第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
八幡製鉄事件
cf. 最大判昭45・6・24(昭和41(オ)444 取締役の責任追及請求) 全文判示事項
一、政治資金の寄附と会社の権利能力
二、会社の政党に対する政治資金の寄附の自由と憲法三章
三、商法二五四条ノ二の趣旨
四、取締役が会社を代表して政治資金を寄附する場合と取締役の忠実義務
裁判要旨
一、会社による政治資金の寄附は、客観的、抽象的に観察して、会社の社会的役割を果たすためになされたものと認められるかぎり、会社の権利能力の範囲に属する行為である。
二、憲法三章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものであるから、会社は、公共の福祉に反しないかぎり、政治的行為の自由の一環として、政党に対する政治資金の寄附の自由を有する。
三、商法二五四条ノ二の規定は、同法二五四条三項、民法六四四条に定める善管義務をふえんし、かつ、一層明確にしたにとどまり、通常の委任関係に伴う善管義務とは別個の、高度な義務を規定したものではない。
四、取締役が会社を代表して政治資金を寄附することは、その会社の規模、経営実績その他社会的経済的地位および寄附の相手方など諸般の事情を考慮して、合理的な範囲内においてなされるかぎり、取締役の忠実義務に違反するものではない。
判示事項
岐阜県青少年保護育成条例六条二項、六条の六第一項本文、二一条五号の規定と憲法二一条一項(補足意見がある)
裁判要旨
有害図書の自動販売機への収納を禁止処罰する岐阜県青少年保護育成条例六条二項、六条の六第一項本文、二一条五号の規定は、憲法二一条一項に違反しない。
寺西事件
cf. 最大決平10・12・1(平成10(分ク)1 裁判官分限事件の決定に対する即時抗告) 全文判示事項
一 裁判所法五二条一号にいう「積極的に政治運動をすること」の意義
二 裁判官が積極的に政治運動をすることを禁止する裁判所法五二条一号と憲法二一条一項
三 裁判官が積極的に政治運動をしたとされた事例
四 裁判官が積極的に政治運動をしたことがその職務上の義務に違反するとして当該裁判官に対し戒告がされた事例
五 裁判官分限事件への憲法八二条一項の適用の有無
六 民事訴訟又は非訟の手続において期日に立ち会う代理人の数を制限することの可否
裁判要旨
一 裁判所法五二条一号にいう「積極的に政治運動をすること」とは、組織的、計画的又は継続的な政治上の活動を能動的に行う行為であって裁判官の独立及び中立・公正を害するおそれがあるものをいい、具体的行為の該当性を判断するに当たっては、行為の内容、行為の行われるに至った経緯、行われた場所等の客観的な事情のほか、行為をした裁判官の意図等の主観的な事情をも総合的に考慮して決するのが相当である。
二 裁判官が積極的に政治運動をすることを禁止する裁判所法五二条一号の規定は、憲法二一条一項に違反しない。
三 裁判官が、その取扱いが政治的問題となっていた法案を廃案に追い込もうとする党派的な運動の一環として開かれた集会において、会場の一般参加者席から、裁判官であることを明らかにした上で、「当初、この集会において、盗聴法と令状主義というテーマのシンポジウムにパネリストとして参加する予定であったが、事前に所長から集会に参加すれば懲戒処分もあり得るとの警告を受けたことから、パネリストとしての参加は取りやめた。自分としては、仮に法案に反対の立場で発言しても、裁判所法に定める積極的な政治運動に当たるとは考えないが、パネリストとしての発言は辞退する。」との趣旨の発言をした行為は、判示の事実関係の下においては、右集会の参加者に対し、右法案が裁判官の立場からみて令状主義に照らして問題のあるものであり、その廃案を求めることは正当であるという同人の意見を伝えるものというべきであり、右集会の開催を決定し右法案を廃案に追い込むことを目的として共同して行動している諸団体の組織的、計画的、継続的な反対運動を拡大、発展させ、右目的を達成させることを積極的に支援しこれを推進するものであって、裁判所法五二条一号が禁止している「積極的に政治運動をすること」に該当する。
四 裁判官が積極的に政治運動をしたことは、裁判所法四九条所定の懲戒事由である職務上の義務違反に該当し、当該行為の内容、その後の態度等判示の事情にかんがみれば、当該裁判官を戒告することが相当である。
五 裁判官分限事件には、憲法八二条一項は適用されない。
六 民事訴訟又は非訟の手続を主宰する裁判所は、その手続を円滑に進行させるために与えられた指揮権に基づいて、期日を開く場所の収容能力、当該期日に予定されている手続の内容、裁判所の法廷警察権ないし指揮権行使の難易等を考慮して、必要かつ相当な場合には、期日に立ち会う代理人の数を合理的と認められる限度にまで制限することができる。
判示事項
1 監獄法46条2項と憲法21条,14条1項
2 刑務所長が受刑者の新聞社あての信書の発信を不許可としたことが国家賠償法1条1項の適用上違法となるとされた事例
裁判要旨
1 監獄法46条2項は,具体的事情の下で,受刑者のその親族でない者との間の信書の発受を許すことにより監獄内の規律及び秩序の維持,受刑者の身柄の確保,受刑者の改善,更生の点において放置することのできない程度の障害が生ずる相当のがい然性があると認められるときに限り,この障害の発生防止のために必要かつ合理的な範囲においてのみ上記信書の発受の制限が許されることを定めたものとして,憲法21条,14条1項に違反しない。
2 刑務所長が受刑者の新聞社あての信書の発信を不許可としたことは,刑務所長が,具体的事情の下で,上記信書の発信を許すことにより刑務所内の規律及び秩序の維持,受刑者の身柄の確保,受刑者の改善,更生の点において放置することのできない程度の障害が生ずる相当のがい然性があるかどうかについて考慮していないこと,上記信書が,国会議員に対して送付済みの請願書等の取材等を求める旨の内容を記載したものであり,その発信を許すことによって刑務所内に上記の障害が生ずる相当のがい然性があるということができないことなど判示の事情の下においては,裁量権の範囲を逸脱し,又は裁量権を濫用したものとして,国家賠償法1条1項の適用上違法となる。
