第493条 弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならない。ただし、債権者があらかじめその受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる。
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cf.
最判昭39.10.23(昭和37(オ)806 家屋明渡請求) 全文
判示事項
受領の催告をしなくても弁済のための現実の提供があるとされた事例。
裁判要旨
債務者が賃料を持参して債権者の代理人である弁護士の事務所に赴いたが、当該弁護士が不在のため、現金の呈示ができない場合には、特段の事情のないかぎり、右弁護士の事務員に対しその受領の催告をしなくても、弁済のための現実の提供があつたものと解すべきである。
もう一歩先へ
cf.
最判昭44・5・1(昭和42(オ)1424 家屋明渡請求) 全文
判示事項
債権者において弁済を受領しない意思が明確な場合でも弁済の提供をしない債務者は債務不履行の責を免れないとされた事例
裁判要旨
弁済の準備ができない経済状態にあるため言語上の提供もできない債務者は、債権者が弁済を受領しない意思が明確な場合であつても、弁済の提供をしないかぎり、債務不履行の責を免れない。
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cf.
最判昭31・11・27(昭和30(オ)646 建物明渡請求) 全文
判示事項
債務の本旨に従つた履行の提供と認められない事例
裁判要旨
甲家屋の賃貸人がその賃料の支払を催告したのに対し、賃借人が、乙家屋と丙土地もともに賃貸借の目的物であると争つて甲家屋の賃料に乙家屋と丙土地の相当賃料額を合わせた金員を、その金額を受領しなければ支払わない意思で提供した場合には、債務の本旨に従つた履行の提供があつたものとはいえない。