 外国租税滞納処分(共助対象外国租税の請求権に基づき国税滞納処分の例によってする処分(共益債権を徴収するためのものを除く。)をいう。)で、開始前会社の財産に対して既にされているもの
2 裁判所は、更生手続開始の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、職権で、国税滞納処分(共益債権を徴収するためのものを除き、国税滞納処分の例による処分(共益債権及び共助対象外国租税の請求権を徴収するためのものを除く。)を含む。)で、開始前会社の財産に対して既にされているものの中止を命ずることができる。ただし、あらかじめ、徴収の権限を有する者の意見を聴かなければならない。
3 前項の規定による中止の命令は、更生手続開始の申立てについて決定があったとき、又は中止を命ずる決定があった日から二月を経過したときは、その効力を失う。
4 裁判所は、第一項及び第二項の規定による中止の命令を変更し、又は取り消すことができる。
5 裁判所は、開始前会社の事業の継続のために特に必要があると認めるときは、開始前会社(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)の申立てにより、担保を立てさせて、第一項第二号の規定により中止した同号に規定する強制執行等の手続、同項第六号の規定により中止した同号に規定する外国租税滞納処分又は第二項の規定により中止した同項に規定する国税滞納処分の取消しを命ずることができる。ただし、当該国税滞納処分の取消しを命ずる場合においては、あらかじめ、徴収の権限を有する者の意見を聴かなければならない。
6 第一項又は第二項の規定による中止の命令、第四項の規定による決定及び前項の規定による取消しの命令に対しては、即時抗告をすることができる。
7 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
8 第六項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。
会社更生法50条 他の手続の中止等
第50条 更生手続開始の決定があったときは、破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始若しくは特別清算開始の申立て、更生会社の財産に対する第二十四条第一項第二号に規定する強制執行等、企業担保権の実行若しくは同項第六号に規定する外国租税滞納処分又は更生債権等に基づく財産開示手続若しくは第三者からの情報取得手続の申立てはすることができず、破産手続、再生手続、更生会社の財産に対して既にされている同項第二号に規定する強制執行等の手続、企業担保権の実行手続及び同項第六号に規定する外国租税滞納処分並びに更生債権等に基づく財産開示手続及び第三者からの情報取得手続は中止し、特別清算手続はその効力を失う。
2 更生手続開始の決定があったときは、当該決定の日から一年間(一年経過前に更生計画が認可されることなく更生手続が終了し、又は更生計画が認可されたときは、当該終了又は当該認可の時までの間)は、更生会社の財産に対する第二十四条第二項に規定する国税滞納処分はすることができず、更生会社の財産に対して既にされている同項に規定する国税滞納処分は中止する。
3 裁判所は、必要があると認めるときは、管財人の申立てにより又は職権で、前項の一年の期間を伸長することができる。ただし、裁判所は、あらかじめ、徴収の権限を有する者の同意を得なければならない。
4 徴収の権限を有する者は、前項の同意をすることができる。
5 裁判所は、更生に支障を来さないと認めるときは、管財人若しくは租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)につき徴収の権限を有する者の申立てにより又は職権で、次に掲げる手続又は処分の続行を命ずることができる。
一 第一項の規定により中止した第二十四条第一項第二号に規定する強制執行等の手続、企業担保権の実行手続又は同項第六号に規定する外国租税滞納処分
二 第二項の規定により中止した第二十四条第二項に規定する国税滞納処分
6 裁判所は、更生のため必要があると認めるときは、管財人の申立てにより又は職権で、担保を立てさせて、又は立てさせないで、前項各号に掲げる手続又は処分の取消しを命ずることができる。
7 裁判所は、更生計画案を決議に付する旨の決定があるまでの間において、更生担保権に係る担保権の目的である財産で、更生会社の事業の更生のために必要でないことが明らかなものがあるときは、管財人の申立てにより又は職権で、当該財産について第一項の規定による担保権の実行の禁止を解除する旨の決定をすることができる。
8 管財人は、更生担保権者から前項の申立てをすべきことを求められたときは、直ちにその旨を裁判所に報告しなければならない。この場合において、その申立てをしないこととしたときは、遅滞なく、その事情を裁判所に報告しなければならない。
9 更生手続開始の決定があったときは、次に掲げる請求権は、共益債権とする。
一 第一項の規定により中止した破産手続における財団債権(破産法第百四十八条第一項第三号に掲げる請求権を除き、破産手続が開始されなかった場合における同法第五十五条第二項及び第百四十八条第四項に規定する請求権を含む。)又は再生手続における共益債権(再生手続が開始されなかった場合における民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第五十条第二項並びに第百二十条第三項及び第四項に規定する請求権を含む。)
二 第一項の規定により効力を失った手続のために更生会社に対して生じた債権及びその手続に関する更生会社に対する費用請求権
三 第五項の規定により続行された手続又は処分に関する更生会社に対する費用請求権
四 第七項の解除の決定により申立てが可能となった担保権の実行手続に関する更生会社に対する費用請求権
10 第二十四条第二項に規定する国税滞納処分により徴収すべき徴収金の請求権の時効は、第二項及び第三項の規定により当該国税滞納処分をすることができず、又は当該国税滞納処分が中止している期間は、進行しない。
11 更生手続開始の決定があったときは、更生手続が終了するまでの間(更生計画認可の決定があったときは、第二百四条第二項に規定する更生計画で定められた弁済期間が満了する時(その期間の満了前に更生計画に基づく弁済が完了した場合にあっては、弁済が完了した時)までの間)は、罰金、科料及び追徴の時効は、進行しない。ただし、当該罰金、科料又は追徴に係る請求権が共益債権である場合は、この限りでない。
民事再生法39条 他の手続の中止等
第39条 再生手続開始の決定があったときは、破産手続開始、再生手続開始若しくは特別清算開始の申立て、再生債務者の財産に対する再生債権に基づく強制執行等若しくは再生債権に基づく外国租税滞納処分又は再生債権に基づく財産開示手続若しくは第三者からの情報取得手続の申立てはすることができず、破産手続、再生債務者の財産に対して既にされている再生債権に基づく強制執行等の手続及び再生債権に基づく外国租税滞納処分並びに再生債権に基づく財産開示手続及び第三者からの情報取得手続は中止し、特別清算手続はその効力を失う。