猿払事件
cf. 最大判昭49・11・6(昭和44(あ)1501 国家公務員法違反) 全文判示事項
一、国家公務員法一〇二条一項、人事院規則一四―七・五項三号、六項一三号による特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止と憲法二一条
二、国家公務員法一一〇条一項一九号の罰則と憲法三一条
三、国家公務員法一一〇条一項一九号の罰則と憲法二一条
四、国家公務員法一〇二条一項における人事院規則への委任の合憲性
五、国家公務員法一〇二条一項、人事院規則一四―七・五項三号、六項一三号の禁止に違反する文書の掲示又は配布に同法一一〇条一項一九号の罰則を適用することが憲法二一条、三一条に違反しないとされた事例
裁判要旨
一、国家公務員法一〇二条一項、人事院規則一四―七・五項三号、六項一三号による特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止は、憲法二一条に違反しない。
二、国家公務員法一一〇条一項一九号の罰則は、憲法三一条に違反しない。
三、国家公務員法一一〇条一項一九号の罰則は、憲法二一条に違反しない。
四、国家公務員法一〇二条一項における人事院規則への委任は、同法八二条による懲戒処分及び同法一一〇条一項一九号による刑罰の対象となる政治的行為の定めを一様に人事院規則に委任しているからといって、憲法に違反する立法の委任ということはできない。
五、国家公務員法一〇二条一項、人事院規則一四―七・五項三号、六項一三号の禁止に違反する本件の文書の掲示又は配布(判文参照)に同法一一〇条一項一九号の罰則を適用することは、たとえその掲示又は配布が、非管理職の現業公務員であって、その職務内容が機械的労務の提供にとどまるものにより、勤務時間外に、国の施設を利用することなく、職務を利用せず又はその公正を害する意図なく、かつ、労働組合活動の一環として行われた場合であつても、憲法二一条、三一条に違反しない。
堀越事件
cf. 最判平24・12・7(平成22(あ)762 国家公務員法違反被告事件) 全文判示事項
1 国家公務員法102条1項にいう「政治的行為」の意義
2 人事院規則14−7第6項7号,13号に掲げる政治的行為の意義
3 国家公務員法(平成19年法律第108号による改正前のもの)110条1項19号,国家公務員法102条1項,人事院規則14−7第6項7号,13号による政党の機関紙の配布及び政治的目的を有する文書の配布の禁止と憲法21条1項,31条
4 国家公務員法102条1項,人事院規則14−7第6項7号,13号により禁止された政党の機関紙の配布及び政治的目的を有する文書の配布に当たらないとされた事例
裁判要旨
1 国家公務員法102条1項の「政治的行為」とは,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが,観念的なものにとどまらず,現実的に起こり得るものとして実質的に認められる政治的行為をいう。
2 人事院規則14−7第6項7号,13号に掲げる政治的行為は,それぞれが定める行為類型に文言上該当する行為であって,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められるものをいう。
3 国家公務員法(平成19年法律第108号による改正前のもの)110条1項19号,国家公務員法102条1項,人事院規則14−7第6項7号,13号による政党の機関紙の配布及び政治的目的を有する文書の配布の禁止は,憲法21条1項,31条に違反しない。
4 管理職的地位になく,その職務の内容や権限に裁量の余地のない一般職国家公務員が,職務と全く無関係に,公務員により組織される団体の活動としての性格を有さず,公務員による行為と認識し得る態様によることなく行った本件の政党の機関紙及び政治的目的を有する文書の配布は,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められるものとはいえず,国家公務員法102条1項,人事院規則14−7第6項7号,13号により禁止された行為に当たらない。
(1〜4につき補足意見,1,2,4につき意見がある。)
宇治橋事件判決
cf. 最判平24・12・7(平成22(あ)957 国家公務員法違反被告事件) 全文判示事項
1 国家公務員法(平成19年法律第108号による改正前のもの)110条1項19号,国家公務員法102条1項,人事院規則14−7第6項7号による政党の機関紙の配布の禁止と憲法21条1項,15条,19条,31条,41条,73条6号
2 国家公務員法102条1項,人事院規則14−7第6項7号により禁止された政党の機関紙の配布に当たるとされた事例
裁判要旨
1 国家公務員法(平成19年法律第108号による改正前のもの)110条1項19号,国家公務員法102条1項,人事院規則14−7第6項7号による政党の機関紙の配布の禁止は,憲法21条1項,15条,19条,31条,41条,73条6号に違反しない。
2 管理職的地位にあり,その職務の内容や権限に裁量権のある一般職国家公務員が行った本件の政党の機関紙の配布は,それが,勤務時間外に,国ないし職場の施設を利用せず,公務員としての地位を利用することなく,公務員により組織される団体の活動としての性格を有さず,公務員による行為と認識し得る態様によることなく行われたものであるとしても,当該公務員及びその属する行政組織の職務の遂行の政治的中立性が損なわれるおそれが実質的に認められ,国家公務員法102条1項,人事院規則14−7第6項7号により禁止された行為に当たる。
(1,2につき補足意見,2につき反対意見がある。)
