民法97条 意思表示の効力発生時期等

第97条 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
 
2 相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。
 
3 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。


e-Gov 民法

 
改正前民法97条 隔地者に対する意思表示

 
もう一歩先へ 1項:
隔地者間の契約の成立時期について意思表示の発信主義を定めた規定を削除しました。

cf. 改正前民法526条1項 隔地者間の契約の成立時期

契約は承諾の通知が申込者に到達した時点で成立することになります。

もう一歩先へ 3項:
改正前民法が「行為能力を喪失した」としていたのに対して「行為能力の制限を受けた」としました。

これは、表意者が被保佐人又は被補助人で、意思表示をすることが全くできないわけではないけれど、単独で完全に有効にすることができなくなったという場合にも適用されることを明確にしたものです。

cf. 民法3条の2 意思能力

民法98条の2 意思表示の受領能力

第98条の2 意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、次に掲げる者がその意思表示を知った後は、この限りでない。
 
一 相手方の法定代理人
 
二 意思能力を回復し、又は行為能力者となった相手方


e-Gov 民法

 
改正前民法98条の2 意思表示の受領能力

もう一歩先へ

民法16条 被補助人及び補助人

第16条 補助開始の審判を受けた者は、被補助人とし、これに補助人を付する。


e-Gov 民法

 

もう一歩先へ
被補助人は、単独で確定的に有効な法律行為をすることができない制限行為能力者の一類型です。

補助開始の審判をするには、本人の同意が必要となります。

cf. 民法15条2項 補助開始の審判
 
被補助人の能力が制限されるのは原則として、民法13条1項各号の事項のうちで家庭裁判所の審判があった事項です。
 
補助人がその保護者となります。

補助人の権限は、同意権、追認・取消権です。これは、民法13条1項各号の事項のうち家庭裁判所の審判があった事項について(民法17条1項)のみです。

cf. 民法17条1項 補助人の同意を要する旨の審判等

補助人の代理権については、家庭裁判所の審判があった事項のみです。代理権の範囲については民法13条1項各号の事項に限定されません。

cf. 民法876条の9 補助人に代理権を付与する旨の審判

民法18条 補助開始の審判等の取消し

第18条 第十五条第一項本文に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判を取り消さなければならない。
 
2 家庭裁判所は、前項に規定する者の請求により、前条第一項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。
 
3 前条第一項の審判及び第八百七十六条の九第一項の審判をすべて取り消す場合には、家庭裁判所は、補助開始の審判を取り消さなければならない。


e-Gov 民法

 

もう一歩先へ 1項:
家庭裁判所が、職権で補助開始の審判を取り消すことができるわけではありません。

民法19条 審判相互の関係

第19条 後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければならない。
 
2 前項の規定は、保佐開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被補助人であるとき、又は補助開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被保佐人であるときについて準用する。


e-Gov 民法

民法14条 保佐開始の審判等の取消し

第14条 第十一条本文に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判を取り消さなければならない。
 
2 家庭裁判所は、前項に規定する者の請求により、前条第二項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。


e-Gov 民法

民法8条 成年被後見人及び成年後見人

第8条 後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。


e-Gov 民法

 

もう一歩先へ
成年被後見人は、単独で確定的に有効な法律行為をすることができない制限行為能力者の一類型です。ただし、日常生活に関する行為については、能力が制限されません。
 
cf. 民法9条 成年被後見人の法律行為

成年後見人がその保護者(法定代理人)となります。
 
成年後見人の権限には、追認・取消権、包括的な代理権があります。同意権はありません。
 
cf. 民法120条1項 取消権者
cf. 民法122条 取り消すことができる行為の追認
cf. 民法859条 財産の管理及び代表

民法10条 後見開始の審判の取消し

第10条 第七条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人(未成年後見人及び成年後見人をいう。以下同じ。)、後見監督人(未成年後見監督人及び成年後見監督人をいう。以下同じ。)又は検察官の請求により、後見開始の審判を取り消さなければならない。


e-Gov 民法

民法12条 被保佐人及び保佐人

第12条 保佐開始の審判を受けた者は、被保佐人とし、これに保佐人を付する。


e-Gov 民法

 

もう一歩先へ
被保佐人は、単独で確定的に有効な法律行為をすることができない制限行為能力者の一類型です。
 
被保佐人の能力が制限されるのは原則として、民法13条1項各号の事項です。
 
保佐人がその保護者となります。
 
保佐人の権限は、同意権、追認・取消権です。これは、民法13条1項各号の事項と家庭裁判所の審判があった事項について(民法13条2項)のみです。
 
cf. 民法13条 保佐人の同意を要する行為等
cf. 民法120条1項 取消権者
cf. 民法122条 取り消すことができる行為の追認

保佐人の代理権については、家庭裁判所の審判があった事項のみです。代理権の範囲については民法13条1項各号の事項に限定されません。

cf. 民法876条の4 保佐人に代理権を付与する旨の審判