破産法78条 破産管財人の権限

第78条 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属する。
 
2 破産管財人が次に掲げる行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
 
 一 不動産に関する物権、登記すべき日本船舶又は外国船舶の任意売却
 二 鉱業権、漁業権、公共施設等運営権、樹木採取権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、回路配置利用権、育成者権、著作権又は著作隣接権の任意売却
 三 営業又は事業の譲渡
 四 商品の一括売却
 五 借財
 六 第二百三十八条第二項の規定による相続の放棄の承認、第二百四十三条において準用する同項の規定による包括遺贈の放棄の承認又は第二百四十四条第一項の規定による特定遺贈の放棄
 七 動産の任意売却
 八 債権又は有価証券の譲渡
 九 第五十三条第一項の規定による履行の請求
 十 訴えの提起
 十一 和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)
 十二 権利の放棄
 十三 財団債権、取戻権又は別除権の承認
 十四 別除権の目的である財産の受戻し
 十五 その他裁判所の指定する行為
 
3 前項の規定にかかわらず、同項第七号から第十四号までに掲げる行為については、次に掲げる場合には、同項の許可を要しない。
 
 一 最高裁判所規則で定める額以下の価額を有するものに関するとき。
 二 前号に掲げるもののほか、裁判所が前項の許可を要しないものとしたものに関するとき。
 
4 裁判所は、第二項第三号の規定により営業又は事業の譲渡につき同項の許可をする場合には、労働組合等の意見を聴かなければならない。
 
5 第二項の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
 
6 破産管財人は、第二項各号に掲げる行為をしようとするときは、遅滞を生ずるおそれのある場合又は第三項各号に掲げる場合を除き、破産者の意見を聴かなければならない。


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もう一歩先へ 3項1号:
e.g. 100万円を超える財団債権の承認には、裁判所の許可が必要です。

cf. 破産規則25条 裁判所の許可を要しない行為・法第七十八条

破産法160条 破産債権者を害する行為の否認

第160条 次に掲げる行為(担保の供与又は債務の消滅に関する行為を除く。)は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。
 一 破産者が破産債権者を害することを知ってした行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、破産債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
 二 破産者が支払の停止又は破産手続開始の申立て(以下この節において「支払の停止等」という。)があった後にした破産債権者を害する行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、支払の停止等があったこと及び破産債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
 
2 破産者がした債務の消滅に関する行為であって、債権者の受けた給付の価額が当該行為によって消滅した債務の額より過大であるものは、前項各号に掲げる要件のいずれかに該当するときは、破産手続開始後、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分に限り、破産財団のために否認することができる。
 
3 破産者が支払の停止等があった後又はその前六月以内にした無償行為及びこれと同視すべき有償行為は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。


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cf. 民事再生法127条 再生債権者を害する行為の否認

もう一歩先へ 1項:
詐害行為否認

破産者が債権者を害することを知りながら破産前にした行為(詐害行為)で、受益者も悪意である場合には否認できるとするものです。

例外的に、支払停止又は破産手続き開始申立て後の詐害行為である場合に限り、破産者の詐害意思は要件となりません。

もう一歩先へ 2項:
偏頗行為否認

危機時期において、偏頗行為をした場合、破産者の主観的要件なしに受益者の悪意だけで否認できます。

cf. 民法424条の4 過大な代物弁済等の特則
 
もう一歩先へ 3項:
無償否認

主観的要件なしに、否認できます。危機時期の前後に、無償行為を行うことはそれだけで債権者に対する詐害性は十分であるという考え方に基づきます。

破産法100条 破産債権の行使

第100条 破産債権は、この法律に特別の定めがある場合を除き、破産手続によらなければ、行使することができない。
 
2 前項の規定は、次に掲げる行為によって破産債権である租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)を行使する場合については、適用しない。
 一 破産手続開始の時に破産財団に属する財産に対して既にされている国税滞納処分
 二 徴収の権限を有する者による還付金又は過誤納金の充当


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もう一歩先へ
破産手続開始「決定後」の差し押さえについては、本条により差押えができないことになっておりますので、破産者は給与を満額受け取ることができます。

破産手続開始「決定前」に差し押さえられた分については
⇒ cf. 破産法42条 他の手続の失効等

破産法115条 破産債権者表の作成等

第115条 裁判所書記官は、届出があった破産債権について、破産債権者表を作成しなければならない。
 
2 前項の破産債権者表には、各破産債権について、第百十一条第一項第一号から第四号まで及び第二項第二号(同条第三項において準用する場合を含む。)に掲げる事項その他最高裁判所規則で定める事項を記載しなければならない。
 
3 破産債権者表の記載に誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでもその記載を更正する処分をすることができる。


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破産法195条 最後配当

第195条 破産管財人は、一般調査期間の経過後又は一般調査期日の終了後であって破産財団に属する財産の換価の終了後においては、第二百十七条第一項に規定する場合を除き、遅滞なく、届出をした破産債権者に対し、この節の規定による配当(以下この章及び次章において「最後配当」という。)をしなければならない。
 
