改正相続法附則8条 遺言執行者の権利義務等に関する経過措置

第8条 新民法第千七条第二項及び第千十二条の規定は、施行日前に開始した相続に関し、施行日以後に遺言執行者となる者にも、適用する。
 
2 新民法第千十四条第二項から第四項までの規定は、施行日前にされた特定の財産に関する遺言に係る遺言執行者によるその執行については、適用しない。
 
3 施行日前にされた遺言に係る遺言執行者の復任権については、新民法第千十六条の規定にかかわらず、なお従前の例による。


衆議院 改正相続法

 

もう一歩先へ
「施行日」とは、2019(令和元)年7月1日です。

cf. 改正相続法附則1条 施行期日
 
もう一歩先へ 1項:
民法1007条2項及び民法1012条については、遺言執行者が就任したのが施行日以後である場合は、施行日前に開始した相続についても、改正後の規定が遡及的に適用されます(新法主義)。

施行日後に遺言執行者になった者であれば、改正後のルールを適用しても、遺言執行者の法的地位を不利益に変更することにならないと考えられたためです。

もう一歩先へ 2項:
民法1014条2項から4項までの規定については、相続が施行日以後に開始した場合でも、遺言の作成日が施行日前であれば適用されません(旧法主義)。この場合は遺言執行者は単独で登記等ができません。

いずれも新たな規定であり、施行日前にされる遺言は、一般的に、改正前の規定を前提として作成されるものと考えられるため、遡及的に適用することは相当ではないと考えられたためです。

もう一歩先へ 3項:
民法1016条について、遡及的に適用すると、遺言者の意思に反するおそれがあるため、旧法主義を採用しています。