民法1030条 配偶者居住権の存続期間

第1030条 配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによる。


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改正前民法1030条 遺留分の算定に関する贈与

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施行日 配偶者居住権の制度は2020(令和2)年4月1日以後に開始した相続について適用されます。

cf. 改正相続法附則10条 配偶者の居住の権利に関する経過措置
もう一歩先へ ただし書:
配偶者居住権の存続期間が定められた場合には、その延長や更新をすることができるとする規定はありません。

しかしながら、期間満了時に、当事者間で改めて賃貸者契約や使用貸借契約を締結することはできます。
 
cf. 民法601条 賃貸借
cf. 民法593条 使用貸借
 
配偶者居住権の存続期間について別段の定めをした場合でも、その期間中に配偶者が死亡した場合は、その時点で終了します。

cf. 民法1036条->民法597条3項 使用貸借及び賃貸借の規定の準用
 
配偶者の死亡より配偶者居住権が消滅した場合の登記は、居住建物の所有者が単独で申請することができます。

cf. 不動産登記法69条 死亡又は解散による登記の抹消
もう一歩先へ 配偶者居住権の登記申請書記載例@法務局:

民法87条 主物及び従物

第87条 物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。
 
2 従物は、主物の処分に従う。


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もう一歩先へ 1項:
主物と従物はそれぞれ独立の物でありながら、互いに経済的効用を補っているものです。

e.g. スニーカーとその靴紐、ペンとキャップ、刀と鞘など

従物の判断基準

  • 独立性があること
  • 継続的に主物の効用を助けること
  • 主物に付属すると認められる程度の場所的関係にあること
    (あまり遠くに別個にばらばらにあるのでは主物の効用を助けると認められない)
  • 主物と同一の所有者に属すること
    (主物と従物は法律的運命を共にするため、同一の所有者に属することが必要です。)
もう一歩先へ 2項:
主物と従物の関係にあると認められると、原則と異なる取扱いを受けます。

原則は土地と建物のように独立の物は、それぞれ別個に処分の対象になります。土地を売った場合、建物はついてきません。

cf. 民法86条 不動産及び動産

主物と従物の場合は法的運命を共にします。スニーカーを購入した場合、通常、それに付属の靴紐の権利も移転します。主物の所有者が変わったら従物の所有者も変わります。主物が質に入れられたら従物も質に入ります。

単に近くにあるからといって独立した物の権利は移転しません。

 
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87条2項の適用範囲

87条2項は従物だけでなく、ある物の価値を高めるような、従たる権利についても主物と法律的運命を共にさせた方が妥当な場合には類推して適用できます。

e.g. 建物を購入した場合、その土地の賃借権などの土地の利用権は従たる権利と言えます。
しかしながら、土地の所有権は建物とは別個独立のもので、建物の従たる権利ではありません。

民法86条 不動産及び動産

第86条 土地及びその定着物は、不動産とする。
 
2 不動産以外の物は、すべて動産とする。


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改正前民法86条 不動産及び動産

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もう一歩先へ 1項:
土地に生えている樹木やタンポポ等の定着物は、原則として土地の一部とされます。

cf. 民法242条 不動産の付合

土地の所有権はその土地の上下に及びます。

cf. 民法207条 土地所有権の範囲

建物は土地の定着物ですが、土地とは独立した不動産として扱われます。

cf. 民法370条 抵当権の効力の及ぶ範囲

民法615条 賃借人の通知義務

第615条 賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張する者があるときは、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない。ただし、賃貸人が既にこれを知っているときは、この限りでない。


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配偶者居住権に関する居住建物について同様の規定があります。

cf. 民法1033条3項 居住建物の修繕等