2 破産管財人は、最後配当をするには、裁判所書記官の許可を得なければならない。
 
3 裁判所は、破産管財人の意見を聴いて、あらかじめ、最後配当をすべき時期を定めることができる。


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破産法204条 簡易配当

第204条 裁判所書記官は、第百九十五条第一項の規定により最後配当をすることができる場合において、次に掲げるときは、破産管財人の申立てにより、最後配当に代えてこの節の規定による配当(以下この章及び次章において「簡易配当」という。)をすることを許可することができる。
 一 配当をすることができる金額が千万円に満たないと認められるとき。
 二 裁判所が、第三十二条第一項の規定により同項第五号に掲げる事項を公告し、かつ、その旨を知れている破産債権者に対し同条第三項第一号の規定により通知した場合において、届出をした破産債権者が同条第一項第五号に規定する時までに異議を述べなかったとき。
 三 前二号に掲げるもののほか、相当と認められるとき。
 
2 破産管財人は、前項の規定による許可があった場合には、次条において読み替えて準用する第百九十六条第一項の規定により配当表を裁判所に提出した後、遅滞なく、届出をした破産債権者に対する配当見込額を定めて、簡易配当の手続に参加することができる債権の総額、簡易配当をすることができる金額及び当該配当見込額を届出をした破産債権者に通知しなければならない。
 
3 前項の規定による通知は、その通知が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
 
4 第二項の規定による通知が届出をした各破産債権者に通常到達すべきであった時を経過したときは、破産管財人は、遅滞なく、その旨を裁判所に届け出なければならない。


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破産法208条 同意配当

第208条 裁判所書記官は、第百九十五条第一項の規定により最後配当をすることができる場合において、破産管財人の申立てがあったときは、最後配当に代えてこの条の規定による配当(以下この章及び次章において「同意配当」という。)をすることを許可することができる。この場合において、破産管財人の申立ては、届出をした破産債権者の全員が、破産管財人が定めた配当表、配当額並びに配当の時期及び方法について同意している場合に限り、することができる。
 
2 前項の規定による許可があった場合には、破産管財人は、同項後段の配当表、配当額並びに配当の時期及び方法に従い、同項後段の届出をした破産債権者に対して同意配当をすることができる。
 
3 同意配当については、第百九十六条第一項及び第二項並びに第二百三条の規定を準用する。この場合において、第百九十六条第一項中「前条第二項の規定による許可があったときは、遅滞なく」とあるのは「あらかじめ」と、第二百三条中「第二百一条第七項の規定による配当額の通知を発した時に」とあるのは「第二百八条第一項の規定による許可があった時に」と読み替えるものとする。


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破産法220条 破産手続終結の決定

第220条 裁判所は、最後配当、簡易配当又は同意配当が終了した後、第八十八条第四項の債権者集会が終結したとき、又は第八十九条第二項に規定する期間が経過したときは、破産手続終結の決定をしなければならない。
 
2 裁判所は、前項の規定により破産手続終結の決定をしたときは、直ちに、その主文及び理由の要旨を公告し、かつ、これを破産者に通知しなければならない。


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破産法248条 免責許可の申立て

第248条 個人である債務者(破産手続開始の決定後にあっては、破産者。第四項を除き、以下この節において同じ。)は、破産手続開始の申立てがあった日から破産手続開始の決定が確定した日以後一月を経過する日までの間に、破産裁判所に対し、免責許可の申立てをすることができる。
 
2 前項の債務者(以下この節において「債務者」という。)は、その責めに帰することができない事由により同項に規定する期間内に免責許可の申立てをすることができなかった場合には、その事由が消滅した後一月以内に限り、当該申立てをすることができる。
 
3 免責許可の申立てをするには、最高裁判所規則で定める事項を記載した債権者名簿を提出しなければならない。ただし、当該申立てと同時に債権者名簿を提出することができないときは、当該申立ての後遅滞なくこれを提出すれば足りる。
 
4 債務者が破産手続開始の申立てをした場合には、当該申立てと同時に免責許可の申立てをしたものとみなす。ただし、当該債務者が破産手続開始の申立ての際に反対の意思を表示しているときは、この限りでない。
 
5 前項本文の規定により免責許可の申立てをしたものとみなされたときは、第二十条第二項の債権者一覧表を第三項本文の債権者名簿とみなす。
 
6 債務者は、免責許可の申立てをしたときは、第二百十八条第一項の申立て又は再生手続開始の申立てをすることができない。
 
7 債務者は、次の各号に掲げる申立てをしたときは、第一項及び第二項の規定にかかわらず、当該各号に定める決定が確定した後でなければ、免責許可の申立てをすることができない。
 一 第二百十八条第一項の申立て 当該申立ての棄却の決定
 二 再生手続開始の申立て 当該申立ての棄却、再生手続廃止又は再生計画不認可の決定


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cf. 破産法249条 強制執行の禁止等