国籍法10条 帰化の許可

第10条 法務大臣は、帰化を許可したときは、官報にその旨を告示しなければならない。
 
2 帰化は、前項の告示の日から効力を生ずる。


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もう一歩先へ 2項:
帰化の効力は告示の日の午前0時から効力が生じると解されています。

したがって、帰化者の子が告示の日に出生した場合には、その子は日本国民の子ということになります。

帰化を許可された者は、公法上も私法上も生来の日本人と何らの違いはありません。

cf. 旧国籍法16条 帰化人の権利制限
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帰化申請が許可されると法務局から「帰化者の身分証明書」が交付されます。

「帰化者の身分証明書」を添付して帰化の届を帰化者の所在地の市区町村役場にする事で、日本の戸籍が編製されます。新本籍地に届出することもできます。

cf. 戸籍法25条 届出地

記載事項は共通する事項のほか、帰化届に特有の事項がさだめられています。

cf. 戸籍法29条 届書に共通する記載事項
cf. 戸籍法102条の2 帰化の届出
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行政不服審査法は、帰化に関する処分を不服申立ての対象から外しています。

cf. 行政不服審査法7条1項10号 適用除外

国籍法8条 帰化の条件(日本国民の子等)

第8条 次の各号の一に該当する外国人については、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号、第二号及び第四号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
 
 一 日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの
 
 二 日本国民の養子で引き続き一年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であつたもの
 
 三 日本の国籍を失つた者(日本に帰化した後日本の国籍を失つた者を除く。)で日本に住所を有するもの
 
 四 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き三年以上日本に住所を有するもの


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住所条件、能力条件及び生計条件が緩和されます。

cf. 国籍法5条1号、2号及び4号 帰化の条件
もう一歩先へ 1号:
「日本国民の子」とは、帰化申請の時点で、父又は母が日本国民であればかまいません。その父又は母が死亡している場合には、死亡時に日本国民であった場合も含まれます。

「日本国民であった者の子」である場合は、国籍法6条1号が適用されます。この場合には、引き続き三年以上日本に住所又は居所があることが条件となります。

cf. 国籍法6条1号 帰化の条件(現に日本に住所を有するもの)

共に外国籍の父母の20歳未満の子が帰化申請をする場合は、能力条件を満たしませんが、父母について帰化が認められれば、その子は日本国民の子となるため、本号により住所条件、能力条件及び生計条件を備えていなくてもよいことなります。

cf. 国籍法5条1項2号 帰化の条件
もう一歩先へ 2号:
養子縁組後に養親が日本国籍を取得した場合も含まれます。
もう一歩先へ 3号:
cf. 国籍法11条 国籍の喪失

「日本の国籍を失つた者」には、サンフランシスコ平和条約の発効(昭和27(1952)年4月28日)によって、日本国籍を失った生来の朝鮮人や台湾人は含まれません。
婚姻や認知等の身分行為によって内地籍から朝鮮籍や台湾籍になったことにより日本国籍を失った者は含まれます。

もう一歩先へ 4号:
日本で出生した無国籍者についての簡易帰化の規定です。

国籍法7条 帰化の条件(日本国民の配偶者)

第7条 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号及び第二号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するものについても、同様とする。


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住所条件及び能力条件が緩和されます。

cf. 国籍法5条1項1号・2号 帰化の条件
もう一歩先へ 前段:
婚姻期間の長短を問いません。
もう一歩先へ 後段:
婚姻期間が3年を経過していれば、居住期間が3年を経過していなくても、引き続き一年以上住所があれば、帰化を許可することができます。

国籍法6条 帰化の条件(現に日本に住所を有するもの)

第6条 次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が前条第一項第一号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
 
 一 日本国民であつた者の子(養子を除く。)で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有するもの
 
 二 日本で生まれた者で引き続き三年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの
 
 三 引き続き十年以上日本に居所を有する者


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住所条件が緩和されます。

引き続き5年以上日本に住所を有しなくても、法務大臣は帰化を許可することができます。

cf. 国籍法5条1項1号 帰化の条件
もう一歩先へ 1号:
「日本国民であった者」とは、過去に日本国籍をもっていた者で、現在は日本国籍を喪失している者です。

次の国籍の喪失原因によって日本国籍を喪失した者が「日本国民であった者」です。

国籍の喪失原因

意思表示よるもの

 
意思表示によらないもの

また、サンフランシスコ平和条約の発効(昭和27(1952)年4月28日)によって、日本国籍を失った生来の朝鮮人や台湾人は「日本国民であった者」に含まれませんが、婚姻や認知等の身分行為によって内地籍から朝鮮籍や台湾籍になったことにより日本国籍を失った者は含まれます。

もう一歩先へ 3号:
日本に住所がなかった場合に適用されますが、帰化申請時には住所を有していなければなりません。

国籍法5条 帰化の条件

第5条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
 一 引き続き五年以上日本に住所を有すること。
 二 二十歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。
 三 素行が善良であること。
 四 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。
 五 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。
 六 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。
 
2 法務大臣は、外国人がその意思にかかわらずその国籍を失うことができない場合において、日本国民との親族関係又は境遇につき特別の事情があると認めるときは、その者が前項第五号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。


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もう一歩先へ 1項:

6つの条件を規定しています。

  1. 住所条件
  2. 能力条件
  3. 素行条件
  4. 生計条件
  5. 重国籍防止条件
  6. 不法団体条件
もう一歩先へ 1項1号:
住所とは民法22条の住所です。居所は含まれません。

cf. 民法22条 住所

住所は適法なものでなければならないので、不法残留者等の生活の本拠は住所条件を満たしません。

もう一歩先へ 1項2号:
「20歳以上」となっているため、20歳未満の者で婚姻により成年擬制をされている国の者でも、能力条件を満たしません。

(注)令和4年(2022年)4月1日から,「20歳以上」が「18歳以上」に変更されます。

cf. 大韓民国民法826条の2 成年擬制

本国法では妻が制限行為能力者として扱われている場合でも、憲法24条、民法2条、通則法42条の趣旨から能力者として扱われます。

cf. 憲法24条 家庭における個人の尊厳と両性の本質的平等
cf. 民法2条 解釈の基準
cf. 通則法42条 公序

共に外国籍の父母の20歳未満の子が帰化申請をする場合は、能力条件を満たしませんが、父母について帰化が認められれば、その子は日本国民の子となるため、国籍法8条1号により能力条件を備えなくてもよくなります。

cf. 国籍法8条1号 帰化の条件(日本国民の子等)
もう一歩先へ 1項4号:
現在及び将来にわたって公共の負担となるような者の帰化を防止するための条件です。

生計を一にする親族には同居していない者も含まれます。

もう一歩先へ 5号:
日本に帰化したときに、もとの国籍と重国籍にならないようにする規定です。
もう一歩先へ 2項:
日本の法律だけでは重国籍を防止できない場合の、1項5号の救済規定です。
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帰化の種類

  • 国籍法5条 ⇒ 普通帰化
  • 国籍法6条7条8条 ⇒ 簡易帰化
  • 国籍法9条 ⇒ 大帰化
cf. Q9: 帰化の条件には,どのようなものがありますか?@法務省

国籍法4条 帰化

第4条 日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によつて、日本の国籍を取得することができる。
 
2 帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。


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帰化の申請をする者は、外国国籍の者又は無国籍の者でなければなりません。

日本国籍を有するか否かの判断基準は、日本の国籍法になります。

cf. 国籍法施行規則2条 帰化の許可の申請