2 裁判所は、再生に支障を来さないと認めるときは、再生債務者等の申立てにより又は職権で、前項の規定により中止した再生債権に基づく強制執行等の手続又は再生債権に基づく外国租税滞納処分の続行を命ずることができ、再生のため必要があると認めるときは、再生債務者等の申立てにより又は職権で、担保を立てさせて、又は立てさせないで、中止した再生債権に基づく強制執行等の手続又は再生債権に基づく外国租税滞納処分の取消しを命ずることができる。
3 再生手続開始の決定があったときは、次に掲げる請求権は、共益債権とする。
一 第一項の規定により中止した破産手続における財団債権(破産法第百四十八条第一項第三号に掲げる請求権を除き、破産手続が開始されなかった場合における同法第五十五条第二項及び第百四十八条第四項に規定する請求権を含む。)
二 第一項の規定により効力を失った手続のために再生債務者に対して生じた債権及びその手続に関する再生債務者に対する費用請求権
三 前項の規定により続行された手続に関する再生債務者に対する費用請求権
4 再生手続開始の決定があったときは、再生手続が終了するまでの間(再生計画認可の決定が確定したときは、第百八十一条第二項に規定する再生計画で定められた弁済期間が満了する時(その期間の満了前に再生計画に基づく弁済が完了した場合又は再生計画が取り消された場合にあっては弁済が完了した時又は再生計画が取り消された時)までの間)は、罰金、科料及び追徴の時効は、進行しない。ただし、当該罰金、科料又は追徴に係る請求権が共益債権である場合は、この限りでない。
民事再生法25条 再生手続開始の条件
第25条 次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。
一 再生手続の費用の予納がないとき。
二 裁判所に破産手続又は特別清算手続が係属し、その手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき。
三 再生計画案の作成若しくは可決の見込み又は再生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき。
四 不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。
総議決権の過半数を超える議決権を有する再生債権者が再生手続開始に強固に反対意思を表明していることが挙げられます。
再生手続開始の申立てが、債務者がその負担した連帯保証債務を免れる方法として再生手続における否認権行使を利用しようとされたと認められる場合、当該申立ては、連帯保証債務の取消しのみを目的とした申立てであって、本来の目的から逸脱した濫用的な目的でされた申立てということができるから、これを棄却すべきとしています。
破産法71条 相殺の禁止
第71条 破産債権者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。
一 破産手続開始後に破産財団に対して債務を負担したとき。
二 支払不能になった後に契約によって負担する債務を専ら破産債権をもってする相殺に供する目的で破産者の財産の処分を内容とする契約を破産者との間で締結し、又は破産者に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより破産者に対して債務を負担した場合であって、当該契約の締結の当時、支払不能であったことを知っていたとき。
三 支払の停止があった後に破産者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
四 破産手続開始の申立てがあった後に破産者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、破産手続開始の申立てがあったことを知っていたとき。
2 前項第二号から第四号までの規定は、これらの規定に規定する債務の負担が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
一 法定の原因
二 支払不能であったこと又は支払の停止若しくは破産手続開始の申立てがあったことを破産債権者が知った時より前に生じた原因
三 破産手続開始の申立てがあった時より一年以上前に生じた原因
破産法72条 相殺の禁止
第72条 破産者に対して債務を負担する者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。
一 破産手続開始後に他人の破産債権を取得したとき。
二 支払不能になった後に破産債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払不能であったことを知っていたとき。
三 支払の停止があった後に破産債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。
四 破産手続開始の申立てがあった後に破産債権を取得した場合であって、その取得の当時、破産手続開始の申立てがあったことを知っていたとき。
2 前項第二号から第四号までの規定は、これらの規定に規定する破産債権の取得が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。
一 法定の原因
二 支払不能であったこと又は支払の停止若しくは破産手続開始の申立てがあったことを破産者に対して債務を負担する者が知った時より前に生じた原因
三 破産手続開始の申立てがあった時より一年以上前に生じた原因
四 破産者に対して債務を負担する者と破産者との間の契約
破産法15条 破産手続開始の原因
第15条 債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
2 債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。
債務者が支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいいます。 cf. 破産法2条11項 定義
相殺禁止(破産法71条、72条)、偏頗行為否認(破産法162条1項)を画する基準時ともなります。
cf. 破産法71条 相殺の禁止 cf. 破産法72条 相殺の禁止 cf. 破産法162条 特定の債権者に対する担保の供与等の否認支払不能を外部に表示する債務者の主観的行為で、具体例として、手形の不渡り、夜逃げ、弁護士等の介入通知など。
破産法16条 法人の破産手続開始の原因
破産法35条 法人の存続の擬制
第35条 他の法律の規定により破産手続開始の決定によって解散した法人又は解散した法人で破産手続開始の決定を受けたものは、破産手続による清算の目的の範囲内において、破産手続が終了するまで存続するものとみなす。
破産法13条 民事訴訟法の準用
第13条 破産手続等に関しては、特別の定めがある場合を除き、民事訴訟法の規定を準用する。