第605条 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。
民法281条 地役権の付従性
第281条 地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2 地役権は、要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることができない。
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地役権だけ切り離して処分できません。
地役権は要益地と分離させたら意味がないので、要益地を使用する権利を取得した人、例えば、所有者や地上権者や賃借権者に地役権を使用させた方がいいため、要益地を使用する権利のある者がそれを手放すとずっとそれについていきます。
民法282条 地役権の不可分性
第282条 土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができない。
2 土地の分割又はその一部の譲渡の場合には、地役権は、その各部のために又はその各部について存する。ただし、地役権がその性質により土地の一部のみに関するときは、この限りでない。
民法283条 地役権の時効取得
第283条 地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
- 継続的⇒不継続なものは好意によるもの、権利関係に高めるのは適当ではない
- 外形上認識⇒社会的承認を受けるだけの公然性が必要
⇒通路の開設は自らする必要があります。(判例)
- 駅への近道のために、時折通るのではダメです。通路を開設して、そこまでしても、相手方が何もしなかった場合のような、権利の上に眠るような事情が必要です。公然性がなければ時効の更新の機会もありません。
改正前民法292条 地役権の時効の中断又は停止
第292条 要役地が数人の共有に属する場合において、その一人のために時効の中断又は停止があるときは、その中断又は停止は、他の共有者のためにも、その効力を生ずる。
民法292条 地役権の時効の完成猶予又は更新
第292条 要役地が数人の共有に属する場合において、その一人のために時効の完成猶予又は更新があるときは、その完成猶予又は更新は、他の共有者のためにも、その効力を生ずる。
民法624条 雇用の報酬の支払時期
第624条 労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。
2 期間によって定めた報酬は、その期間を経過した後に、請求することができる。
民法633条 請負の報酬の支払時期
第633条 報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第六百二十四条第一項の規定を準用する。
判示事項
債権額の異なる請負人の報酬債権と注文者の目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権とを相殺することの許否
裁判要旨
請負人の注文者に対する報酬債権と注文者の請負人に対する目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権とは、右両債権額が異なる場合であつても相殺することが許される。
判示事項
一 請負人の報酬債権と注文者の瑕疵修補に代わる損害賠償債権との相殺がされた後の報酬残債務について注文者が履行遅滞による責任を負う時期
二 仮執行宣言に基づく給付金に商事法定利率による金員を付加してその支払を求める民訴法一九八条二項の申立てが認容された事例
裁判要旨
一 請負人の報酬債権に対し注文者がこれと同時履行の関係にある瑕疵修補に代わる損害賠償債権を自働債権とする相殺の意思表示をした場合、注文者は、相殺後の報酬残債務について、相殺の意思表示をした日の翌日から履行遅滞による責任を負う。
二 (省略)
判示事項
請負契約の注文者が瑕疵の修補に代わる損害賠償債権をもって報酬全額の支払との同時履行を主張することの可否
裁判要旨
請負契約の目的物に瑕疵がある場合には、注文者は、瑕疵の程度や各契約当事者の交渉態度等にかんがみ信義則に反すると認められるときを除き、請負人から瑕疵の修補に代わる損害の賠償を受けるまでは、報酬全額の支払を拒むことができ、これについて履行遅滞の責任も負わない。
cf. 民法533条 同時履行の抗弁
公証人法18条 公証人の職務場所
第18条 公証人ハ法務大臣ノ指定シタル地ニ其ノ役場ヲ設クヘシ
2 公証人ハ役場ニ於テ其ノ職務ヲ行フコトヲ要ス但シ事件ノ性質カ之ヲ許ササル場合又ハ法令ニ別段ノ定アル場合ハ此ノ限ニ在ラス
民法203条 占有権の消滅事由
第203条 占有権は、占有者が占有の意思を放棄し、又は占有物の所持を失うことによって消滅する。ただし、占有者が占有回収の訴えを提起したときは、この限りでない。
所持の喪失
- 劇場内の売店を、再三の督促にもかかわらず使用しないまま2年8か月が経過した場合には、その場所の所持を失うものと判示されています(最判昭30.11.18)。
- 借地人が、地上の自己所有の建物を賃貸している場合には、建物が滅失したならば、借家人は建物の所持を失い、土地について借地人の自己占有となる(大判昭3.6.11)。
「占有回収の訴えを提起」というためには、単に訴えを提起しただけでは足りず、①勝訴し、かつ、②その後、現実に占有を回復することも必要です(最判昭44.12.2)。
